こんにちは。
今日は、民法です。
最初の頃は書かれている言葉がわからなくて苦労したもんです。
独学ですからね、しょうがありませんけど。。。ただ、自分で調べれば良いんですよね。
この年齢ですから学校とか行って、「こんなのも知らないの」って言われるよりは「マシ」って気持ちで一つ一つ積み重ねてきました。
「聞くは一時の恥」って言いますが、どうなんだろか
あまりにも法律を学ぶ人にとっては「常識だよ」ってのも知らないと「一時の恥」でもね。。。ちょっと。。。
だから独学 でも合格 だからやればできるんですよ
今日の過去問は、平成20年度問27の問題を○×式でやりたいと思います。
Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合に関し、民法の規定及び判例に照らして検討してみましょう。
それでは、早速。
問題
Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。
正解は?
○
この問題の大前提は
「Aさんが、自己の所有する甲土地をBさんと通謀してBさんに売却した場合」と言うものです。
通謀=二人以上のものがぐるになり、あらかじめ示し合わせて事をたくらむこと。共謀。
と言うことは、仮装売買と言うことですね。
なんでこんな面倒臭いことをするんでしょうか
そうですね、Dさんは一般債権者ですから、Aさんに対して「支払ってもらうべき債権」を持っていると言うことです。
裏を返せば、AさんはDさんに「支払うべき債務」を負っている訳です。
Dさんからの取り立てを逃れるため、Aさんは、Bさんと通謀して甲土地を仮装売買したと言う訳ですね。
Dさんとしては、甲土地と言う担保があったのでAさんと何らかの取り引きに応じたはずですよね。
その「甲土地」が、、、
この問題、有名な条文がありますよね。
(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
1項ですね、AさんとBさんの仮装売買(相手方と通じてした虚偽の意思表示)は、「無効」です。
では、一般債権者であるDさんは、A・B間の売買の無効を主張することができるのか
これ、Dさんが無効を主張することができなかったら・・・
民法が、「仮装売買を認める」と言う結果になってしまいますね。
当然ですが、そんなことは許される訳がありませんから、Dさんは、無効の主張をすることができるはずです。
これは、有名な言い回しがありますよね。
「無効は、誰からでも主張することができる」
当然、Dさんは、Aさんに債権を持っていますので無効を主張することができます。
それでは、Dさんは、無効を主張するだけで良いんでしょうか
Aさんに「甲土地」がないとDさんは債権を回収することができませんよね。
(債権者代位権)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2 略。
1項ですね。
債権者(Dさん)は、自己の債権を保全するため、債務者(Aさん)に属する権利を行使することができる。
Dさんは、Bさんに対して、Aさんの所有権に基づく甲土地の返還請求権を代位して行使することができると言うことになります。
結果として、Aさんに「甲土地」が戻りますから、Dさんは債権を回収することができるようになります。
めでたし、めでたし。。。
問題
Bの一般債権者FがA・B間の仮装売買について善意のときは、Aは、Fに対して、Fの甲上地に対する差押えの前であっても、A・B間の売買の無効を対抗することができない。
正解は?
×
今度は、Bさんの一般債権者Fさんの登場です。
一般債権者Fさんは、Aさん・Bさん間の仮装売買について善意のようですね。
Bさんの相手方、Aさんは、Fさんに対して、
Fさんが甲上地を差押える前であっても、Aさん・Bさん間の売買の無効を対抗することができないのか
先ほど見た条文ですね。
(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
2項で「善意の第三者に対抗することができない。」と規定しています。
と言うことは、Fさんは善意ですから、Aさんは、対抗(主張)できないのか
う~ん、善意は善意なんですが、Fさんは、「第三者」なの
この第三者の定義は判例で示されています。
昭和40(オ)204 所有権確認等請求 昭和45年7月24日 最高裁判所第二小法廷 判決 その他 仙台高等裁判所
民法九四条二項にいう第三者とは、虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者をいい、虚偽表示の相手方との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた者のみならず、その者からの転得者もまた右条項にいう第三者にあたるものと解するのが相当である。
この判例、ポイントは、
「その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者」 ですね。
その表示の目的(甲土地)につき法律上利害関係を有するに至つた者と言うことです。
「法律上の利害関係」
Fさんは、この仮装売買に関してなんらかの法律上の関係を持ったのかと言うことですね。
ポイントは、Fさんは「甲土地を差押えていない」と言うことですよね。
と言うことは、Fさんは、甲土地とは何の関係もない人と言うことです。
これがもし、FさんがBさんから債権を回収するために、「甲土地を差押え」ていたら、これは、「法律上の利害関係」を有すると言うことになり、「善意の第三者」となります。
このケース、Fさんは、「善意」ではありますが、何らかの「法律上の利害関係」を有する善意の第三者ではありませんから、Aさんは無効を主張することができると言うことになります。
ちなみに、Aさんの仮装売買の相手のBさんのことを、「仮装名義人」と言うそうです。
確かに、仮装売買の購入者(役)ですからね。(笑)
問題
Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCは、A・B間の売買の無効を主張して、B・C間の売買を解消することができる。
正解は?
○
この問題はいろいろと。。。
この問題は虚偽表示による仮装売買を基本としたものです。
ですので、第九十四条1項により、「原則」無効です。
ただ、2項で「善意の第三者」には対抗できないって規定がありましたよね。
ですので、仮装名義人のBさんから甲土地を買ったCさんは、「善意の第三者」として売買契約の有効性を主張できるはずなんですが、何故かAさんとBさんの間の仮装売買契約の「無効」を主張し、さらに、自分達(CさんとBさん)の間の契約の解消をすると言う問題になっています。
この2項の規定は、「善意の第三者」を保護するためのものです。
そのため、「善意の第三者」Cさんが、売買契約が有効であることを望まないのであれば、原則に従い、AさんとBさんの間の売買契約は無効であると主張することが認められます。
Cさんは、無効を主張して、自分達(CさんとBさん)の間の契約を解消することができると言うことになります。
この問題はここまでなんですが。。。
この問題はいろいろと。。。
ちょっと見方を変えてみますね。
Cさんは善意です。
と言うことは、今回のAさんとBさんの仮装売買に関して「善意」と言う話です。
この「仮装売買」自体は原則無効です。
とすると無権利者のBさんが、甲土地の所有者Aさんに無断で甲土地をCさんに売却したって話になります。
わかりますよね、これは、「他人物売買」になります。
つまり、
(他人の権利の売買における売主の義務)
第五百六十条 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
売主(Bさん)は、その権利(甲土地の権利)を取得して買主(Cさん)に移転する義務を負う訳です。
そして、
(他人の権利の売買における売主の担保責任)
第五百六十一条 前条の場合(他人の権利を売買の目的としたとき)において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。
売主のBさんが、Aさんより甲土地の権利を取得できなかったとき、買主のCさんは契約の解除をすることができます。
善意ですから、「損害賠償の請求」をすることができますね。
1.仮装売買を基本とした考え方
2.仮装売買は原則無効だから他人物売買として考えたもの
取りようによっては、二通りの考え方ができますね。
問題
Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCに対して、AはA・B間の売買の無効を対抗することはできないが、Bはこれを対抗することができる。
正解は?
×
こ、これは
もう随分見ましたので大丈夫ですね。
第九十四条2項は、「意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」と規定していますよね。
この規定は、善意の第三者を保護するためのものです。
つまり、当事者AさんとBさんのいずれもが「善意の第三者」Cさんに無効を主張することができないことを意味します。
Aさんは対抗することができないけれど、Bさんは対抗することができるとなれば、「善意の第三者」の保護ははかれませんからね。
そのため、当事者であるAさんもBさんも善意の第三者であるCさんには対抗できないと言うことです。
問題
Bが甲土地につきAに無断でEのために抵当権を設定した場合に、Aは、善意のEに対して、A・B間の売買の無効を対抗することができない。
正解は?
○
Aさん、ちょっと可哀想。。。
Bさんに、無断で甲土地に抵当権を設定されちゃってますね。
この問題は、この1行で結論が出る問題です。
まぁ、じっくり読んできて頂いている方は解りますよね。。。
何故か
Eさんは、「善意」です。
そして、「その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者」 です。
Eさんは、甲土地に抵当権の設定を受けていますので、第九十四条2項に言う「善意の第三者」にあたります。
抵当権の設定=法律上利害関係を有する
と言うことは、仮装売買の当事者であるAさんは、Eさんに対して、AさんとBさんの間の売買契約の無効を主張(対抗)することはできませんね。
ちゃん、ちゃん。。。
今日のところはここまでです。
今日も最後までありがとうございました。
んでまずまた。
いつもありがとう。。。
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