先日「日本のGDPが中国のそれに抜かれて世界第3位になった」とのニュースがありました。
皆様はそれを「ショックだ」と思われたのか、「時代の流れだし、仕方ない」と思われたのか、
どちらでしょうか(下表ご参照ください)。
表を見ますと、日本のGDPは1995年以降、上がり下がりが途中ありますが、大きくは
上向かない水準に留まっています。そして今後は、人口の減少、国内不景気による
可処分所得の減少、デフレ、というトリプルパンチをさらに受けていくことになります。
これからは経済のパイが年々大きくなるということは、もう起こらないのではないかと
思っております。その上で、「どうモノを売っていくのか」を考えるべきなのでしょう。
そこで思いますのは、私のようなコンサルタントも考え方を改めなくてはならない、
ということです。
(もちろん中国のようなまだまだ成長中の市場においては、従前通りの考え方でも
当面大丈夫そうに見えますが)
どう改めるのか、と言いますと、
「単に『良いもの』だから売れる、競合しないから売れる、画期的な商品だから売れる、
などという自分本位の目線でマーケティングを考えるのを改める」
ということになります。
なぜなら、先行きの不安によって多くの人々は財布の紐をなかなか緩めないどころか
より締めることになる、と思われるからです。
今までは、「従来からあるA商品」と「新発売のB商品」は共存できたかもしれませんが、
これからは使える金額(可処分所得)に限界が見えてくるから、もし新しい何かを創り
出したら、今ある何かを処分しないと、その新しいものの居場所がない、ということに
なる可能性が高い、と考えられるわけです。
(下手すると人間そのものですら、そうなるのかもしれません。恐ろしい話ですが)
例えば、100人が住む村にパン屋が一軒あるとします。
そしてパンの消費量は年々変化しないが、もう一軒パン屋が同じ村の中に新しくできた。
となると、新しくもう一軒できたことで、需要が喚起される可能性もあるけれど、基本的に
消費量が同じであるということなので、当然既存のパン屋の売上は、ある一定量まで
落ち込む、ということになります。その上、人口が減少すれば、当然パンの消費量は
自然に減るということでもあります。
つまりは、「オフセット(offset)」ということです。
片方が増えれば、片方は必ずそれと反比例して減る、ということ。
ですから、新たに作る製品は「今ある製品(商品)を確実に駆逐する強力な何か」を持って
いないと苦戦する、と言うことができるかもしれません。
私達が生きる現代の日本はこういう大きな変換点の真っ只中にあるわけです。
元々日本では「節約すること」「無駄遣いしないこと」が美徳とされ、私達もそれが得意だと
思っているはずです。しかし、今後は好むと好まざるとに関わらずそれを行っていかないと
生き残りが難しい。そういう消費性向の変化の中で、「いかにモノをつくり、モノを売るのか」を
探っていく必要があると思います。
このコラムを書く私としても、できることなら、景気の良い話を書きたいです。しかし、現実は
そう作用する可能性をなかなか見い出せません。コンサルタントである以上、より確実性の
高いところをお示しする必要がありますから、どうしても厳し目の提案や指摘を致します。
その提案や指摘の目指すところは、「環境の変化に強い自立性」です。
政府が何をしようが、隣国がどう動こうが、多少のことではビクつかない強さを企業(事業所)
自体が持てば良い。そういうふうにクライアントを導きたいと思って活動をしております。
是非、一緒に行動して行きましょう。