観戦記1947 WBOスーパーフライ級王座戦 オマール・ナルバエスvs井上尚弥 | 人生マイペンライ

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《本日のDVD鑑賞》

 

なんとか10日に生中継(現地9日)されたUFC249だが、アメリカやイギリスなどではまだまだ格闘技大会の開催の目途が立たずにいる。なんと言っても、4月25日にラスベガスで開催予定だったWBAスーパー&IBFバンタム級王者の井上尚弥選手とWBOバンタム級王者のジョンリル・カシメロの3団体統一バンタム級王座戦が延期になり・・・・再スケジュールも発表にならないのが残念で仕方ない。

1993年4月生まれの井上尚弥選手がデビューしたのが2012年10月、現在は27才でプロ19戦無敗の3階級制覇。あまりボロボロになるまでボクシングをやるのは井上選手の考えにはないみたいだが、年2回の試合と考えると35歳までやったとして8年16戦ぐらいまで観られれば幸せなのかも。プロテストはスーパーバンタム級で受験しているぐらいなので、スーパーバンタム級は(55.338kg)大丈夫だろうがフェザー級は(57.153kg)井上選手より大きかったドネアでも苦労したのでどうなのだろうか!?

WBSSバンタム級優勝後の記者会見でも 『しばらくはバンタムに留まる。いずれ適正と思えば階級は上げる』 ロマチェンコ戦についての質問には 『自分のパフォーマンスが発揮出来る階級であればやりたいが、適正階級でなければ望んでいない』 と話していた。

井上尚弥選手のライトフライ級(48.988kg)への減量はかなり過酷だったらしく、2014年4月のアドリアン・エルナンデスからWBCライトフライ級王座を奪取した段階で返上も検討したらしい。しかし、防衛してこそのチャンピオンと9月にサマートレック・ゴーキャットジムを11RにTKOで降す。

そして試合後に階級アップを大橋会長も発表し、2014年末に当時WBAフライ級王者のファン・カルロス・レベコとの対戦交渉に入る

 

しかし、レベコの10月の8度目の防衛戦がレベコの怪我で延期~暫定王者と12月に統一戦になる。ここで運命の歯車が回りだす!レベコのマネージャーはWBOスーパーフライ級王者のオマール・ナルバエスのマネージャーもしていて、やはり軽量級きってのファイトマネーが支払われる日本で試合がしたく大橋ジムに逆オファーがあったらしく井上選手は 『レベコは無理だが、スーパーフライ級のナルバエスならやれる」と、父を通じてその話を聞いた僕に、躊躇などなかった。フライ級でさえ、まだ減量が苦しい。2階級上なら思う存分力を発揮できるし、しかも相手が無敗の2階級制覇王者で11連続防衛中』 減量によって、どれほどモンスターの力が削ぎ落とされていた事を、まだナルバエス陣営は勿論のこと大橋ジム関係者以外世界中のファンが目撃する事になる

井上選手は父親の真吾さんがアマチュアでボクシングをしていた事もあり、小学校1年生の時に父が経営するジムでボクシングを始める~史上初の高校7冠を達成し~ロンドン五輪を目指すが、アジア選手権決勝でカザフスタンのビルジャン・ジャキポフに負けて銀メダル。ロンドン五輪を諦めて父親の考えもあり、父から離れ大橋ジムに入門も 『塗装業を経営していた父が、それを捨ててまで自分たちのトレーナーに就いてくれたからもっと頑張らなきゃと思うし、親子で二人三脚でやって世界王者になる事が一番意味がある事だから他の人では駄目』 と、真吾さんもトレーナーとして大橋ジムに入る。

2012年10月のデビュー戦は、東洋太平洋ミニマム級7位のクリソン・オマヤオを4RでKO 『観戦記289』 早くも、日本ライトフライ級6位&東洋太平洋10位。2戦目は、2013年1月にTV的にはタイの王者ガオフラチャーン・チューワッタナを(知っている人は、ガオフラチャーンが日本での戦績が1勝6敗のそういうボクサー)110秒でKO 『観戦記366』そして4月の3戦目に日本ライトフライ級1位の佐野友樹選手を10RにTKO 『観戦記453』 8月に日本記録の辰吉丈一郎選手に並ぶ、4戦目での日本王者を狙って現WBCライトフライ級王者の田口良一選手の日本ライトフライ級王座に挑戦し判定で日本王座栄冠 『観戦記563』12月の5戦目に、小野心選手が返上した東洋太平洋ライトフライ級王座をヘルソン・マンシオと決定戦を行い5RにTKOで八重樫選手と並ぶ5戦目で栄冠。そして、2014年4月に当時は日本最速の6戦目で(現在は田中恒成選手が5戦目で奪取 『観戦記888』)アドリアン・エルナンデスを6RにTKOでWBCライトフライ級王座を栄冠。これは、師匠の大橋会長、大橋会長の師匠の米倉会長の6戦目での世界王者挑戦失敗の無念を晴らした50年越しの悲願達成。

 

9月には初防衛戦でサマートレック・ゴーキャットジムを11RにTKO勝ち~WBCライトフライ級王座を返上。強いな。と思いましたが、ボクシング関係者や私は横浜に住んでいるので大橋ジムの関係者や現役から聞く 『井上尚弥の減量前は怪物どころじゃない!ローマン・ゴンサレスに勝てる』 と言う言葉を、私はまだ信じきれなかった。

 

そして正式に11月6日でWBCライトフライ級王座を返上して、12月30日にWBOスーパーフライ級王者のオマール・ナルバエスに挑戦!

 

1975年7月生まれアルゼンチンのチュブ州出身のナルバエスは、5人兄弟全員がボクシングをするボクシング一家。ナルバエスは早くから頭角を現し、21歳の1996年にはアトランタ五輪に出場して1回戦で後のWBOスーパーバンタム級&スーパーフェザー級王者になるホアン・グスマンに判定勝ち~2回戦で敗退するも、1997年の世界選手権では銅メダルを獲得~1999年のパンアメリカ競技大会では、後に川島勝重さんや徳山昌守さんのWBCスーパーフライ級王座に挑戦するホセ・ナバーロに判定勝ちして優勝~1999年の世界選手権でも、銀メダルを獲得~2000年のシドニー五輪にも出場するが、2回戦で後のWBAバンタム級王者になるウラジミール・シドレンコに判定負け。

五輪後、直ぐにプロに転向して12月にカルロス・グスタボ・パラシオスに4RでTKO勝ち~その後も1分はあるも9勝6KO1分で、2002年7月にアドニス・リバスを大差判定で降しWBOフライ級王座を獲得~9月に、後のIBFライトフライ級王者になるルイス・アルベルト・ラサルテに10Rにバッティングによる反則勝ちして初防衛に成功~12月にイタリアで、アンドレア・サリッツを2-1の判定で降し2度目の防衛に成功~2003年6月に、エベラルド・モラレスを5RにTKOで降し3度目の防衛に成功~8月にアンドレ・サリッツとの再戦を、1-1のドローで4度目の防衛に成功~11月には、アレクサンデル・マクムを10R終了時TKOに降し5度目の防衛に成功~2004年3月に、まだ8戦目のレジナルド・マルティンカス・カルヴォルホを3RにTKOで降し6度目の防衛に成功~なぜかノンタイトル戦を3戦3KOして、2005年12月にバーナード・イノムを11RにTKOで降し7度目の防衛に成功~またもノンタイトル戦を挟み6RにTKO勝ちし、2006年8月にレクソン・フローレスを大差判定で降し8度目の防衛に成功~10月にも、ワルベルト・ラモスを判定で降し9度目の防衛に成功~2007年3月にシドニー五輪フライ級金メダリストで、元WBAライトフライ級王者のブライム・アスロウムを大差判定で降し10度目の防衛に成功~2007年9月に、マルロン・マルケスに4RにTKOで降し11度目の防衛に成功~2008年1月には後のIBFライトフライ級王者になるカルロス・タマラ大差判定で降し12度目の防衛に成功~5月にスペインで、イヴァン・ポゾを7R終了TKOで降し13度目の防衛に成功~9月に、後のWBOバンタム級暫定王者になるアレハンドロ・エルナンデスを判定で降し14度目の防衛に成功~2009年2月に、レイオンタ・ウィットフィールドを10RにTKOで降し15度目の防衛に成功~6月にも、オマール・ソトを11RにKOして16度目の防衛に成功しWBOフライ級王座を返上。

スーパーフライ級に上げて、2010年2月にサンティアゴ・イバン・アコスタを判定で降す~2010年5月に、ホルヘ・アレスが返上したWBOスーパーフライ級王座決定戦でエバース・ブリセノを判定で降し2階級制覇達成~2011年2月に、ビクトル・ザレタを判定で降し初防衛に成功~4月にも、セザール・セダを判定で降し2度目の防衛に成功~6月に、ウィリアムス・ウリナ大差判定で降し3度目の防衛に成功~11月にはWBOスーパーフライ級王座を保持したままWBC&WBOバンタム級王者のノニト・ドネアに挑戦するも大差判定負けで初黒星  『観戦記38』

 

再びスーパーフライ級に戻し、2012年4月にWBO2位のホセ・カブレラを判定で降し4度目の防衛に成功~10月にも、ジョニー・ガルシアを11RにKOして5度目の防衛に成功~12月に、デビット・キハノを大差判定で降し6度目の防衛に成功~2013年5月に、WBO1位のフェリペ・オルクタを2-1判定で降し7度目の防衛に成功~8月には、WBO15位の久高寛之選手を10RにTKOで降し8度目の防衛に成功~12月に、ダビ・カルモナを7RにTKOで降し9度目の防衛に成功~2014年5月に、アントニオ・ガルシアを4RにKOして10度目の防衛に成功~9月には、1年前に苦戦したフィリペ・オルクタを2-0の判定で降し11度目の防衛に成功。

 

39歳の王者ナルバエスは初の世界王者になったのが12年前で、その時の井上選手はリング下に息子と同じ9歳!3ヶ月前の9月に、同ジムの八重樫東選手からWBCフライ級王座を奪ったローマン・ゴンサレスとの怪物対決を観たかったが・・・・

かつてのマニー・パッキャオのように、飛び級で名王者への挑戦に井上選手がモンスターを発揮する!

 

2014年12月30日 WBOスーパーフライ級王座戦 オマール・ナルバエスvs井上尚弥

 

オマール・ナルバエス 43勝23KO1敗2分 12度目の防衛戦

 

井上尚弥 7勝6KO無敗 WBO8位

 

1R、サウスポーのナルバエスに対して、井上選手は中から外から左!

 

そして、ナルバエスはガードするが井上選手の右!前戦までとはまるで違う力強さ!

 

さらに、井上選手が出る!力強い右~素早い踏み込みでアウトを取ってのボディー!

 

ナルバエスも左を伸ばすが、井上選手はスッとバックステップ

 

井上選手が出る!右でガードの上からでも、ナルバエスをグラつかせる!

 

さらに、井上選手の右でナルバエスを吹き飛ばす!ダウン!

 

立ち上がったナルバエスに、井上選手が詰める!なんだこのパンチは!?ナルバエスがガードごと吹き飛ぶ!

 

さらに井上選手が右~左フック!ナルバエスは崩れる!ダウン!

 

立ち上がったナルバエスに、井上選手が走って極めにいく~左ボディー!

 

なんとも荒々しく、かつ正確なパンチで井上選手がナルバエスを追い詰める~ナルバエスはガードを固めて足を使う

 

ナルバエスも、しっかりガードしながらも動きながら返す~井上選手はガードの隙間を狙う!左フック!

 

2R、ナルバエスは、さらにガードを固め慎重になる~自信満々の井上がワン・ツー!

 

井上選手がガンガンいく!ナルバエスも左!ガードが高く固いナルバエスに、井上選手がボディー!

 

ナルバエスも前に出て振ってくるが、井上選手とスピードが違う!スッとバックステップしてパンチを合わす~ナルバエス追う!

 

ナルバエスの右フックをかわして、井上選手の左フック!またも、ナルバエスはダウン!

 

立ち上がったナルバエスを、井上が追い回す!またも、ガードごと吹き飛ばしそうな右!

 

ガードを高く廻るナルバエスに、井上選手が右ボディー!ナルバエスの体が折れる!

 

ナルバエスも細かく返す~井上選手は左ボディー!

 

後退するナルバエスに、井上選手がジャブで追う~ワン・ツー!左ボディー!

 

うずくまったナルバエス!これは無理!

 

見事に2RKOで井上選手が、WBOスーパーフライ級王座を獲得し2階級制覇!いやぁ~この試合の衝撃は5年半経ってもまったく色あせず、久しぶりにDVD鑑賞したが思わず唸ってしまった。名勝負で言えば、昨年のノニト・ドネア戦なども素晴らしかったが 『観戦記1832』 この、ナルバエス戦のインパクトを超える試合は今のところ無い。当然、期待しすぎて観てしまい「これはヤバいかも」と、思わせるほどの相手が出て居ない事がとんでもない状態。

やはり、マニー・パッキャオにマルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスとの素晴らしい闘いでアジアから世界のスーパースターに駆け上がったように井上選手との名勝負を繰り広げるライバルの出現が待たれる。それが日本人の、元IBFスーパーバンタム級王者の岩佐亮佑選手であったり、元WBOフライ級王者の田中恒成選手だったりしたら本当にこの時代に日本に生まれた事が誇らしくなる

 

★ナルバエスは昨年末にIBFラテンアメリカバンタム級王座戦で惜敗 格闘技blogランキングをクリック格闘技 ブログランキングへにほんブログ村 格闘技ブログへにほんブログ村