太田道灌が、千葉の庁南(ちょうなん)城を攻めるべく山辺の道を行進していた。 すると、林の中から突然に矢が飛んできたり、山の上から射掛けられたりで負傷する兵士もでたので、「海辺を進もう」と言うことに成った。 それでは潮が満ちているか引いているか私が見て来ましょうと意気込む兵士を抑えて、道灌はじっと耳をすましていたが、「大丈夫、潮は引いている」と言い切った。


 遠くなり 近くなるみの 浜千鳥



          声にぞ潮の  満干(みちひ)をば知る


  (潮がみちていれば浜千鳥は近くまで寄ってくる、潮が

       引いていれば遠く離れて鳴き声も聞こえない


  古歌の知識を戦に役立てる・・道灌の面目躍如ですね。