こんにちは。
最近、飲酒運転の記事が少し目立つような気がします。
こんなこと言うのは何なんですが、「喉元過ぎれば・・・」ってやつなんでしょうかね
強い意思をもってやってはイケないことなんですが、何故でしょう。。。
自分に甘い人は、「いる」ってことですね。
飲酒に限らずですが、、、
自分に甘いって楽なんでしょうね。。。
今日の過去問は、平成19年度問6の問題を○×式でやりたいと思います。
外国人の憲法上の権利に関する最高裁判所の判例からの問題です。
それでは、早速。
問題
普通地方公共団体は、条例等の定めるところによりその職員に在留外国人を採用することを認められているが、この際に、その処遇について合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることは許される。
正解は?
○
この問題、条例等で定めることで職員に「在留外国人を採用することが認められている」と言っていますね。
実際のところ、私もTVで紹介されているのをなんかの番組で見かけたことがあります。
普通地方公共団体=都道府県及び市町村
問題前半は、間違いではなさそうです。
後半ですね。。。
「その処遇について合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることは許される。」
良いんでしょうかね これ 差別にはならないのでしょうか
処遇=人を評価し、それぞれに応じた扱いをすること。またその扱い。
早速確認してみますね。
平成10(行ツ)93 管理職選考受験資格確認等請求事件 平成17年1月26日 最高裁判所大法廷 判決 破棄自判 東京高等裁判所
地方公務員のうち、住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするもの(以下「公権力行使等地方公務員」という。)については、次のように解するのが相当である。
1.住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行うもの
2.普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とするもの
これは役所の「管理職=公権力行使等地方公務員」ってことですね。
すなわち、公権力行使等地方公務員の職務の遂行は、住民の権利義務や法的地位の内容を定め、あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど、住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有するものである。
それゆえ、国民主権の原理に基づき、国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条、15条1項参照)に照らし、原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり、我が国以外の国家に帰属し、その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではないものというべきである。
普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で、日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは、合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり、上記の措置は、労働基準法3条にも、憲法14条1項にも違反するものではないと解するのが相当である。そして、この理は、前記の特別永住者についても異なるものではない。
労働基準法
(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
日本国憲法
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2、3 略。
ポイントは、「日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものである」と「我が国以外の国家に帰属し、その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人」ですね。
一般職はOKだけど、こう言った合理的な理由から「管理職」については処遇が違っても、労基法、憲法にも違反せず合憲ってことですね。
なるほど~って感じですね。
問題
日本に在留する外国人のうちでも、永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特に緊密な関係を持っている者に、法律によって地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与することは、憲法上禁止されない。
正解は?
○
この問題は大丈夫なんじゃないでしょうか
有名な判例ですよね。。。
ただ、注意点がありましたよね。
「法律によって、」ですね。
「条例」ではダメってことです。
この辺の引っ掛けには注意ですね。
それと自治体に関する重要事案について、住民が直接、意思表示する住民投票には、外国人も参加できる住民投票条例を制定する自治体が増えてきているようです。
牡蠣の美味しい広島市では、すでに外国人の投票が可能になっているようですね。
それでは判例を確認します。
平成5(行ツ)163 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消 平成7年2月28日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪地方裁判所
憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。
日本国憲法
第九十三条
1 略
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
ポイントは、先ほども書いた「法律をもって、」と「永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、」です。
それと判例の続き、、、
しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。
ここまで頭に入れときましょうね。。。
問題
国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押なつを強制することは、憲法13条の趣旨に反して許されず、また、この自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解される。
正解は?
○
この問題も文章だけ読んでも問題はなさそうですね。
正当な理由なく指紋の押なつを強制すること→憲法13条の趣旨に反して許されない
日本国憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
まぁ、「正当な理由なく強制すること」ですからね、この通りでしょう。。。
ただ、この保障が外国人にも等しく及ぶのかってところが疑問ですね。
早速判例を、、、
平成2(あ)848 外国人登録法違反 平成7年12月15日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
憲法一三条は、国民の私生活上の自由が国家権力の行使に対して保護されるべきことを規定していると解されるので、個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、同条の趣旨に反して許されず、また、右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解される。
書かれてますね、「我が国に在留する外国人にも等しく及ぶ」です。
続きます。。。
しかしながら、右の自由も、国家権力の行使に対して無制限に保護されるものではなく、公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受けることは、憲法一三条に定められているところである。
「無制限に保護されるものではなく、」→「公共の福祉に反する場合は保護されない」
後半を読んでいくと「指紋押捺制度の立法目的には十分な合理性があり、必要性も肯定できる」って内容ですので、「指紋押捺制度」自体は、合憲と言うことです。
問題
社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国はその政治的判断によって決定することができ、限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たって、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許される。
正解は?
○
この問題はいかがでしょうか
文章だけを読んだ感じでは、今まで見た判例に照らしても問題なさそうですが。。。
問題に書かれている社会保障の財源には、限りがありますよね。
その限られた財源をどのように使うかは、政治政策によるところです。
1問目で、「我が国以外の国家に帰属し、その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人」って判例に書かれていましたよね。
社会保障を受ける権利などは、やはり外国の方の場合、第一次的には、国籍を有する国にその保障を求めるべきなんではないでしょうか
昭和60(行ツ)92 国民年金裁定却下処分取消請求事件 平成元年3月2日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、当該外国人の属する国との外交関係、変動する国際情勢、国内の政治・経済・社会的諸事情等に照らしながら、その政治的判断によりこれを決定することができるのであり、その限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも、許されるべきことと解される。
したがつて、法八一条一項の障害福祉年金の支給対象者から在留外国人を除外することは、立法府の裁量の範囲に属する事柄と見るべきである。
法八一条一項=国民年金法
限られた財源の下で社会保障を行うに当たっては、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されると言うことです。
問題
外国人は、憲法上日本に入国する自由を保障されてはいないが、憲法22条1項は、居住・移転の自由の一部として海外渡航の自由も保障していると解されるため、日本に在留する外国人が一時的に海外旅行のため出国し再入国する自由も認められる。
正解は?
×
この問題も有名な判例ですね。
外国人は、憲法上日本に入国する自由を保障されてはいません。
これは、以下の判例で確認できます。
昭和29(あ)3594 外国人登録令違反 昭和32年6月19日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
憲法二二条は外国人の日本国に入国することについてはなにら規定していないものというべきであつて、このことは、国際慣習法上、外国人の入国の許否は当該国家の自由裁量により決定し得るものであつて、特別の条約が存しない限り、国家は外国人の入国を許可する義務を負わないものであることと、その考えを同じくするものと解し得られる。
外国人の入国の許否は当該国家の自由裁量により決定し得るもの
許否=許すことと許さないこと。
そして、「特別の条約が存しない限り、国家は外国人の入国を許可する義務を負わない」です。
それと問題に書かれた憲法の条文ですが、、、
日本国憲法
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
問題の「憲法22条1項は、居住・移転の自由の一部として海外渡航の自由も保障している」ってところは、ちょっと難しいです。
海外渡航の自由は、狭義には、「一時的な外国旅行の自由」を言い、広義には、「外国に住所を移す自由」を含みます。
海外渡航の自由は、一般に第二十二条2項(多数説)の「外国に移住」の自由の一種として保障されていると考えられていますが、問題文にもあるように、「居住・移転」の自由の一部として第二十二条1項で保障されているという考え方もあります。
これは、争いがあると言うところです。
そして、問題文の結論です。
平成1(行ツ)2 再入国不許可処分取消等 平成4年11月16日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものでないことは、当裁判所大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。
日本に在留する外国人が一時的に海外旅行する自由=(入国許可+出国の自由)→再入国の自由×
外国人には、入国の自由がありませんので、当然、再入国の自由も認められるものではありません。
今日のところはここまでです。
最後まで有難うございました。
んでまずまた。
押してってけせ。。。
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