U.A.E、アラブ首長国連邦は7つの首長国からなる国だ。
7つ全部は覚えてないけど、一番有名なのはドバイだろう。それに次ぐのがアブダビか。
3日前に飛行機でたどり着いたシャルジャも7つのうちの一つ。
そして今日はさらにもう一つのアル・アインを訪れてみた。
アル・アインは首長国の一つ、とずっと思っていて、ついさっき調べたら国ではなくてアブダビの一つの町と知った。念はおすものだ。
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なぜアル・アインを訪れるか。
ドバイで飲料水を探すと、Al Ainという銘柄がある。調べてみたら、それは町の名前であり、意味は泉であった。
水、には興味がある。というのもそれは全ての命の源泉だからだ。全ての生物は水がなくては生まれなかったし、言葉を変えれば水のない所に命はない。地球を他の天体と区別するまず初めの基準は水があることだ。
だからというわけでもないが、清水さんとか和泉さんとか聞くと、一瞬はっとする。娘の名前にも水という一文字を入れた。少し珍しいかと思う。
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アル・アイン。ドバイから西に100キロほどだろうか。内陸の砂漠の中にある町だ。そんな所に町があるのはオアシスがあるからに違いない。
大雨の余波で地下鉄の運行は不安定で、寸断された道路はバスもそうさせている可能性が高い。実際、シャルジャからドバイに来る時、バスからタクシーに乗り換えるのに、サンダルはいてスーツケースを背中に背負って泥水を歩いた。もうあんな経験はこりごりだ。
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しかしそう思って自分をホテルに軟禁状態に置いてみると、たった1日で脱獄したくなった。
脱獄ってなんとなくロマンがあって好きだ。映画でも脱走ものというジャンルがあって、マックイーンの「大脱走」とか、「ショーシャンクの空に」はおもしろかった。
勝手に入牢し、勝手に脱獄したくなった。こんなこともあった。
脱走罪には2種類ある。
単純脱走罪と加重脱走罪である。おれの場合は懲役1年以下の単純脱走罪にもあてはまりはしないが。
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アル・アイン。ドバイからの日帰り旅には適当な町だ。ドバイからはバスで行ける。アル・アインについてはその名前の他にはなんの知識もないけど、とにかくドバイを脱したく、出かけることにした。いるものだけリュックに入れてホテルを出る。
アル・アイン行きのバスは、ホテルから運河を渡ったところにあるバスターミナルから出る。なんとなくバンコクと似てる。バスに乗ってる時間は1時間程度でも、そのバスに乗るのに1時間くらいかかる。地下鉄でも行けるがずっと高いし、旅情もない。歩いて運河を目指す。
ドバイの渡し船はアブラと呼ばれている。アブラ乗り場まで30分歩く。
客が集まると出発する。頻繁に出るので乗り遅れて天を仰ぐことはない。渡し賃はAED1(ざっと40円)、ワンコインだ。
運河を真横に渡すのではなく、かなり下流まで運んでくれる。
運河を渡ったら猫がいた。
遺跡みたいなものも。
こっちの方だろうと適当に歩きだす。そして道に迷う。迷ったら人に聞く。
ドバイの人は人懐っこい人が多い。尋ねたら喜んで教えてくれる。その上で、道を教えてくれたら、必ずチャイニーズか?と聞いてくれる。ジャパニーズだと答えるとまた喜んでくれる。まだ日本は捨てたもんじゃない。
30分は歩いた。
アル・グバイバというバスターミナル。すごくきれいになってる。のどがからからだったのでミニスーパーで水を買う。アル・アインではなかった。
ノルカードというパスモのようなカードにチャージする。アル・アインいきのバスは?と職員に聞くと、あと2分で出発するあれだ、と指をさす。急げ!
間に合わなかった、というか満員であった。今度は天を仰ぐ。路線と時間を確認しておく。
次のバスは1時間後。アル・アインまで135分。意外と遠かった。まあいいか。脱獄犯に門限はない。
エアコンの効いた広い待合室をぶらぶらする。アブラ乗り場まで徒歩5分。ちゃんと歩いていれば間に合った。
時間は案外早く過ぎた。
まだかな、と思っていたら急に人が並び始めた。また満員か!急いで列に並ぶ。
幸い窓側の席に座れた。基本的に見知らぬ男女は隣に座らないのがイスラム流。これはずすと顰蹙をかう。
バスは新しくて、寒いくらいエアコンが効いて快適だ。
こういう建物がいくつもあるのだが、何か意味があるのだろうか。
天を刺すようなブルジュ・カリファ。一度登ればもういい。それにしても聳えてるなあ。
バスの運行を俯瞰する。ミッション・インポッシブルな気分。
15分も走ると町から出て砂漠地帯に入る。あとはずっと砂漠。
乗車した時は32度だった外気温はアル・アインに近づくと36度に上がった。大したことはない。東京も真夏にはこれくらいにはなる。
アル・アインの町に入る。定刻通りだ。きれいなモスクがある。
もうすぐバスターミナルのようだ。ドバイの喧騒がうそのようだ。
帰りの便を確認しておく。帰りも1時間に一本。アル・アインには1時間半ほど滞在して、午後3時のバスで帰ることにする。
バスターミナルを出る。
すぐそこに市場があった。
鮮魚のコーナー。おいチャイニーズ、新鮮な魚ばかりだぞ、と胸を張るおじさん。でもアル・アインに海はないから、この魚はドバイからだろ、というと少し残念な顔をしてうなづいた。
町に出てみる。散歩する。なんでもゴツいのが中東流。青になるとカチカチ鳴る。
なんか食って行くか。それにしても暑い。だけど海に近いドバイよりよほど乾燥していて爽快でもある。
アル・アインで自転車に乗ってる人は100%ヘルメットをかぶっている。そういう法律があるんだろう。ドバイではスポーツ自転車の人以外は100%かぶっていない。
食い物屋がないのはどうしたことだ。
ようやくスタンドを見つけて入る。
まずサモサとジュース。
久しぶりに生野菜食べた。
これうまい。
エアコンつけてるけどドア開けっぱなし。
しーん、としてる。
サモサをおかわり。丸っこいのは何?ポテトだよ。じゃあそれも一つ。
ずしりと重いポテト。これうまいな。コロッケみたいなものか。昼はこれくらいでちょうどよかった。AED5。サモサとファンタがAED1、ポテトがAED2かな。
おじさんがぶらりと入ってきて勝手にサモサをとって食べて、主人と一言二言話して笑って握手して、金を払って出て行った。立ち食いそばの感覚か。
食べ終わってから無愛想な主人に話しかけてみる。
ああ、こっちでも雨は降ったさ。その辺水浸しだったよ。また降るらしいぜ。22日から3日降るってよ。
マジかよ。
また来いよな。
案外愛想いいじゃないか。
少し早めにバスターミナルに戻る。アル・アインでしたことといえばこれだけ。でも脱獄の代償としては充分だ。
帰りのバス。乗車率60%。
この壁の向こうはオマーンだ。スーパーリッチな国。
アル・アイン側でも裕福そうな家が並ぶ。
砂漠。
白いオマーンの町。
岩山。
高圧電線萌え。1。
ちょっと短足。2。
ドバイに戻った。
昔の見張り台。
バスターミナルから本当に5分でアブラ乗り場。日曜日の夕方を楽しむ人でいっぱいだ。
おじさんたちが電気屋のテレビでサッカーを見てる。基本的に外でぶらぶらしてるのは男性だけというのとイスラム流。女性は目的があるけど男たちにはそれがない。それはどの国でも同じだ。
いつもの店でビリヤニ。
この店、ダントツにうまいのだけど気になることがあるので伝えてみた。
チキンは半分にしてくれ。おれはこの店のライスが好きだから、その分ライスを盛ってくれ。
変わった奴だな。でも分かってるじゃないか、チャイニーズ。
あと、ライタがつかないのも気になっていたのだが、別売りだった。AED1で追加。これがなくっちゃなあ。
サモサは安くていいつまみになる。ホテルのそばのベジタリアンの店で3個買って帰る。
ジュースよりよく冷えた水が飲みたくなったら、健康的に疲れた証拠だ。水は命の源泉だ。
水、酒、サモサ、ビリヤニとライタ。そしてできたばかりの思い出である日帰り旅。完璧だ。