論文発表 | 緑の錨

緑の錨

歴史家の山本尚志のブログです。日本で活躍したピアニストのレオ・シロタ、レオニード・クロイツァー、日本の歴史的ピアニスト、太平洋戦争時代の日本のユダヤ人政策を扱っています。

先日「昭和戦前期にピアノを弾いた少女たちの人生と家族と憧憬」(『学習院高等科紀要』第12号、2014年)を発表いたしました。外山道子、荒木(青木)和子、長岡延子、井上園子という四人のピアニストを扱った論文です。

シロタ門下の悲運のピアニスト長岡延子と昭和を代表する名ピアニストの井上園子について、すでに何度も書いてきました。

外山道子と荒木和子は西原稔『ピアノの誕生----楽器の向こうに「近代」が見える』(講談社、1995年)で取りあげられたピアノを学ぶ少女です。西原の著書で昭和戦前期のピアノ学習のありかたは、この二人を紹介した新聞記事を典拠に検討されています。

四人の音楽的軌跡と、かれらの周囲の人々を調べたものが私の論文です。


ピアニストの周囲の人々に焦点を当てたのは、両親の自慢の種や嫁入り修業として捉えられることも多い昭和戦前期のピアノ学習について、実態はどうだったのかを調べてみたいと思ったからです。

私の記述は上流社会のピアノ文化の音楽的成果と、かれらの両親や祖父母、親族の進取の気質と複雑で特異な個性を強調するものとなっています。従って、筆者の主張と、ピアノ学習のありかたを扱った先行研究の主張にはかなり大きな懸隔があります。

ただ、自分の文章にもう誤植を二つ見つけてしまいました。