もともとそんなことはなかったのだが、だんだん保守的になってきた。

思想的にではない。嗜好がだ。

 

特に食べ物については頑迷になった。新しいものとか創意工夫にあふれたものは食べたいと思わない。

創作料理、とか言われるとちょっと引く。いつものでいいのだ。西洋風なのだが和風なのだがどっちつかずのものは御免被る。なんでそういうことするのかなあ、という食材の組み合わせだったりするとがっかりする。

 

若いころはそうでもなかった。むしろ珍しものには果敢に挑む方だった。単なる話題作りだった気もする。海外に出ても、これ食うの?というものにも手を出した。生きた蛇の肝。山羊の脳みそなど。酒だって地物の珍しいものは必ず試した。それが今では缶チューハイと安焼酎しか飲まない。安焼酎をただで高級焼酎に換えてあげようか、と言われても反抗するだろう。無味無臭の4リットル焼酎が一番いいのだ。安いから飲んでいるのではない。これが好きなのだ。時々外に飲みに出て芋だの麦だのと主張する焼酎を飲むとまず匂いでやられる。まるで下戸になったかのようになる。

 

食べ物について追加すると、混ぜ物が気になるようになった。たとえば魚介と獣のダブルスープ、なんて聞くとお断りだ。魚と肉が一緒になってうまいはずがない。野菜はなにとでも組んでよいが、魚と肉、肉と鶏、豚と牛など許容範囲外だ。さらに頑迷極まると牛のラーメンも受け付けない。牛肉が得意でないからだけれど、大好きなラーメンが牛ベースだとがっかりだ。そのラーメンに豚のチャーシューなんか乗っていたらさらにアウトだ。ラーメンと言ったら豚。豚以外のラーメンだったら食べない。そういえばずっと前に買った辛ラーメンも放置状態だ。あれは牛だから。

 

1つ問題がある。近所のスーパーの総菜コーナーでたまにメンチカツを買う。これはうまい。昔から好きである。うまいのだがメンチということは普通豚と牛のあいびきか。となると嫌いでなくてはいけないのだが、あれは食べれてしまう。むしろ好き。いつもポテトコロッケとどっちにするか悩むのだが、結局1個ずつ買うことが多い。それがコロナのせいで自分でトレーから撮るのではなく、あらかじめ2個ずつパックされて並べられるようになった。メンチとコロッケはどっちも49円なのだが、1個ずつというパックはない。メンチ一辺倒で行くか、コロッケオンリーで行くか選択を迫られる。今だったら多分メンチを買う。多分あいびきだろうけれどそれでもメンチを買うだろう。牛を嫌うより、保守を重んじた結果かと思う。