こんにちは。
ここのところ一喜一憂することが続いております。
平穏を望みたいんですが、なかなかそうはいきません。
悩みの種は尽きませんね。
困ったもんだ。。。
今日の過去問は、平成22年度問34の問題を○×式でやりたいと思います。
A男さんと、B女さんが出産したCちゃんとの関係に関する民法の規定または判例に照らしての問題です。
何故○なのか、何故×なのかを説明出来ることを意識して解きましょう。
それでは、早速。
問題
Bは、Aと離婚した後250日を経てCを出産したが、Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていた場合において、Aは、Cとの父子関係を争うためには嫡出否認の訴えによらなければならない。
正解は?
×
今日の問題は、条文を見ることが出来てはいないところですが、予習と言うことでやってみたいと思います。
父子関係を争うとありますね。
それでは条文を見てみましょう。
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定
婚姻の成立の日から二百日を経過した後に生まれた子は婚姻中に懐胎したと推定
婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したと推定
推定です。
推定ですので、みなすとは違い反証が成り立った場合は変更されます。
これ、受験期には「200、300嫡出推定」って覚えていたところです。
問題では、Bさんは、Aさんと離婚した後250日を経てCちゃんを出産しています。
嫡出推定の範囲内ですね。
夫であるAさんが親子関係を否定する場合の訴えには、推定される嫡出子についての「嫡出否認の訴え」と推定されない嫡出子についての「親子関係不存在確認の訴え」があります。
(嫡出の否認)
第七百七十四条 第七百七十二条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
(嫡出否認の訴え)
第七百七十五条 前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。略。
それと人事訴訟法です。
(定義)
第二条 この法律において「人事訴訟」とは、次に掲げる訴えその他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え(人事に関する訴え)に係る訴訟をいう。
一 略
二 嫡出否認の訴え、認知の訴え、認知の無効及び取消しの訴え、民法第七百七十三条の規定により父を定めることを目的とする訴え並びに実親子関係の存否の確認の訴え
三 略
(父を定めることを目的とする訴え)
第七百七十三条 第七百三十三条第一項の規定に違反して再婚をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。
(再婚禁止期間)
第七百三十三条 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 略。
この問題は嫡出推定の範囲内ですので、通常であれば、嫡出否認の訴えを提起すべきですが、大切なことが、、、
Aさんは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていたとあります。
と言うことは、Aさんは奥さんのBさんと性交渉が不可能な状況にあった訳です。
この不可能な状況にあった場合は、嫡出推定の範囲内であっても嫡出の推定は受けず、親子関係不存在確認の訴えを提起することができます。
昭和43(オ)1184 認知請求 昭和44年5月29日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
被上告人B1は母DとEとの婚姻解消の日から三〇〇日以内に出生した子であるけれども、DとE間の夫婦関係は、右離婚の届出に先だち約二年半以前から事実上の離婚をして爾来夫婦の実態は失われ、たんに離婚の届出がおくれていたにとどまるというのであるから、被上告人B1は実質的には民法七七二条の推定を受けない嫡出子というべく、同被上告人はEからの嫡出否認を待つまでもなく、上告人に対して認知の請求ができる旨の原審の判断は正当として是認できる。
爾来=それからのち。それ以来。
問題
AとBの内縁関係の継続中にBがCを出産し、AによってCを嫡出子とする出生届がかなされた場合において、誤ってこれが受理されたときは、この届出により認知としての効力が生ずる。
正解は?
○
この問題のポイントは「内縁関係の継続中に」ですね。
先ほど、嫡出の推定をみました。
婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定するとありましたね。
この問題は、婚姻中ではなく、内縁関係の継続中です。
そのため、嫡出の推定は及びませんが、はたして、、、
これは判例問題です。
昭和51(オ)361 貸金 昭和53年2月24日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
嫡出でない子につき、父から、これを嫡出子とする出生届がされ、又は嫡出でない子としての出生届がされた場合において、右各出生届が戸籍事務管掌者によつて受理されたときは、その各届は認知届としての効力を有するものと解するのが相当である。
認知=ある事柄をはっきりと認めること。法律上の婚姻関係によらず生まれた子を、その父または母が自分の子だと認める行為。
戸籍事務管掌者によつて受理された場合、認知届としての効力が生じると言うことです。
問題
Aによる嫡出否認の訴えは、AがCの出生を知った時から1年以内に提起しなければならないが、Aが成年被後見人である場合には、この期間は後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する。
正解は?
○
この問題は条文を知らないと解答が出来ませんね。
それとポイントは、いつまで提起できるのかってところです。
この期間は試験ではよく問われるところです。
(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第七百七十七条 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。
期間は、「出生を知った時から一年以内」です。
前半は○ですね。
第七百七十八条 夫が成年被後見人であるときは、前条の期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から起算する。
第七百七十八条により、後見開始の審判の取消しがあった後に、夫のAさんがCちゃんの出生を知った時から起算します。
審判の取消し後、出生を知った時から起算です。
後半も○です。
問題
Bは、Aとの内縁関係の継続中に懐胎し、その後、Aと適法に婚姻をし、婚姻成立後150日を経てCを出産した場合において、AがCとの間に父子関係が存在しないことを争うには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによらなければならない。
正解は?
○
基本は、200、300嫡出推定です。
これは、婚姻中であることが前提ですね。
婚姻成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定される訳です。
この親子関係を否定するには、
推定される嫡出子→嫡出否認の訴え
推定されない嫡出子→親子関係不存在確認の訴え でした。
問題では、内縁関係の継続中に懐胎し、その後、婚姻して、その婚姻成立後150日を経てCちゃんを出産しています。
ここで民法第七百七十二条2項にいう「婚姻の成立の日」とは
婚姻の届出の日です。
結婚式や披露パーティーを行った日、内縁関係を開始した日ではなく、あくまで婚姻の届を出した日です。
Cちゃんは、婚姻成立後150日を経て生まれていますので、推定されない嫡出子となります。
そのため、Aさんが父子関係が存在しないことを争うには、親子関係不存在確認の訴えによることになります。
これ、同様の判例もあります。
昭和39(オ)109 認知請求 昭和41年2月15日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 高松高等裁判所
被上告人の母Dは、昭和一〇年三月二六日、Eと結婚式を挙げて内縁関係に入り、同年四月二〇日過頃から同棲生活を始め、同年七月五日、適式な婚姻届を了したものであり、被上告人が出生した日は昭和一〇年一一月二六日である。しかして、民法七七二条二項にいう「婚姻成立の日」とは、婚姻の届出の日を指称すると解するのが相当であるから、DとEの婚姻届出の日から二〇〇日以内に出生した被上告人は、同条により、Eの嫡出子としての推定を受ける者ではなく、たとえ、被上告人出生の日が、DとEの挙式あるいは同棲開始の時から二〇〇日以後であつても、同条の類推適用はないものというべきである。
それとここでポイントを確認しておきますね。
嫡出否認の訴えをできるのは、夫のみです。
出生を知ったときから1年以内に提起でしたね。
それと訴える相手ですが、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行うと規定しています。
子又は母です。
親子関係不存在確認の訴えは、「確認の利益」が認められれば誰からでも行えますし、いつでも提起することができます。
この違いは覚えておきましょう。
問題
Aが嫡出否認の訴えを提起する場合において、Cが幼少で意思能力を有せず、かつ、Bがすでに死亡しているときには、Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とする。
正解は?
○
嫡出否認の訴えは、先ほどポイントを確認しましたが、子又は母でした。
この問題でCちゃんは幼少で意思能力がありません。
また、母であるBさんが死亡している場合です。
Cちゃんに未成年後見人がいる場合はどうなのかってところですが、、、
(嫡出否認の訴え)
第七百七十五条 前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
後段に書いてますね。
親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方としなければなりません。
法律には例外ってことがよくあるんですが、この「未成年後見人がいる場合」でも例外はなく、特別代理人を相手方とすると言うことです。
今日の問題は記述式でも問われたことのある内容です。
しっかりとした記憶を心がけましょう。
最後までお付き合い有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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