ホテルに生きて、ホテルに斃れた作家というと、ヨーゼフ・ロートを思いだすのです。それで、ロートの作品や伝記を調べているのですが、なかなか進みません。
ロートは漂泊の作家といってよく、ユダヤ系であり、ナチスに反対してパリに亡命、1939年5月に世を去りました。第2次世界大戦開幕直前のことです。
かれは昔日のハプスブルク帝国をなお信じて、国のない皇位継承者の臣下を自ら任じていたようです。幻想家でありながら、鋭く現実を捉えた作品を生みだしました。
帝国の消滅以降、故国のなかったロートにとって、ホテルこそが自分の拠り所であったようです。かれの文章を読みながら、故郷の代用としてのホテルを考えています。
様々な人が書いた、ホテル・オークラ東京の建て替えに異議を申したてる文章を読むと、しばしば、ホテルに特別な繋がりを求める切実な感情が表出されているように思います。
写真は夜のオークラ本館1階入口です。
