「浮気をされた」という事実に、いま思うとそれほどの怒りはなかった。


その後の怒りに比べたら、穏やかなものだ。


不倫、浮気は夫婦の問題。

誰かを巻き込むものではないし、自覚はないが少なからず自分にもそうさせた責任があると考えていたからだ。


だから最初に

「許してください、助けてください」と夫が言ってきた時も、比較的すんなり寄り添えた記憶がある。

寄り添うといっても、聖母のように包み込んで抱きしめた訳ではない。

ただ事実を受けとめて、同じ方向を向くと言う意味である。


この後、地獄の炎に包まれるほどの怒りの日々になる原因。

それは単なる不倫の発覚ではなく、不倫発覚により露呈した夫の人間としての本質である。