こんにちは。
本試験からちょっと時間が経ちましたが、平成29年度の問題の使用許諾申請を郵送いたしました。
今回は、事前連絡をすることなく、書類のみを書いて郵送いたしましたがどうなることでしょうか。
以前の時は、書いて送れって感じでしたの書類に不備がなければ許可通知がくるのかな~なんて思ってますけど。
「一週間待つのだぞ。」ってところです。
今日の過去問は、平成19年度問9の問題を○×式でやりたいと思います。
それでは、早速。
問題
即時強制は法令により個別に根拠づけられている場合にのみ認められるが、いわゆる成田新法(成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法)による建物の実力封鎖、警察官職務執行法による武器の行使がその例である。
正解は?
×
この問題、なかなか良いですね。
良い機会ですのでキチンと覚えましょう。
即時強制=義務を課していたのでは間に合わない場合に、目前急迫の障害を取り除くために、直接、国民の身体又は財産に実力を加え、必要な状態を実現すること。
これを行うには、法令により個別に根拠づけられている必要があります。
具体例
警察官職務執行法による武器の行使
泥酔者保護
消火活動による延焼防止のための破壊活動 など
問題の成田新法による建物の実力封鎖は強制執行によるものです。
強制執行には、代執行、執行罰、直接強制、強制徴収があります。
この中の直接強制ですね。
直接強制=義務の不履行を前提として、直接、国民の身体又は財産に実力を加え、義務の履行があったのと同一の状態を実現すること。
即時強制と直接強制は、直接、国民の身体又は財産に実力を加え、必要な状態を実現する点では同じなんですが、義務の不履行を前提とするかしないかが大きな違いです。
先ほどの即時強制の具体例は、義務を課している内容ではありませんね。
問題の成田新法による建物の実力封鎖は、
成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法
第三条
1~5 略。
6 国土交通大臣は、第一項の禁止命令に係る工作物が当該命令に違反して同項各号に掲げる用に供されていると認めるときは、当該工作物について封鎖その他その用に供させないために必要な措置を講ずることができる。
7~16 略。
第1項各号
一 多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用
二 暴力主義的破壊活動等に使用され、又は使用されるおそれがあると認められる爆発物、火炎びん等の物の製造又は保管の場所の用
三 成田国際空港又はその周辺における航空機の航行に対する暴力主義的破壊活動者による妨害の用
成田新法による建物の実力封鎖は、行政上の義務(禁止命令)が賦課されていることが前提で、その義務が履行(守られない)されない場合に初めて行われる行政上の強制執行(直接強制)にあたります。
ようは、禁止命令が守られないときに強制的に守られたのと同じ状態にするってことですね。
この違いをきちんと把握しましょう。
問題
市水道局による水道サービスの料金を滞納している私人に対し、市は地方自治法に基づき、行政上の強制徴収の仕組みを用いて徴収することができる。
正解は?
×
水道サービスの料金を行政から強制的に徴収されたって話を聞いたことがありますか
市水道局による水道サービスは、水道局と私人との間の私的な契約によって供給されます。
そのため、水道サービスの料金債権は、地方税や下水道使用料金の債権といった公的な債権とは異なった私的な債権です。
行政上の強制徴収の手段を用いて徴収することはできません。
強制徴収できるのは、公的な債権「地方税、下水道使用料金など。」です。
お水は人間が生きていく上では必要なものですからね、強硬な手段に訴えることは出来ないってことです。
ちなみに水道料金を滞納してしまった場合
最初に督促のための書類が届き、催促されて、それでも支払わない場合に給水停止の予告書が届き、給水停止の手順になるようです。
「あ、支払いを忘れてた。」ってぐらいで給水が直ぐに止まることはありません。
滞納が継続した場合ってことですね。
問題
路上駐車禁止は、それ自体は不作為義務であるが、警察官等は、過失なくして移動を命じる相手方を知ることができない時には、移動命令を発することなく、当該駐車車両を移動することができる。
正解は?
○
この問題はもしかすると経験あるって方もいるかも知れませんね。
不作為義務=法令等の定めに従いしてはいけない義務
路上駐車禁止の場所での路駐はダメってことです。
この駐車車両の移動はレッカー移動ってやつですね。
これは、行政上の義務の不履行を前提とするものではなく、直接国民の身体又は財産に強制を加える行為で、即時強制にあたります。
道路交通法
(違法駐車に対する措置)
第五十一条
1~2 略。
3 第一項の場合において、現場に当該車両の運転者等がいないために、当該運転者等に対して同項の規定による命令をすることができないときは、警察官等は、道路における交通の危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な限度において、当該車両の駐車の方法の変更その他必要な措置をとり、又は当該車両が駐車している場所からの距離が五十メートルを超えない道路上の場所に当該車両を移動することができる。
4~22 略。
問題
不作為義務、非代替的作為義務の履行にかかる直接強制、執行罰の仕組みについては、一般法の根拠はないので、法律もしくは条例による個別の根拠が必要である。
正解は?
×
これは有名な論点ですね。
行政代執行法
第一条 行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。
書いてますね。
行政上の義務の履行確保に関しては、この法律の定めるところによる。
別に法律で定めるものがあれば別。
行政上の義務履行確保=法律ですね。
第二条 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。
第二条に、法律により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為とあります。
法律により直接に命ぜられ=法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。
法律に基き行政庁により命ぜられた行為=代替的作為義務
(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)
とあります。
わざわざ第二条では条例を含むと書いています。
普通に考えると、第一条の「この法律」には、条例は含まれないと解釈するのが素直なのではないでしょうか。
そのため、行政上の義務履行確保の手段である直接強制、執行罰の仕組みについては条例を根拠にすることはできませんし、条例には書くことはできません。
これは重要です。
問題
執行罰は行政上の義務履行確保の手法であるが、処罰としての実質を有するため、二重処罰禁止の法理から、刑事罰との併用ができないことが、その活用の障害となっている。
正解は?
×
執行罰=義務の不履行に対して、一定額の過料を科すことを通告して間接的に義務の履行を促し、なお義務を履行しないときに、これを強制的に徴収する義務履行確保の制度
執行罰は、間接的に義務の履行を促す間接強制の方法です。
刑事罰は、犯罪に対する罰です。
この過料と刑罰は目的が異なるため、併用することができます。
昭和39(あ)65 刑事訴訟違反(証言拒否) 昭和39年6月5日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所 秋田支部
刑訴一六〇条は訴訟手続上の秩序を維持するために秩序違反行為に対して当該手続を主宰する裁判所または裁判官により直接に科せられる秩序罰と しての過料を規定したものであり、同一六一条は刑事司法に協力しない行為に対して通常の刑事訴訟手続により科せられる刑罰としての罰金、拘留を規定したものであつて、両者は目的、要件及び実現の手続を異にし、必ずしも二者択一の関係にあるものではなく併科を妨げないと解すべき
今日は有名な内容のものが多かったように思います。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
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