バンコクではチャイナタウンに泊まることにしている。食べる事がこの町の訪問目的だからだ。


だが、ドバイと違って定宿はない。その時の自分の経済状況次第で決める。


今回はまあまあの状況だったのでまあまあのホテルにした。初めて利用する。


地下鉄がファランポーン駅から延伸していないころ、その駅からチャイナタウンへ向かって歩くとそのホテルは目立って見えた。一度泊まってみようかな、と思ったことはあった。


熱され疲れてチェックイン。

キーを渡された4階の部屋は、驚くほど狭かった。



荒井注氏のカラオケボックスを思い出させる。


キングサイズベッドなのだが、物理的に完成品を搬入出来たはずはない。


間違いなく、ウイスキーボトルに部品を入れてから組み立てる帆船模型のように、ベッドは部品で搬入し、室内で組み立てたものだろう。


狭いのはいい。寝れればよいのだ。


問題は暑いことだ。すぐにリモコンでエアコンをONにする。設定温度はすでに22度になっていて、それ以上はさがらなかった。


とりあえずシャワーを浴びる。2つのノブをぐるぐる回すとお湯が出てきた。これはたまらん。この部屋は炎暑地獄か。


シャワー室から出ると体を拭かずに気化熱を利用して体を冷ます。じわじわと冷房も効いて来たようだ。


腹も減っているし酒も必要だ。


まずビールを買って冷やしておこう。そして何か食べないと。その間にこの部屋エアコンが効いて涼しくなるだろう。


キーをホルダーから抜いて部屋を出ようとして気がついた。キーを抜くと部屋の電源が落ちる仕組みになっている。エアコンが電灯とともに切れた。なんてこった。


エレベーターでロビーに降りる。悔しいことにロビーはエアコンがガンガン効いていた。


とりあえずビールを買いに行く。向かうのはスーパーマーケット。その名も、LOTUS go fresh。


タイのどの町でも見るスーパーマーケットだ。なんでも手に入るし、クレカも使える頼もしい店。しかしチャイナタウン支店は周囲を完全に屋台に包囲されていて、初めて入った時はそこがLOTUSとはわからなかった。


ここまで来てこれじゃなくていいか。でもおれの好きな梅味だ。自宅の近所のスーパーになくてなぜバンコクにある。



あやしげな蒸留酒のコーナー。国際ブランドはなく、ローカルなものばかり。適当に安めのものを一本買う。



なぜかシンハビールは350mlしかなく、チャンビールは500mlしか置いてなかった。それぞれ一本ずつ買う。タイにはこういうところをちゃんとして欲しいんだよ。


部屋に一旦戻ってビールを冷蔵庫に入れておく。すぐに部屋を出て、食べに行く。


自家製麺がおいしくて、エアコンも効いてるのになぜかいつもガラガラなこの店。餃子とチャーシューの乗ったバミーヘンを注文する。飲み物の押し付けなし。この後シンハビールを飲むのでありがたい。


カスタマイズ前提で味は薄い。



砂糖、トウガラシ、醤油、トウガラシの酢漬けで自分流にする。それを混ぜ混ぜする。食べながら味を微調整する。うまい。70バーツ。



箸から啜らず、中国人の真似して一口分を蓮華に乗せてそれを一口でパクッと食べる。



部屋に戻り、キーをホルダーに差し、エアコンを入れ、温シャワーを浴び、気化熱利用冷却をする。


シンハビール。汗かかないね。つまりあまり冷えてなかった。冷蔵庫、お前もか。



アルコール度数40度ということしか分からない変な酒。変なクセはない。



つまみは屋台で買ってきたカリカリ豚と豚のすり身を食パンに乗せて揚げたもの。名前忘れた。カノムパンナムーか。最近、記憶あやしいのによく覚えてたな。空港はサナームビン。まだ覚えてた。



これがテーブル全体。部屋がいかに狭小か分かろう。



人心地ついてスマホを手に取り、教えてもらったパスワードを入力する。Wifiにつながらないではないか!


暑い、温かい、つながらない、の三重苦。疲れたし、今さらクレームつける気にもならん。このホテル、もう2度と来ることはなかろう。


これとチャンビールを飲んだら腹は一杯になり、眠くなった。


寒さで目が覚めた。いつのまにかエアコンがガンガンに効いている。そこに素っ裸で寝ていた。慌ててエアコンのリモコンで設定温度を下げようとするが、22度固定で動かない。今度は冷寒地獄だ。布団にくるまりリモコンでエアコンをOFFにした。


時計を見たら日付けが変わる頃だ。変な酒は結構飲んだが変な悪酔いはしていない。腹も減ってきてる。


あの店は午前三時まで営業と書いてあったな。行ってみるか。


海鮮の有名店だ。さっき見た時は大盛況だったがこの時間はさすがにすいていた。というかすでに緑の制服を着た店員たちが小宴会をひらいていた。



カオパットクン。エビチャーハンの中盛り。150バーツ。



とりわけ用にデカいスプーンも付いてきた。



エビはゴロゴロ入っている。中盛りだから量はたっぷりだ。でも、味はハジャイで食べたものの方がよかった。





完食して部屋に戻る。


エアコンをONにする。リモコンをいじっているうちにONを2度押しすると各種設定ができることが分かった。設定温度を25度にし、風量を中にする。ヒュンダイ製のエアコンか。凝ったことするな。


そういえば、フジャイラのタクシー運転手の車はヒュンダイだった。おれも食べすぎてあの運転手みたいな腹になってきてる。


シャワーを浴びる。2つのノブをぐるぐるいじってみるうちに左のノブを中間にし、右のノブをフルスロットルにするとお湯ではなくて水が出ることが分かった。


なんだ。

エアコンもシャワーもバミーみたいにカスタマイズできるのか。一工夫いるけど。


そうだ。


Wifiのパスワードを再入力してみた。つながった。ビンビンにつながっている。


さっきつながらなかったのはなんでだろう。日中は回線が混んでいたのか。よくわからない。


2度と来るものか、と思っていたけど、カスタマイズを覚えてしまえば利用価値あるかもしれない、このホテル。ファランポーンから延伸した新駅から近く、チャイナタウンの屋台街の中にある。値段はそこそこだ。


その時の経済状況によってはリピートがあるかも。


でもできればもう少し自分も頑張って、カスタマイズに頭を使わなくて済むホテルにしたいな、と思ったのが正直なところだ。