こんにちは。
今日は会社法です。
いつも思うんですが、条文を読んでいて「言い回し」が解りずらいのがありますよね。
会社法はとくにそれを感じます。
読解力の問題
実務上、大切な力なんですが、ゲームのようにサクッとUpすることはありません。
日々、理解に努めるっちゅうことですね。(笑)
今日の過去問は、平成27年度問38の問題を○×式でやります。
取締役会設置会社(*委員会設置会社を除く。)であり、種類株式発行会社でない株式会社の単元株式に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らして正誤判定をしてみましょう。
*委員会設置会社=指名委員会等設置会社
それでは、早速。
問題
株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
正解は?
○
一単元
単元=通常の株式取引で売買される売買単位のこと。
問題では、株式会社は、「一定の数の株式をもって株主が株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。」と言っています。
と言うことは、一単元持っていないと「議決権」を行使できないってことですね。
せっかく、株を持っていても議決権を行使できないってあるんでしょうか
これ、以前、何度か確認しているんで大丈夫ですよね。
(単元株式数)
第百八十八条 株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
2 前項の一定の数は、法務省令で定める数を超えることはできない。
3 種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない。
問題に書かれているところは1項です。
株式会社が「一単元」を、2項の定めに基づいて自由に決めることができるってことです。
2項、法務省令で定める数=会社法施行規則で「1000株」及び「発行済株式の総数の1/200」を上限とする旨の定めがあります。
つまり、一単元の株数を、1株、100株、1,000株とかにするってことです。
その一単元の株を購入して株主になると、配当金や株主優待がもらえたり、議決権を行使することができるといった株主の権利を得ることがでると言うことです。
ここで重要なのは、、、
株は1株でも持っていれば「株主」ってことですね。
ですが、すべての権利を得るためには1単元以上の株を持つ必要があるってことになります。
つまり、単元未満の株式は、持っていたとしても、議決権がないなどの制限があるってことです。
これを変更するには
問題にも書かれていますが「定款」の変更が必要です。
第六章 定款の変更
第四百六十六条 株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。
では、この「株主総会決議」は
(株主総会の決議)
第三百九条
1 普通決議。
2 特別決議。
一~十 略
十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
十二 略
3~5 特殊決議他。
特別決議が必要ってことです。
考えてみましょう。
例えば100株を一単元とする定款変更決議がなされたとします。
すると、100株を持っていて初めて株主総会で1議決権を行使することができるということになります。
では、50株、99株を持っている人は
一単元に満たないので「議決権を行使」することは出来ません。
つまり、すでに株を持っている「株主」には、多大な影響があるってことですね。
そのため、「株主総会の特別決議」を要すると言うことです。
単元株を持っている、単元未満株を持っているでは、株主の権利などが大きく違うってところは重要ですね。
問題
株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について残余財産の分配を受ける権利を行使することができない旨を定款で定めることができない。
正解は?
○
残余財産の分配を受ける権利
残余財産分配請求権=会社が解散するに際して、借入金を返済し、なお財産が残る場合に、株主はその持ち株数に応じて、残った財産の分配を受けることができる権利。
つまり、「投下資本の回収」ってことですね。
借金返済して財産が残るんなら少しでも返してけろってことです。
ただ、問題では、「単元未満株主」です。
1問目で見ましたが、行使できる権利で制限がありましたよね。
ちょっと細かいですが、これはどうなん ってことです。
(単元未満株式についての権利の制限等)
第百八十九条 単元株式数に満たない数の株式(単元未満株式。)を有する株主(単元未満株主。)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない。
2 株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について次に掲げる権利以外の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる。
一~四 略
五 残余財産の分配を受ける権利
六 略
3 株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。
2項にありますね。
ただ、ちょっと言い回しが、、、
「次に掲げる権利以外の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる。」
つまり、「次に掲げる権利」の五号に「残余財産の分配を受ける権利」がありますので、単元未満株主にも残余財産の分配を受ける権利が保証されると言うことです。
少しでも残ったんなら出資したお金を返して欲しいと思うのは普通で、それは「単元未満株主」であっても同様に認められる権利と言うことです。
問題
株式会社が単元株式数を減少し、または単元株式数についての定款の定めを廃止するときは、取締役会の決議によりこれを行うことができる。
正解は?
○
ん
この問題は、、、
1問目の反対ですね。
「株式会社が単元株式数を減少し、または単元株式数についての定款の定めを廃止するとき」です。
1問目は、「一単元の株式とする旨を定款で定める。」って内容で「株主総会の特別決議」が必要でした。
これは、「単元未満株主」になってしまう株主もいるので、株主の権利に多大な影響があるからってことでしたよね。
とすると、「特別決議」には、「特別決議」で「減少又は定款の廃止」ってこと
第四款 単元株式数の変更等
第百九十五条 株式会社は、第四百六十六条の規定にかかわらず、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができる。
2 前項の規定により定款の変更をした場合には、株式会社は、当該定款の変更の効力が生じた日以後遅滞なく、その株主に対し、当該定款の変更をした旨を通知しなければならない。
3 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第四百六十六条の規定にかかわらず、
第四百六十六条 株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。
つまり、「株主総会の決議」は不要ってことです。
定款変更、廃止が「取締役の決定」でできるってことです。
先ほどの100株を一単元とする定款変更決議がなされた場合で考えてみます。
100株(一単元)を持っていないと株主総会で1議決権を行使することができない訳でしたよね。
つまり、50株、99株を持っている人は、一単元に満たないので議決権は無くなっている訳です。
これを一単元の数を「減少又は定款を廃止」する場合、減少の場合は議決権が復活することもありますよね。
もちろん、廃止になれば復活確定です。
と言うことは、株主にとって何も損をすると言うことはありません。
減少又は廃止することで得るメリットが増える可能性がある訳です。
つまり、株主が反対するってことは考えにくいですよね。
そのため、株主総会を開いて、株主に決議を諮る必要は無いと言うことです。
条文では、取締役の決定で定款変更して良いようですが、問題では、取締役会です。
もちろん、取締役の集まりが取締役会ですので条文かっこ書きの規定で取締役会の決議でOKってことです。
問題
単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
正解は?
×
この問題は、「単元未満株主の買取請求」についてです。
問題では、「定款にその旨の定めがあるときに限り、」株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができるて言っています。
買取請求権=権利者が一定の者に対して自己の有する権利の買取りを請求する権利。
単元未満株主の持つ、単元未満株式はどうなのか ってことですが、、、
先ほどちょっと書いたんですが、「残余財産の分配」を受けるのも「買取請求権」を行使するのも「投下資本を回収」するためのものです。
と言うことは、「定款にその旨の定めがあるときに限り、」って制限を設けると回収は出来ませんよね。
(単元未満株式の買取りの請求)
第百九十二条 単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、その請求に係る単元未満株式の数を明らかにしてしなければならない。
3 第一項の規定による請求をした単元未満株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、当該請求を撤回することができる。
1項に定めがあります。
特に制限は無く、認められる権利と言うことですね。
それと3項。。。
買取請求の撤回には、「株式会社の承諾を得た場合に限り、」できる。
この知識も問われたことがあります。
合わせて覚えちゃいましょう。。。
問題
単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式と併せて単元株式となる数の株式を売り渡すことを請求することができる。
正解は?
○
この問題は、「単元株式となる数の株式を売り渡すことを請求する売渡請求」についてです。
どういうことでしょう
先ほどの例で引き続き。。。
先ほどの100株を一単元とする定款変更決議がなされた場合で考えてみます。
100株(一単元)を持っていないと株主総会で1議決権を行使することができないってのはOKですね。
これは、あくまで例ですからね。
10株を一単元とかは、それぞれの会社が決めることです。
ここでの例は、100株一単元ってことで説明しているってだけの話です。
ここまでは良いですよね。
定款変更決議がなされたことで、50株、99株を持っている人は、一単元に満たなくなるので議決権は無くなっている訳です。
この問題、これを一単元にして、議決権を行使できるように「差分を売ってけろ。」って言えるって内容です。
「自己の有する単元未満株式と併せて単元株式となる数の株式を売り渡すことを請求することができる。」
つまり、「50株を持っている株主は+50株」、「99株を持っている株主は+1株」を売ってけろって請求できるって内容です。
どうなんでしょう
問題では、「定款にその旨の定めがあるときに限り、」できると書いてますが、、、
4問目で買取請求は、「投下資本の回収」のため、そう言った制限なく単元未満株主に認められていました。
この売渡請求はどうか ってのがこの問題です。
早速確認してみます。
第三款 単元未満株主の売渡請求
第百九十四条 株式会社は、単元未満株主が当該株式会社に対して単元未満株式売渡請求をすることができる旨を定款で定めることができる。
2 単元未満株式売渡請求は、当該単元未満株主に売り渡す単元未満株式の数を明らかにしてしなければならない。
3 単元未満株式売渡請求を受けた株式会社は、当該単元未満株式売渡請求を受けた時に前項の単元未満株式の数に相当する数の株式を有しない場合を除き、自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければならない。
4 第百九十二条第三項及び前条第一項から第六項までの規定は、単元未満株式売渡請求について準用する。
単元未満株式売渡請求=単元未満株主が有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を当該単元未満株主に売り渡すことを請求することをいう。
問題の内容は1項です。
問題では、「定款にその旨の定めがあるときに限り、」できると言っています。
条文では、「単元未満株式売渡請求をすることができる旨を定款で定めることができる。」と言っています。
同じことか
これは、3項、「単元未満株式の数に相当する数の株式を有しない場合を除き、自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければならない。」から解りますよね。
つまり、「定款に定めがある。」=単元株となる差額分の株式を有しない場合を除き、「売り渡さなければならない。」です。
と言うことは、問題通りで「定款にその旨の定めがあるときに限り、できる」と言うことです。
売渡請求をできるかどうかは、「定款に定め」があるかどうかで決まるってことです。
今日も最後まで有難うございました。
何か「気付き」はありましたか
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
悠々自適に暮らしたい。。。
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