行政書士試験 平成18年度問22 地方自治法の問題 | 行政書士試験 独学チャレンジ!!

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こんにちは。

 

今日は昨日に引き続き地方自治法の過去問をやりたいと思います。

 

小心者と言うか何というか、決めた形でやりたいと言うか、一回飛んだ分どうするって気持ちを持ったまま先に進めないと言うか、ねっ。

 

まぁ、こんな性格なんですけど、このブログの管理者ってことで良いんじゃなぁ~いってことです。

 

何か引っ掛ったものを胸の奥にしまっておくってのは、健康にも良くなさそうなのでスッキリしときたいと思います。

 

 

条例制定権の限界に関する記述で、法令および最高裁判所の判例に照らして、○×なさいって問題です。

 

判例は大切ってことですね。

 

今日は、平成18年度問22の問題をやりたいと思います。

 

それでは、早速。

 

 

 

問題

条例によって地方公共の安寧と秩序を維持する規制を行うことは許されるが、国の法令による規制とその目的が同一であったり、部分的に共通するような規制を行うことは許されない。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

何やら見慣れぬ文字がありますねってことで辞書です。

 

安寧=無事でやすらかなこと。特に、世の中が穏やかで安定していること。

 

難しい言葉ですが、「安寧と秩序を維持する規制」は普通に考えて許されるでしょうね。

 

ただ、問題にある「国の法令による規制とその目的が同一」である場合や「部分的に共通するような規制」の場合はどうなのかってことですね。

 

まず、条例の制定について確認しましょう。

 

第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる

2、3 略。

 

法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができるとありますね。

 

それと、第二条第二項の事務に関しとあります。

 

第二条 地方公共団体は、法人とする。

 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する

3~17 略。

 

第二条第二項の事務=地域における事務及びその他の事務

 

何となく見えてきましたね。

 

法令に違反しなければ、地域における事務及びその他の事務について条例を定めることができるってことですね。

 

地域性って言うんでしょうか?

 

その土地に合った規制を条例で定めても、国の規制(法令)を超えることがなければ問題はないってことです。

 

この超える、超えないは、条例が法律の趣旨目的内容効果の点で、法律と矛盾抵触していなければOKってことです。

 

昭和48(あ)910 集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、道路交通法違反 昭和50年9月10日 最高裁判所大法廷 判決 破棄自判 高松高等裁判所

 

 

 

問題

条例によって健全な風俗を害する行為を規制することは許されるが、規制の程度、態様等によっては、他の地方公共団体との関係で平等原則違反が問題になる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題は一問目で少し見ましたね。

 

法律は全国一律に適用されるものですが、条例はその地方の地域性や特殊な事情により制定されるものです。

 

そのため、条例は、もともとがその地方の特殊な事情を考慮したものですので、地方間で多少中身が変わってくることはあり得ます。

 

問題の「条例によって健全な風俗を害する行為を規制する」場合、その規制の程度、態様等が地方間で異なることもある訳です。

 

昭和29(あ)267 売春等取締条例違反 昭和33年10月15日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 東京高等裁判所

 

しかし憲法各地方公共団体の条例制定権を認める以上地域によつて差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである。それ故、地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあつても、所論のように地域差の故をもつて違憲ということはできない

 

 

 

問題

河川法の適用されない普通河川の管理について、条例により河川法が同法の適用される河川等について定めるところ以上に強力な規制をすることは許されない。

 

 

 

正解は?

 

 

 

この問題は難しいですね。

 

河川法は、一級河川と二級河川について定めたものです。

 

問題は、この河川法が適用されない普通河川の管理に関するものです。

 

ただ、問題に気になる内容が書かれてますね。

 

条例により河川法が同法の適用される河川等について定めるところ以上に強力な規制をすることは許されない。

 

条例の基本は最初に見ました。

 

地域性を考慮するってのは別にしても法令に違反する、法令を超える規制をしてはいけないのです

 

昭和53(行ツ)35 工作物除却命令無効確認 昭和53年12月21日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 高松高等裁判所

 

このように、河川の管理について一般的な定めをした法律として河川法が存在すること、しかも、同法の適用も準用もない普通河川であつても、同法の定めるところと同程度の河川管理を行う必要が生じたときは、いつでも適用河川又は準用河川として指定することにより同法の適用又は準用の対象とする途が開かれていることにかんがみると、河川法は、普通河川については、適用河川又は準用河川に対する管理以上に強力な河川管理は施さない趣旨であると解されるから、普通地方公共団体が条例をもつて普通河川の管理に関する定めをするについても(普通地方公共団体がこのような定めをすることができることは、地方自治法二条二項、同条三項二号、一四条一項により明らかである。)、河川法が適用河川等について定めるところ以上に強力な河川管理の定めをすることは、同法に違反し、許されないものといわなければならない

 

 

 

問題

故意に一定以上の騒音を発する者に対し、条例で騒音を発する行為の中止を命じる規定を設けた場合、併せて一定額の過料を課すことを通告して義務の履行を促すことができる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題、前半部分は問題はないですね。

 

問題は後半部分です。

 

過料=国または地方公共団体が、行政上の軽い禁令を犯した者に科する金銭罰。あやまちりょう。

 

第十四条 

1、2 略。

3 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し二年以下の懲役若しくは禁、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる

 

この条文の過料は、行政上の秩序罰で一度限りの罰です。

 

例えば、大阪市路上喫煙の防止に関する条例により規定されている違反による金銭罰は秩序罰による過料です。

 

罰則
第9条 第7条の規定に違反した者は、1,000円の過料に処する。

 

路上喫煙の禁止
第7条 市民等は、路上喫煙禁止地区内において路上喫煙をしてはならない

 

残念ながら、私の住む仙台市では、仙台市歩行喫煙等の防止に関する条例はあるんですが、マナー遵守を訴えることが目的で罰則はないようです。

 

本題に戻しますね。

 

問題の「併せて一定額の過料を課すことを通告して義務の履行を促す」と言う内容は秩序罰ではなく執行罰です。

 

執行罰=非代替的作為義務、不作為義務の不履行に対し過料を課すことを予告することで間接的に義務履行を強制すること。義務を果たすまで、何度でも過料を課すことができる。

 

この執行罰が条例で定めることができるのかってことが問題ですが、繰り返し罰則を与える執行罰は条例には規定することが出来ません

 

行政代執行法を確認します。

 

第一条 行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる

 

第二条 法律法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる

 

他人が代つてなすことのできる行為代替的作為義務

 

第二条には代替的作為義務について書かれていますが、執行罰の対象の非代替的作為義務、不作為義務については書かれていません。

 

と言うことは、第一条に基づくことになりますが、第二条にはわざわざ条例を含むと明記していることから第一条には条例は含まれないと解釈されています。

 

これが通説です。

 

 

 

問題

財産権の行使については国の法律によって統一的に規制しようとするのが憲法29条2項の趣旨であるから、条例による財産権規制は、法律の特別な授権がある場合に限られる。

 

 

 

正解は?

×

 

 

 

この問題は二つの内容について書かれています。

 

一つ目は日本国憲法第二十九条2項についてです。

 

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める

3 略。

 

問題の第二十九条2項は、財産権の内容であり、問題で言う財産権の行使統一的に規制する趣旨ではありません

 

憲法の条文確認は、第3回 勉強の合間の気分転換に。。。をご参照ください。

 

それと条例による財産権規制は、法律の特別な授権がある場合に限られる訳ではありません。

 

これは判例です。

 

昭和36(あ)2623 ため池の保全に関する条例違反 昭和38年6月26日 最高裁判所大法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所

 

すなわち、ため池の破損決かいの原因となるため池の堤とうの使用行為は、憲法でも、民法でも適法な財産権の行使として保障されていないものであつて、憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあるものというべく、従つて、これらの行為を条例をもつて禁止、処罰しても憲法および法律に牴触またはこれを逸脱するものとはいえないし、また右条項に規定するような事項を、既に規定していると認むべき法令は存在していないのであるから、これを条例で定めたからといつて、違憲または違法の点は認められない

 

 

今日の5問も中身が濃かったですね。

 

そのおかげで今日も長くなってしまいました。

 

 

今日も最後まで有難うございました。

 

今日のところはここまでです。

 

 

 

んでまずまた。

 

 

 

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