ゲイルズバーグの春を愛す | 緑の錨
ノスタルジーについて考えるところがあり、ジャック・フィニィの古典となっている傑作ファンタジーを読みかえしてみました。ハヤカワ文庫は表紙を漫画家の内田善美さんが担当していて、この本の価値を高めています。なお、内田さんにはゲイルズバーグ・ストーリーとして一連の短編群があるのも周知の通りです。私は『ゲイルズバーグの春を愛す』をかなり昔に読んでいて、いま読んでどう感じるか心配だったのですが、やはりよいですね。精緻でよくできたエレガントな小説であり、適度に現実的で適度に詩的で、抑制された感傷性が見事で、大変に気に入りました。
ノスタルジーということならば、他に金字塔としてヨーゼフ・ロートの『ラデツキー行進曲』があるのですが、さすがに、この大作を読むだけの時間がありません。
ずっと、たぶん五年以上にわたって小説が読めない心理状態だったのですが、最近、ようやく小説というものを読めるようになってきました。
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