観戦記2710 WBAスーパー&WBC&WBOライト級王座戦 ワシル・ロマチェンコvsルーク・キ | 人生マイペンライ

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一昨日(10月26日)見事にスーパーバンタム級で4団体統一王者になり、テレンス・クロフォードに続いて2階級での4団体制覇という金字塔を打ち立てた井上尚弥選手。史上9人しか達成していない4団体統一王者を、2階級で統一する日本人が出てくるなんて漫画でも書けなかった。1980年代後半にシュガー・レイ・レナード、トーマス・ハーンズ、ロベルト・デュランなどによる複数階級制覇による‘黄金の中量級‘時代があり、現代は真の王者である4団体統一王者が1番輝ける。2004年9月に、WBA&WBC&IBFミドル級王者のバーナード・ホプキンスが、WBOミドル級王者のオスカー・デラ・ホーヤを9RにボディーでKOして初の4団体統一王者が誕生した。

そのホプキンスを、2005年7月に2-1の判定で降したジャーメイン・テイラーが2人目の4団体統一王者。しかし、棚ぼた感が強くて‘Undisputed Champion(異議の無い王者)‘とは言えなかった。その後はプロモーターの思惑などがあり4団体統一王者は生まれなかったが、2017年8月にWBC&WBOスーパーライト級王者テレンス・クロフォードがWBA&IBFスーパーライト級王者のジェリウス・インドンゴを3RにKOして4団体統一スーパーライト級王者 『観戦記1800』 2018年7月のWBSSクルーザーl級トーナメントで、WBC&WBO王者のオレクサンドル・ウシクがWBA&IBF王者のムラト・ガシエフを判定で降し4団体統一クルーザー級王者 『観戦記2151』

そして、そのウシクと同胞で父親がウシクのトレーナーもしていてライト級で4団体統一を狙うのが3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコ!

 

ワシル・アナトリヨビッチ・ロマチェンコは、1988年2月にまだソ連領だったウクライナ南部のビルホロド・ドニストロフスキーという町で生まれる(3年後にソビエト連邦からウクライナは独立)父親が元アマチュアのボクサーで、母親が体操のコーチ、姉が体操選手というアスリート一家で育つ。ロマチェンコは父の指導で、幼い頃からボクシングをして2004年には17歳以下を対象にしたU-17欧州大会で優勝~2006年にはジュニア五輪で優勝~2007年の世界選手権では、シニアのフェザー級決勝でロシアのアルベルト・セリモフに16:11で敗北し準優勝。

2008年の北京五輪ではフェザー級で金メダル、2009年の世界選手権でも金メダル、2011年の世界選手権も金メダル、2012年のロンドン五輪ではフェザー級が無かったのでライト級で金メダルを獲得。なんと!アマで396勝1敗の超人的な戦績でプロに転向。

 

2013年10月にデビューし、WBOフェザー級7位のホセ・ラミレスを4RにKO 『観戦記604』 わずか1戦で世界ランク入り~2014年3月のプロ2戦目で、WBOフェザー級王者のオルランド・サリドに挑戦するがサリドは計量オーバーで王座剥奪、頭から突っ込む~ホールディング、ローブローとベテランの味を出しまくられ 1-2 の判定負けで最短王座奪取記録更新ならず 『観戦記723』 しかし、3戦目にゲーリー・ラッセルJrとのWBOフェザー級王座決定戦を2-0で勝利し、見事にプロ3戦目の最速タイ記録で王座栄冠 『観戦記817』

 

初防衛戦はマカオで、マニー・パッキャオvsクリス・アルジェリの前座で チョンラッターン・ビリヤンヨーに判定勝ち~2度目の防衛戦は、あのメイウェザーvsパッキャオの 『観戦記865』 前座でWBO1位のガマリエル・ロドリゲスを9RにKO 『観戦記886』 3度目の防衛戦は、1月にWBOフェザー級7位のロムロ・コアスチャに粘られるも10RにKO 『観戦記1035』 そして正確にはWBOフェザー級王座を保持したまま、プロ7戦目で2016年6月にWBOスーパーフェザー級王者のローマン・マルチネスに挑戦し圧倒的な強さで5RにKO勝ちして 『観戦記1236』 世界最速の7戦目での2階級制覇を達成!

 

2016年11月の初防衛戦で、2階級制覇を狙うニコラス・ウォータースを7R終了時にギブアップに追い込む 『観戦記1486』 ついに100$(約1億1000万)のファイトマネーを得る~2017年4月には、元WBA王者でWBO2位のジェイソン・ソーサを9R終了時にギブアップに追い込み2度目の防衛に成功 『観戦記1674』 そして、わずか4ヶ月で3度目の防衛戦にWBO10位のミゲール・マリアガを迎え7R終了後にギブアップさせ3試合連続のロマチェンコ勝ち 『観戦記1792』12月の4度目の防衛戦には同じくオリンピック2連覇のWBAスーパーバンタム級王者のギジェルモ・リゴンドーを6R終了後にギブアップさせ4試合連続のロマチェンコ勝ち 『観戦記1898』そして、2018年5月に、いよいよライト級に上げて3階級目を狙い3階級制覇のWBAライト級王者ホルヘ・リナレスに挑戦し初のダウンを奪われるも10RにTKO勝ち 『観戦記2026』

 

12月には、WBOライト級王者のホセ・ペドラサとの王座統一戦を大差判定勝ちしてWBAスーパー王座の初防衛とWBO王座を獲得 『観戦記2262』ロマチェンコはWBC王者やIBF王者との統一戦を望むも、IBF王者のリチャード・コミーは怪我で流れWBC王者のマイキー・ガルシアは1か月前に1ヶ月前にIBFウェルター級王者のエロール・スペンスに挑戦して大差判定負けし 『観戦記2402』 WBCライト級王座は返上予定。そして、WBAの指名戦となりWBA1位で元WBA王者のアンソニー・クロラの挑戦を受け4RTKO勝ちでWBA3度目&WBO初防衛に成功 『観戦記2404』

 

そして!3本目のライト級王座を狙い対戦するのが、WBCライト級王者のルーク・キャンベル!

 

1987年9月にイギリスのヨークシャー生まれのルーク・キャンベルは、後に宿敵となるワシル・ロマチェンコと同じ年齢。やはり若くからボクシングを始め、2008年に欧州選手権で優勝~そして、2012年の地元開催となるロンドン五輪に出場~準決勝で清水聡選手を破り(ルーク・キャンベルのダウンをレフリーが取ってくれなかった)決勝ではジョン・ジョー・ネビンを降しバンタム級金メダルを獲得。

2013年7月にデビューし、アンディ・ハリスに1RでKO勝ち~その後も10連勝8KOして、2015年8月にWBCインターナショナルライト級王座決定戦&WBCライト級挑戦者決定戦でトミー・コイルを10RにTKOで降し王座と挑戦権を獲得~しかし12月の初防衛戦で、イバン・メンディに1-2の判定負けでWBCインターナショナルライト級王者から陥落~2016年3月に、ゲイリー・サイクスとのコモンウェルス英連邦ライト級王座決定戦を2RにTKO勝ち~7月にアルへニス・メンデスと、WBCライト級シルバー王座決定戦で対戦し判定勝ちで王座獲得~10月に元WBAライト級暫定王者のデリー・マシューズを4RにKOして、WBCライト級シルバー&コモンウェル英連邦王座の初防衛に成功 『観戦記2158』

2017年2月にもハイロ・ロペスを2RにTKOで降し、WBCライト級シルバー&コモンウェルス英連邦王座の2度目の防衛に成功~2017年4月にダルレイス・ロペスに9RでTKO勝ち。そして9月に、WBAライト級王者のホルヘ・リナレスに挑戦も1-2の判定負け 『観戦記1795』

 

2018年9月にWBCライト級王座挑戦者決定戦で、WBC2位としてWBC1位のイバン・メンディと対戦し判定勝ちして挑戦権を獲得 『観戦記2160』

 

しかし、WBCライト級王者のマイキー・ガルシアはウェルター級でエロール・スペンスに挑戦 『観戦記2402』2019年3月に調整試合としてアドリアン・ユングを5RにTKOで降す。

 

フェザー級&スーパーフェザー級では統一戦ができなかったロマチェンコが、わずか4戦目3本目の王座にリーチをかける!ロンドン五輪ではライト級(60kg)で金メダルのロマチェンコと。フェザー級が廃止されたので、バンタム級(56kg)で金メダルのキャンベル。しかし、身長で5cm、リーチで14cm勝るキャンベルに、ライト級でも無双状態のロマチェンコは‘ハイテク‘振りを魅せて4団体統一に向かうのか!?

 

2019年8月31日 3団体ライト級王座戦 ワシル・ロマチェンコvsルーク・キャンベル

 

ワシル・ロマチェンコ 13勝10KO1敗 3階級制覇王者

 

ルーク・キャンベル 20勝16KO2敗 WBC1位

 

1R、やはり大きいキャンベルが、前手を出しながらジリジリ前に出ていきパンチを出していく

 

ロマチェンコは、左右に動きながらフェイントをかける~しかし、パンチは出さずキャンベルは踏み込んでくる

 

2R、ロマチェンコは手数出てこないが、動きが増していき徐々に距離が詰まる

 

パンチは少ないロマチェンコだが、プレッシャーは効きキャンベルはロープを背にする

 

3R、キャンベルは手数多く出し、ロマチェンコに出入りをさせない

 

しかし、ロマチェンコはステップを細かくしながら潜っていき左ストレート!

 

4R、いよいよ、ロマチェンコがプレスを強める~流れるように動きながらパンチを出すが、キャンベルも必死に合わせようとする

 

廻るキャンベルを、ロマチェンコが追いかける~ロマチェンコがボディーでキャンベルを止めにいく

 

5R、さらに、左右に動きを速めるロマチェンコ~パンチを当てては、キャンベルが返すといなくなる

 

廻るキャンベルに、ロマチェンコは、カウンターを警戒して無理に攻めないも左ストレート!キャンベル効いたか!?一気にロマチェンコが踏み込んでいく!

 

6R、リーチの差など関係なく、変幻自在な動きからロマチェンコがパンチを当てていく

 

キャンベルは足を止めない~ロマチェンコはボディー!コーナーに詰めて打ち降ろす!

 

7R、キャンベルが出ていく~休んでいるのか?ロマチェンコは当てられてはいないが、パンチが出てこない

 

ロマチェンコが踏み込んで左ストレート!しかし、かわしたキャンベルがボディーから連打!

 

8R、キャンベルは左ボディーアッパーを狙っているが、ロマチェンコが気にせず攻める!

 

ロマチェンコの方から詰めてボディー~左フック!

 

9R、手数落ちないキャンベルが、サークリングするロマチェンコを追いかけ打つ

 

細かくジャブを入れるロマチェンコ~キャンベルが出ていきボディーを叩くも、ロマチェンコは華麗なステップからジャブをポンポン入れる

 

10R、ロマチェンコは、狙っているのか手数が出ない~キャンベルは出すが当たらず、ロマチェンコが出てくるとロープに詰まる

 

廻るキャンベルをロマチェンコか追いかけるも、なかなかクリーンヒットを奪えない

 

11R、ロマチェンコが倒しにいっている~キャンベルも、必死に廻りながら手を出すが当たらない

 

ロマチェンコが詰める~コーナーに追い込まれたキャンベルが返すと、ロマチェンコがカウンターの左!

 

ロマチェンコが連打~キャンベル必死に廻るも、ロマチェンコは逃がさない!キャンベルは膝をつきダウン!

 

立ち上がったキャンベルに、ロマチェンコが飛び込んでいくがラウンド終了

 

12R、倒しきりたいロマチェンコが追い回すが、キャンベルも凄まじい回復力で返してくる

 

キャンベルが必死にボディーも、ローブローで中断~最後までロマチェンコが追い廻して打つが倒せず試合終了

 

判定は、119-108 119-109 119-109 大差3-0でワシル・ロマチェンコの判定勝ち!

 

ここまで差があるか!?となったロンドン金メダル対決だったが、キャンベルはリーチ差を生かすことはできずに完敗。ロマチェンコは自在に動いて、ボディーを打ちに飛び込んでもキャンベルは捕まえられずに腹を効かされた。それでも諦めることなく‘ロマチェンコ勝ち‘にはならずに・・・・と言えるほどのスピード&テクニックを魅せたロマチェンコ。

試合前にはイギリスメディアから、WBAスーパーフェザー級スーパー王者のジャーボンテイ・デービス)との対戦の可能性を問われると「130ポンド(スーパーフェザー級)まで下げて、デービスと戦うことが出来ると思います」 と答えていたが、ライト級で4団体統一を狙うロマチェンコは残るIBFライト級王座を狙う。そのIBFライト級王者リチャード・コミーは、4ヶ月後の2019年12月にIBF1位の‘TAKEOVER‘テオフィモ・ロペスとの指名挑戦試合。

 

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