こんにちは。
冬季オリンピックが始まりましたね。
スポーツ全般観るのは好きなんですが、今大会の活躍はいかに?
ただ、言えることは最近の若い方達のパワーは凄い!
記録もそうなんですが、大舞台でも緊張しない の強さがあります。
見習いたいところではあるんですが、試験でも緊張しないようにしなければなりませんね。
頑張れニッポン!!!
今日は平成19年度問20の問題を○×式でやりましょう。
国家賠償法第二条の営造物管理責任に関する問題です。
それでは、早速。
問題
営造物の管理責任は、その営造物を設置し、管理する責任を有する公共団体が負い、営造物の設置、管理の費用を負担するに過ぎない公共団体が負うことはない。
正解は?
×
今日の国家賠償法は第六条までしかありません。
その分、理解しやすい分野ではあるんですが、判例も多く知識とすべきものが多いのが特徴です。
この問題は、その数少ない条文に目を通していれば速攻で攻略できる問題ですね。
第三条 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
2 略。
お金だけ出してれば良いって問題じゃなく、やはり責任の一半は費用負担者にもあるってことです。
問題
営造物の管理責任は、営造物の物理的瑕疵を問うものであり、営造物を管理する公務員の管理義務違反は国家賠償法1条の責任であって、同法2条の責任が問われることはない。
正解は?
×
この問題は、営造物の管理責任は、物理的瑕疵だけなのかって問題ですね。
物理的瑕疵=本来的な機能を有していない、壊れている等。
これは判例問題で、営造物の物理的瑕疵だけでなく、営造物を管理する公務員の管理義務違反についても、国家賠償法第二条の責任が問われる場合はあります。
昭和47(オ)704 損害賠償請求 昭和50年7月25日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
おもうに、道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努める義務を負うところ(道路法四二条)、前記事実関係に照らすと、同国道の本件事故現場付近は、幅員七・五メートルの道路中央線付近に故障した大型貨物自動車が八七時間にわたつて放置され、道路の安全性を著しく欠如する状態であつたにもかかわらず、当時その管理事務を担当するⅠ土木出張所は、道路を常時巡視して応急の事態に対処しうる看視体制をとつていなかつたために、本件事故が発生するまで右故障車が道路上に長時間放置されていることすら知らず、まして故障車のあることを知らせるためバリケードを設けるとか、道路の片側部分を一時通行止めにするなど、道路の安全性を保持するために必要とされる措置を全く講じていなかつたことは明らかであるから、このような状況のもとにおいては、本件事故発生当時、同出張所の道路管理に瑕疵があつたというのほかなく、してみると、本件道路の管理費用を負担すべき上告人は、国家賠償法二条及び三条の規定に基づき、本件事故によつて被上告人らの被つた損害を賠償する責に任ずべきであり、上告人は、道路交通法上、警察官が道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、道路の交通に起因する障害の防止に資するために、違法駐車に対して駐車の方法の変更・場所の移動などの規制を行うべきものとされていること(道路交通法一条、五一条)を理由に、前記損害賠償責任を免れることはできないものと解するのが、相当である。
営造物の管理責任
↙ ↘
物理的瑕疵 + 管理義務違反
ってことです。
問題
営造物の管理責任は、公物として正規に管理されている行政財産についてのみ及び、事実上私人によって道路として利用されているに過ぎない公有地の管理責任については、国家賠償法2条の適用を受けることはない。
正解は?
×
最初に辞書です。
公有地=地方公共団体が所有する土地。
この問題も判例問題ですが、営造物の管理責任は行政主体が事実上管理している状態があればよく、法律上の管理権ないし所有権等の法律上の権限を有することを必要としないと判断しています。
ようは、事実上私人によって道路として利用されているにすぎないものでも公有地でしょ、管理は行政主体が事実上管理してるんじゃないのってことで、国家賠償法第二条の適用を受けると言う訳です。
昭和54(オ)876 損害賠償 昭和59年11月29日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
国家賠償法二条にいう公の営造物の管理者は、必ずしも当該営造物 について法律上の管理権ないしは所有権、賃借権等の権原を有している者に限られるものではなく、事実上の管理をしているにすぎない国又は公共団体も同条にいう管理者に含まれるものと解するのを相当とする
問題
国家賠償法2条に定める営造物は、道路・河川などの不動産を指し、公共団体が管理する動産の瑕疵については、それを管理する公務員の同法1条に基づく責任が問題となるほかは、同法2条の適用を受けることはない。
正解は?
×
この問題は有名ですね。
国家賠償法第二条に定める「公の営造物」は、公用又は公共の用に供している有体物を指し、不動産だけではなく動産も含まれます。
これは最高裁判例ではないんですが、動産を営造物と認めた判例から動産の例を挙げておきますね。
警察官の拳銃
警察署の公用車
警察犬
自衛隊の砲弾 など
これも最初の方で見た管理義務違反ってやつですね。
広く国民を保護し救済を図るって感じがします。
問題
営造物の瑕疵は、営造物そのものに物理的瑕疵がある場合を元来指すが、第三者の行為により営造物が瑕疵ある状態になった場合にも、その状態を速やかに改善して瑕疵のない状態に回復させる責任が営造物管理者にはある。
正解は?
○
この判例も有名です。
以下に判例を掲載しますが、判例の内容に照らしてみてみましょう。
第三者の行為により営造物が瑕疵ある状態になった
⇕
事故発生の直前に先行した他車によつて惹起された
⇅
被上告人において設置した工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置された
↓
道路の安全性に欠如
最初の方の判例で、道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努める義務を負うと書かれていました。
ですが、何でもかんでも責任を負う訳ではなく、管理者が時間的に遅滞なく原状に復し道路を安全良好な状態に保つことができなかった場合のもとでは道路管理に瑕疵がなかつたとしています。
ようは、瑕疵ある状態になった場合、瑕疵のない状態に回復させる責任が営造物管理者にはあるけれども、時間的に遅滞なく原状に復し道路の安全を確保することが不可能な場合は瑕疵がないと言うことです。
昭和46(オ)887 損害賠償請求 昭和50年6月26日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
右の事実関係に照らすと、本件事故発生当時、被上告人において設置した工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置されていたのであるから、道路の安全性に欠如があつたといわざるをえないが、それは夜間、しかも事故発生の直前に先行した他車によつて惹起されたものであり、時間的に被上告人において遅滞なくこれを原状に復し道路を安全良好な状態に保つことは不可能であつたというべく、このような状況のもとにおいては、被上告人の道路管理に瑕疵がなかつたと認めるのが相当である。
判例の内容を把握し、説明できることも重要です。
最後までお読みいただき有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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