水戸のグロトリアン・シュタインヴェク(6) | 緑の錨

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歴史家の山本尚志のブログです。日本で活躍したピアニストのレオ・シロタ、レオニード・クロイツァー、日本の歴史的ピアニスト、太平洋戦争時代の日本のユダヤ人政策を扱っています。

 さて、水戸市立大場小学校は水戸駅からもかなり近いところにあるのですが、とても静かな田園風景のなかに位置しています。もっと都会的な学校を予測していったので、少し拍子抜けいたしました。わたしは前日のリハーサルから立ち会ったのですが、夜になるとやや静かすぎるほどです。

 小学校は古いですがとても気持ちがよく整えられていました。先生方と生徒達の努力がうかがえます。先生方はとても親切でした。

 ピアノは華麗な姿に修復されています。これは幻の名器イースタインの工場で修復されたわけで、グロトリアン・シュタインヴェクとイースタインという、ふたつの偉大な楽器の血をひいたピアノとなったといえるかもしれません。ただ、修復に際してピアノの魂といえる響板やフレームが完全に利用できたわけで、ピアノとしてグロトリアン・シュタインヴェクとの同一性をしっかり確保しています。

 グロトリアン・シュタインヴェクは音楽室に置かれていました。特別な機会でなければあまり演奏されることはないそうです。ロシア戦艦の士官室を飾ったピアノは燭台を持ち、きらびやかに装飾されているのですが、静かな小さな小学校で、なぜかとても居心地よくすごしているように感じられました。