家に着く。

泣き腫らし、青ざめた夫が部屋にいた。

気持ち悪い。この被害者ぶった顔に、とてつもない嫌悪感を抱いた。


まずは冷静に、と自分に強く言い聞かせながら話を聞く。


夫が口を開く。

謝罪と言うよりは、不倫相手との馴れ初めを聞かされた。今思うと聞きたかった事とはとうてい交わらない、御門違いの話であった。


ただ、この時の私は、そのよくわからない話を聞くことしか出来なかった。判断力が鈍っていたし、とにかく情報が欲しかった。

夫の話から、何かを得ようと必死だった。


その間、心が暗いものでざわざわしていたがそれを掻き消すように集中して話を聞いていた。


夫はひととおり自分の話したい部分を話したいところまで語り終えると、今度は、いま自分がどれだけ困っているかを懇々と話し始めた。


普段寡黙な夫が、とても饒舌だった。

皮肉なものだ。