ヒトの耳垢(みみあか)と腋臭には大きな関連がある。つまり、耳垢はアポクリン腺分泌物で、湿型(完全優性)と乾型のメンデル遺伝形質である二通りの耳垢があり、ボクは耳垢がウェットなタイプで耳掃除は綿棒で行っていて、耳掻きという道具で耳掃除をしたことはない。
ヒトの耳垢型は湿型がヒトの原型であり、乾型は耳垢を欠くか固形質の垢がある。乾型は東アジア人に高頻度(80-95%)で、白人・黒人にはほぼ皆無(~1%)である。他人種は中間値を示す (3~50%)。
日本人は朝鮮人より湿型が多い民族だという。最近の人類遺伝学によれば、日本人を含む34民族における解析で、約2万年前の最終氷河期にバイカル湖付近で生活定住していた人類が、湿型→乾型変異が起き、その後、乾型が世界中に拡散したことを示差するデータがある。
何故、湿型から乾型に変異が起きたかというと、耳垢が湿っている状態であると氷河期の寒冷地では不適応であるからだ。その前に、何故、ヒトは耳垢が湿っていたかというと、温暖な場所や熱帯では耳穴に虫や細菌が侵入してきた場合に、湿ってべたついた状態だと異物の進入を抑えられることが大きな理由である。
耳垢腺(じこうせん)からの分泌物には、免疫成分や塩化リゾチームを含み、弱酸性なので、耳垢自体が細菌の繁殖を防ぐ作用を持っている。耳垢を取り過ぎたりして、昆虫類の進入した事例も多々あるようだ。
例えば、日本の旧陸軍軍人で、太平洋戦争終結から29年目にして、フィリピンのルバング島から帰国を果たした小野田 寛郎(おのだ ひろお、1922年3月19日 - 2014年1月16日 )さんは、ルバング島で耳穴に虫が侵入して鼓膜を損傷されている。ただ、小野田さんの耳垢が湿型か乾型かは明らかではないけれども、乾型の可能性は高い。
さて、腋窩部からの腋臭の発生の原因は、腋窩部のアポクリン腺から分泌される汗が原因であるが、アポクリン腺の分泌物自体は無臭である。しかし、その汗が皮膚上に分泌されると皮脂腺から分泌された脂肪分やエクリン腺から分泌された汗と混ざり、それが皮膚や脇毛の常在細菌により分解され、腋臭を発する物質が生成する。
毎日入浴したりしていれば、神経質になることもないだろうが、アポクリン腺による分泌以外にも、体臭には様々な要因もあるし、人それぞれに個別な体臭があり、不快な体臭もあれば、健康的な快い体臭もあり、快も不快も感じ方や嗜好にもそれぞれに違いもある。