寒くなれば出不精になる。

 

仕方がないことだ。

 

朝、駅へ向かう雑踏。勤め人、学生、風来坊。皆様ご苦労様です。この寒い中、昨日も今日も明日も朝早くから怠けず自分のすべきことを果たしに持ち場へ向かうべく、駅へ急ぐ。えらい!と思う。

 

自分も一応その中の一人である。駅には吸収されずにそのまま自転車で30分、寒風に逆らいながら職場まで突き進む。

 

自分もえらい!と思うが、この寒い中わざわざ職場へ向かうのは社会からこぼれ堕ちたくない一心に過ぎない気がする。なんとか生きるだけの扶持は稼ぎ、仕事を通じて人とつながり、会うことはなくても人とメールや電話でやりとりし、時には失敗して仲間と慰めあい、成功してはまた仲間と果実を分け合い、暇な時間にブログで愚痴をこぼし、それらあれこれのことでなんとか小さな生存証明を社会に向かって微弱な電波で発信し続ける。

 

しかし不思議なことに、休みの日になるといくら寒かろうが出不精は引っ込み、平日より朝早く目覚め、出勤する時間より早く遊びに出かけるようなことが多々ある。おかしなものである。休みの日には出不精は発症しない。

 

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ハゲ、肥満、二日酔い。

特効薬のない三大疾病だと思う。

 

体質や遺伝によって多少の不平等はあるが、下戸以外の中年以降の男性に襲いかかる宿痾とまずは観念しておくべきである。

 

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特効薬が出来たらノーベル賞もの、と言われて久しいハゲ薬(毛生え薬)だが、そういうものが受賞したとはとんと聞かない。現在40才以上なら薬に頼るのはもう諦めた方がいい。もしノーベル賞作が今さら出来てもご自身の頭がフサフサになるにはさらに何年もかかろう。50歳を見据えて変な色気だしてどうする。孔子は不惑から10年後、50歳にして自分が生まれてきた理由を悟った。知命という。毛髪ごときに思い煩う歳ではない。さっさと剃ってスキンヘッドにしてしまうか、かぶるものをかぶるか、年々読み取り不能になりそうに細くなるバーコードをいかに太く見せようかと櫛をあてるテクの習得にハゲむ方がよかろう。バーコード維持が困難になったら今時はQRコード風にアレンジするのもありかと思う。

 

念の為言っておくが、かぶるもの、とは努力義務化された自転車のヘルメットではなくズラのことであるが、最近はズラより植毛が主流のようだ。安いものではないしそれなりにメンテも必要らしいので、そちらの道を選ぶ方は各自リサーチされたし。

 

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二日酔いについては自業自得というしかない。これこそは!という新薬や珍妙な民間療法に何度飛びつき 何度がっかりさせられたことか思い出されたい。もし二日酔いの特効薬ができたら人類は破滅すると思う。これ以上飲んだら明日ヤバい!という足枷がなかったら相当数の酔漢たちはさらに堕落し、彼らは社会をこれまで以上に荒らし、人類の進化の足を引っ張る。であるから、賢明で慈悲あふれるカミサマホトケサマは人類に二日酔いの特効薬を完成させることは決してお許しにならないはずだ。

 

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しかし最近の医薬品の開発は凄まじい。とうとうデブ解消薬が本邦でも市販されることになったという。アライという薬らしい。これで特効薬なし三大疾病の一つはこの世から絶滅することになるかもしれない。それは地球上、少なくとも日本国内においてはデブは絶滅危惧種になる可能性がでてきたことを意味する。するのであれば早めにワシントン条約に申請しておいた方がいいかもしれない、デブな日本人。

 

ただし聞くところによると、この薬によって体内の脂肪分は強制的に排泄され、つまり垂れ流しになり、下手するとおもらしすることになるそうだ。当然製薬会社は独占禁止法をにらみながら専用オムツの抱き合わせ販売を目論んでいるはずだ。世の中カネだ。

 

身長165センチにして体重が89キロまで育ったことがある身としては肥満解消薬が出たことは果報である。肥満に対してコンプレックスを育みながら青春の日々をどれほど悩んで生きてきたことか。肥満から解放されて、暗い顔が明るくなる若者が一人でも増えればと思う。皮肉でもなんでもない。

 

デブ解消薬。早く流通して実際の効果や副作用の有無が確かめられればと願う。

 

しかし、これは実体験として警告しておきたい。デブ症は痩せると出不精になる。特に冬は。

 

(元)デブ症=出不精。

 

なぜなら痩せるとたちまち寒がりになるからだ。これはウソでも冗談でもない。アザラシを見るまでもない。皮下脂肪は立派な防寒着なのだ。元デブ症患者は今まで知らなかった寒さを体験することになる。

 

勢いに乗じて、肥満解消薬の服用と同時に三大疾病のもう一つのハゲ脱却にも取り掛かるべくスキンヘッドに踏み切るのであれば、それは夏を待ってからの方が良い。あせりは禁物だ。毛髪もまた防寒着、防寒帽である。清潔かつメンテ費用が安いスキンヘッドに弱点があるとすればそれは寒いことだ。真冬に無帽だとキンキンに冷える。少しでも頭皮を鍛えておくのであれば桜が散った後ぐらいの季節に始めるのが望ましいと助言しておきたい。

 

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アホなことでも考えてないと、とてもうっちゃれない日もある。