観戦記2622 ラストファイト! 岩佐亮佑vsジャフェスリー・ラミド | 人生マイペンライ

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格闘技を愛し50歳過ぎても殴り合う

《本日のTV鑑賞》

 

どのスポーツでもサウスポーというのは重宝がられる事が多い。昔はゴルファーは右構えに直されたという話があるのも、ゴルフ発症のイギリスは道路も日本と同じ左側通行なのと関係あるのか!?近代スポーツの発祥はほとんどがイギリスなので、イギリスは右構えが中心だからサウスポーが貴重なのだろうか!?野球などでは右投げ左打ちが利にかなっている事が証明されているが、左バッターは左投げピッチャーに弱い事は通説になっている。

ボクシングでも圧倒的に右構えが多く、呼び名も右構えを‘オーソドックス‘と呼ぶ。そして、右利きの選手をサウスポーに変える‘コンバーテッドサウスポー‘にする事もあるほど。日本人の中で左利きは10%と云われているが、日本人世界王者の25%がサウスポーと言われている。日本人世界王者の中で通算10度以上防衛したのは、元WBAライトフライ級王者でサウスポーの具志堅用高さん、元WBA&WBCスーパーフライ級王者でコンバーテッドサウスポーの渡辺二郎さん、元3階級制覇王者でサウスポーの長谷川穂積さん、元WBAスーパーフェザー級王者の内山高志さん、元WBCバンタム級王者でサウスポーの山中慎介さん、そして4階級制覇を目指す井上尚弥選手。

「サウスポーだから対戦を避けられた」という話があるほどサウスポーは嫌がれるが、数少ないサウスポーだからサウスポーはサウスポーが苦手という論理は合っているようで合っていない気もする。どちらが、サウスポーに対応ができるか!?という事なのだろうが、元IBFスーパーバンタム級王者の岩佐亮佑選手は、32戦のうち敗北は王座戦の3敗。全てがサウスポーの相手という完全なサウスポーを苦手としているサウスポー。

 

1989年12月に千葉県柏市で生まれた‘Eagle Eye‘岩佐選手は、元WBAスーパーフライ級王者のセレス小林会長が2003年11月に柏市に開設したセレスジムに中学2年で直ぐに入会~中学卒業後に、プロに成ろうとするも社会人経験がしっかりあるセレス会長らしく高校への進学しアマチュアで実績を積むよう説得される~名門・習志野高校に進み、ボクシング部で高校3年生時には選抜・インターハイ・国体を制覇し3冠を達成。

 

2008年8月に18歳で6回戦デビューし、高橋慎弥選手に5RでTKO勝ち~10月に、メキシコのエドガー・アレンデに判定勝ち~2009年2月に花木章年選手を1RでKO~ファラソナ・フィダル、マービン・タンパス、佐藤裕樹選手、臼井欽士郎選手に8連勝6KO無敗で、日本最強後楽園にも優勝し日本バンタム級1位までランキングを上げる。そして、2012年3月のチャンピオンカーニバルで後のWBCバンタム級王者でサウスポーの山中慎介選手の日本バンタム級王座に挑戦 『観戦記172』 素晴らしい熱戦も最終ラウンドにTKO負けで王座獲得ならず。

 

8月にインドネシアのラス・マヌディンを2RでKOし再起~11月に、山中選手が世界戦を控え返上した日本王座をゼロフィット・ジェロッピ瑞山と争い判定勝ちで王座栄冠~2012年3月の初防衛戦は、日本2位でKO負けがない村井勇希選手を1RでKO~7月の2度目の防衛戦は、益田健太郎選手を7RにTKO勝ち 『観戦記231』 10月に2012年10月に亀田興毅さんのWBAバンタム級王座に挑戦したデビッド・デラモラに大差判定勝ち~2013年3月に東洋太平洋10位のマーク・ジョン・ヤップには最終ラウンドにあわやKO負けか!の場面があるも判定勝利 『観戦記423』 7月にジェッカー・ブハウェにジャッジ3者が100-90を付ける完勝~12月には、東洋太平洋バンタム級王者の椎野大輝選手に挑戦し5RにTKO勝ちで王座栄冠~2014年3月に、東洋太平洋バンタム級1位のリチャード・プミクピックに判定勝ちで初防衛に成功 『観戦記750』 2014年12月には、IBFバンタム級4位の岩佐選手とIBFバンタム級6位のセルヒオ・ペラレスとによるIBFバンタム級挑戦者決定戦の入札があり帝拳プロモーションが落札。東洋太平洋バンタム級王座を返上して、挑戦者決定戦に臨む予定もペラレスが膝を負傷したため、フィリピンリカルド・ロアと闘い2RにTKO勝ち~世界戦が決まりそうでなかなか決まらず、IBFの挑戦者決定戦も流れて岩佐選手も 『心が折れそうになった』 と漏らすほど・・・しかし、IBFバンタム級王者のランディ・カバジェロが足首の負傷により、IBF3位の岩佐選手と4位でサウスポーのリー・ハスキンスでIBFバンタム級暫定王座決定戦も敵地イギリスの大声援に押され6RにTKO負けで王座獲得ならず 『観戦記915』

 

再起戦は、11月にスーパーバンタム級契約でマーロン・アルシリヤを5R負傷判定で勝利 『観戦記1091』 再起2戦目は、2016年2月にデニス・トゥビエロンを7Rにボディーで倒す 『観戦記1085』 自ら苦手と公言するサウスポーをKOしての再起2連勝~体重もキツクなりスーパーバンタム級で世界を狙う岩佐選手の再起3戦目は、2016年7月に1階級上のフェザー級でIBF12位パトムシット・パトムポンと契約体重56kg契約(スーパーバンタム級 55.338kg、フェザー級 57.153kg)を3RにKO 『観戦記1168』 なかなか決まらない世界再挑戦に岩佐選手もモチベーションが下がっている試合をこなし、その間に日本王座を争った山中慎介さんは12連続防衛を重ねる。

2016年10月に、IBFスーパーバンタム級3位の岩佐選手と8位のルイス・ロサ・ジュニアとでIBFスーパーバンタム級挑戦者決定戦をアメリカで11月に行うよう指令が出る!しかし・・・・前日軽量でルイス・ロサ・ジュニアが体重超過で失格~挑戦権は岩佐選手が獲得!そして、9月に小国以載選手のIBFスーパーバンタム級王座に挑戦し6RにTKO勝ちして念願の王座栄冠 『観戦記1371』

 

念願の世界王者となり、2018年3月の初防衛戦はIBF13位のエルネスト・サウロンに大差判定勝ち 『観戦記1436』 しかし内容に岩佐選手自身が 『スーパーバンタム級最弱チャンピオンです』 と口にするほど。さらに、8月の2度目の防衛戦ではIBF1位のTJ・ドヘニーに判定負けで王座陥落 『観戦記1516』

 

引退も考えたらしいが・・・・IBFスーパーバンタム級挑戦者決定戦のオファーを受け、2019年2月にアメリカのロスアンゼルスでセサール・フアレスを10R負傷判定で降し挑戦権獲得

 

しかし、IBF王者のダニエル・ローマンが負傷で暫定王座決定戦へ・・・12月にアメリカのニューヨークで、IBF3位のマーロン・タパレスとIBF暫定王者決定戦で対戦し11RにTKO勝ちして暫定王座を獲得 『観戦記1858』

 

しかし・・・WBAスーパー&IBFの2冠王者のダニエル・ローマンは、2020年1月にWBA1位のムロジョン・アフマダリエフと防衛戦をして1-2の判定負け~そして2021年4月に、WBAスーパー&IBF王者でサウスポーのムロジョン・アフマダリエフと岩佐選手でウズベキスタンにて王座統一戦も5Rに微妙なタイミングのストップでTKO敗け 『観戦記2158』

 

引退かと揺れた岩佐選手が、もう1度世界王者へと1階級上げてフェザー級での再起。2022年10月に2年2ヶ月振りの日本のリングで、元WBOフェザー級1位のゼネシス・カシミ・セルバニアを4RにTKOで降す 『観戦記2566』

 

そして、フェザー級2戦目で対戦するのはアメリカ期待のプロスペクト!元アマチュア全米王者で‘サウスポー‘のジャフェスリー・ラミド!

 

1999年11月にアメリカのカリフォルニア州ロングビーチで生まれたジェフェスリー・フラン・デオグラシアス・ラミドは、アマチュアでは11歳から公式戦に出場~2015年6月には後のWBOフライ級王者になるジェシー・ロドリゲスをアメリカジュニアオリンピック決勝で破り優勝~2016年USAユース全国選手権ベスト4~2017年USAウェスタン・リージョナルユースオープンベスト4~2017年7月の、リングサイド・ユース世界選手権では決勝でレイモンド・フォードに判定敗けで準優勝~2018年3月の、USAウェスタンエリートで優勝~5月のナショナル・ゴールデングローブでは、またもレイモンド・フォードに判定敗けでベスト4~10月のUSAイースタンエリートでもベスト4~12月の全米選手権では、またもレイモンド・フォードに準決勝で判定敗け。

2020年1月に、メキシコのバハ・カリフォルニア州ティファナでデビューしてヤイル・パティーノに判定勝ち~さらにティファナで3連勝2KOして、2021年9月に初のアメリカリングでビクター・サラビアに判定勝ち~その後もアメリカのリングで4連勝1KOし、2022年10月に初の8回戦でパブロ・クロスを1RにKOする。

 

岩佐選手は 『アマ全米王者、プロ10戦無敗のルーキー! 相手に不足無し。伊藤代表に、とにかくイケイケのスター候補みたいな奴あててくれとお願いしたら、正にその通りの試合が実現しました! 負ける気なんてさらさらありません! まぁ見てて下さい』 と話し試合地の韓国に旅立つ!ロマチェンコのスパーリングパートナーを指名されるラミドが、元世界王者を喰い一気に世界ランキングを駆け上がるか!?

 

2023年4月15日 ラストファイト! 岩佐亮佑vsジャフェスリー・ラミド

 

岩佐亮佑 28勝18KO4敗 WBCフェザー級11位

 

ジャフェスリー・ラミド 10勝4KO無敗 アマチュア全米王者

 

1R、サウスポー同士、お互い慎重に見ている~岩佐選手がジリジリ前に出て、ラミドがボディーに右を伸ばす

 

ラミドのジャブが速い~出入りのスピードも速いラミドが、飛び込んでの右フック!

 

2R、さらにラミドがスピードを上げ、遠い距離から踏み込んで右を伸ばす

 

岩佐選手が返すと、ラミドが左も被せてくる~岩佐選手はジャブから後が出てこなく、ラミドは速いコンビネーション

 

3R、岩佐選手がゆっくりと前に出ていくが、ラミドは空間をつくりながらジャブが速い!

 

当てては動くラミド~ラミドの出入りに、岩佐選手は着いていけていないか!?

 

ラミドがテンポよく攻める~動くラミドに、岩佐選手は顔面ではなくボディーを狙うが空振り

 

4R、岩佐選手がガードを固めながら入っていくが、ラミドは距離をキープしながらコンビネーション!

 

距離が空くと、ラミドのスピードに見てしまう岩佐選手~距離を潰して打っていく!

 

5R、距離が空くと、ラミドに翻弄される岩佐選手

 

5R、距離が空くと、ラミドに翻弄される岩佐選手

 

前に出て詰めていく岩佐選手も、手数&ヒット数はラミドが圧倒的

 

6R、ラミドの速いジャブに、岩佐選手が止められる~ラミドが飛び込んでワン・ツー!

 

さらにラミドが、廻りながら右フックで飛び込む~岩佐選手がラフに入ろうとすると、ラミドは狙い打ち!

 

ラミドのスピードに、岩佐選手着いていけない~ラミドが、ボディーにジャブから右フック!

 

7R、岩佐選手が必死にガードを固めて突っ込むも、ラミドはコンビネーションで受け止めてから動く

 

ガードを固め、身体ごと当たっていく岩佐選手~ラミドは、右構えに変えて力強く打ち返す!

 

それでも岩佐選手は懸命に前に出る~ラミドはコーナーに詰まるも、右フックで回して抜けていく

 

8R、ポイントでは厳しいだろう岩佐選手が突っ込む~ラミドは身体を入れ替え連打!

 

ラミドが回転を上げながら、身体も入れ替え打ちまくる!

 

最後までラミドは、距離をキープしながら手数で圧倒して試合終了

 

73-79 73-79 72-80 大差3-0でジャフェスリー・ラミドの判定勝ち!

 

見事にジャファスリー・ラミドは判定勝ちで11連勝を飾る!やはり・・・サウスポーは苦手で手数&スピードで圧倒されていいところが無かった岩佐選手は、試合前から勝っても敗けても1区切りつけると話していた。そして試合から1ヶ月半後の6月6日に 『試合をやって、しっかり完敗してやり切ったつもり。満足なので今回をもちまして引退としていただきたいなと思います。好きなことを始めたい。好きなことに向けて人生を突っ走りたい。車が大好きなので、その業界で。引退した後のモチベーションの変え方、切り替え方のアドバイスもできればいいなと。それがボクシング界への恩返しとして考えている。』 トレーナーやジム経営に関しては 『僕はやる方が好きだし、教える情熱がまだない。1つの道ではあるが、自分の情熱次第』 と話す。

敗れた後の4月に結婚と第一子が宿っている事を発表した岩佐選手の目は‘イーグル・アイ‘ではなく優しい目になっていた。

 

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