年度末が近付き、それを見据えた仕事をしながら、かつ確定申告もしなくてならず、結構頭の痛い日々を私は過ごしておりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
(ついでに言いますと、毎年3月に人間ドックを受けていまして、日頃の不摂生の結果が露わになると日が近付いている思うと、結構ブルーな気分にもなったりするのです・・・笑)
さて、この仕事(=診断士)をしておりますと、非常に頻繁に「事例を紹介してください」と事業者の方々からお願いされることがあります(ちなみに支援機関や金融機関の方々もよくそうおっしゃいます)。
しかし、私はこの「事例紹介」、嫌いです。
ハッキリ申し上げておきます。
何故か…理由はいろいろあるのですが、いくつかお話しします。
理由①
そもそもコンサルタントが、自分の支援した企業の例を紹介するというのは、その企業の了解がない場合は、完全なる守秘義務違反であるから。
理由②(①をクリアしたという仮定において、もしくは自治体や支援機関の作成した事例集の中から紹介をした場合)
その事例というのは、少し前の話であって、今のビジネス環境や、目の前のクライアント事業者様の置かれている環境とは似ても似付かず、ほとんど参考にならないから。
理由③
仮に事例紹介したとして、それを聞いただけで勉強した気になって満足してしまい、それ以上のことを何もしない事業者の方が多いから。
(これは私がそういう経験をしているだけですから、他のコンサルタント・診断士には当てはまらないかも知れませんが)
まだまだあるのですが、この辺にしておきます。
では上記の理由①~③のように考える私の意図や経験を説明して参ります。
①について・・・これは、我々が仕事を受ける際には確実に守らなければならないことのはずです。にも関わらず、安易に求め過ぎですし、紹介を頼み過ぎですし、簡単にバラし過ぎ、だからです。
「求め過ぎ」=事業者の方が、です。人のことを聞きたい気持ちはわからないではないですけれど、逆の立場になって、もし自分の会社のこと(=成功の秘訣)を簡単にバラされたら、どう思われますか?嫌でしょう?
「頼み過ぎ」=支援機関の方が、です。仕事をコンサルタントに依頼する時に「守秘義務を守れよ」と書面にまで記名押印させておきながら、「それ以外の企業の話であればバラせ」というのは道義に反するのではないでしょうか。考えが安直過ぎです。
「バラし過ぎ」=同業者(=私と同じコンサルタントや診断士)が、です。お客様の情報はちゃんと守るべきです。なのに、口の軽いコンサルタントの多いこと。私は、お客様から了解をいただかない限りは絶対にお話ししません。
②について・・・事例紹介を受けて、その通りにやってみたとしても、もうそれはマネでしかありません。先行者利益も無いです。かつその事例に登場している成功なさった事業者の方々が努力されたのと全く同じか、それ以上の努力をできるのでしょうか?不可能でしょう。それ以上のことをしないと先行者には絶対に勝てません。加えて、事例として認知されている事業者の方は既にその事例によって、ブランドイメージを形成し、かつ方々のメディアにも登場なさっていて、知名度もあります。普通にマネしたって勝てっこありません。だったら別の道を模索したほうが、勝てると思います。「急がば回れ」ということです。
③・・・この理由のようなケースの場合、紹介を依頼なさる事業者の方々に、「どうして紹介して欲しいとお思いになるのですか?」と尋ねましたら、大抵は「参考になるから」とおっしゃいます。そうお思いになること自体は一向に構いません。しかし「参考にする」のなら、それを徹底的に会社・事業所内で研究したり、会社全体・お店全体で勉強会を行ったりなさるのでしょうか?そうやって事例企業のことを丸裸にするくらいに研究なさるなら、私は喜んで事例を探して来て、ご紹介します。しかし、そこまでのことをなさった事業者様は私の知る限り全くいらっしゃいません(・・・と思ったのですが、お一人だけいらっしゃいました。誰だとは言えません。守秘義務がありますから!笑)。そこまで徹底しないなら、時間の無駄なだけです。
と、まあいろいろと毒づいてみましたが、長くなってきましたので、次回コラムに続きを書きたいと思います。
