アルボムッレ・スマナサーラ著 「忙しい」を捨てる 時間にとらわれない生き方
忙しくて時間に追われている日本人に、仏教面から様々な問題点を指摘した著書。
大事なのは、その瞬間瞬間に生きることであって、過去や未来に心を奪われてはいけないという教えです。
この教え、偶然にも「世界のエリートがやっている最高の休息法」のマインドフルネスと全く同じ考え方です。
いろいろな問題点に日々追われ思考があちこちに飛んでばかりいる私にとって、脳の活用方法を意識して変えていかなければならないと思いました。
以下抜粋。
仏教は無常論ですから、あらゆるものは変化し続けると説きます。このとき、変化には2種類のものがあるのです。
一番目の変化は、私たちが悪い環境に遭遇したときに、その環境を乗り越え、生き残るために起こる変化のことです。これは、「適応」「進化」などと呼ばれる変化のことですね。
それに対して、二番目の変化は、安楽な状態がずうっと続いた場合に起こる変化のことです。
この変化は、一般的には「退化」と呼ばれます。ですから、わかりやすくいうならば、変化というのは、進化か退化の2種類なのです。そして、こうした変化を止めるすべはありません。
変化を拒んで現場維持をするというのは、あり得ないんです。
私たちが「できる」ことというのは、自分の力を100%発揮してできることが、せいぜい頑張って110%くらいの成果までのことです。200%もの力を発揮できたら、それこそ奇跡です。それは、現実にはほとんど無理なことです。
ですから、まず最初に「やりたいこと」と「やらなければならないこと」を切り分けてほしいのです。そしてまず、「やらなければならないこと」から取り組むようにしてみてください。すると、私たちは、自分が「やらなければならないこと」すら、すべてこなすのは難しいということがよくわかるのです。
「やらなければならないこと」というからには、私たちが義務としてこなさなければならないことです。けれども、それもよくよく改めて検討してみると、本当にそうなのかというものが含まれていることがよくあります。義務ではないものを、義務と勘違いしているのですね。
まず前提として、私たちは自分の生きるための闘いは、死によって終わるのだとよく理解する必要があります。そして、そのことをポジティブに受け止めることが大切です。自分は有限な存在であり、いずれ死ぬのだと理解することによって、物事に対する執着をなくすのです。
次に、死について理解することによって、今、この瞬間というものは永久にまた戻ることはない、という一期一会の生き方が身につきます。人生のすべての瞬間が、勝負の瞬間です。そして、過ぎ去って瞬間は、もう永久に戻らないのだと理解したとき、自由な精神が生まれます。
今と言う瞬間は、一生帰らない。だからこそ、私たちは人生を自由におおらかに歩むことができるのです。過去に、足を引っ張られることは、もう無用。何が起きても、
「はい、これで終わり」
という感じで、前へ前へと人生を歩んでいけるのです。
私たちは、普段意識していませんが、様々なものに足を引っ張られているのです。