昨日、酒を飲んでいて急に思い出した。
しばらく前に、母からカニミソの瓶詰をもらった。あれどうした?
家内に聞く。
冷蔵庫にあるけど食べる?
出してくれ。
カニはうまいが、人々が絶賛するほどのことはないと思っている。
天邪鬼のなせる技かもしれない。
それでもエビフライとトレードしてくれ、と言われれば快く応じるし、鰻と取り換えてくれないかと頼まれれば、カニの量を2割増しで差しだしてもいい。
カニミソなども久しぶりだが、賞味期限が切れる前に食べてしまおうと思ったに過ぎなかった。
小ぶりな瓶にギュッとつまったカニミソ。ティースプーンで控えめにひとすくいして小皿に出す。
箸の先に少量擦り付けて味見をする。ちょっとじゃ分からんな、と小指の先ですくって舐める。
うまい。
舌の両脇に滋味が広がり、しみ込んでくる。
これはうまいものだ。
安い焼酎で舌を洗ってもう一口。
もったいないくらいうまい。
カニの肉とは別物だが、どっちをとるかと言ったら断然カニミソだろう。
何日かに分けて食べないともったいない。
今日はここまでと、ビンの蓋をきつく締めた。
小皿に残ったカニミソ。
小皿を手にして皿ごとなめる。
こんな下品な食べ方をしたのはいつ以来だろうか。
昨日は先住猫を動物病院へ連れて行った。
歯牙吸収という病気だった。牙が溶けてしまう病気。
医師によるとかなりの確率で猫がかかる病気という。
その医師も病院長も飼っている猫がかかっているという。
分かっていても防げなかったのかなと思う。
猫にとって一番楽になる治療法は何かと聞いたら、牙を抜いてしまうことだという。
この日はとりあえず薬だけもらった。
自分も歯医者に行くたびに抜いたほうがいいと2本の親知らずのことを言われる。
それを思い出した。
ずーっと引き延ばしている。
猫と一緒に抜いてしまおうか、と考え始めた。
医師が猫が痛がるようならというけれど、いまのところ痛がる様子はないし、餌を食べるときもがっついている。
歯を抜くのは猫と一緒にもう少し先でいいかと、やはり思った。