古い古いスーツ | 緑の錨

緑の錨

歴史家の山本尚志のブログです。日本で活躍したピアニストのレオ・シロタ、レオニード・クロイツァー、日本の歴史的ピアニスト、太平洋戦争時代の日本のユダヤ人政策を扱っています。

 現在着ることができるスーツとは、痩せていたころのものということで、つまり随分古いスーツということです。もしかすると作ったのは10年以上前。

 その二点がシャーロキアンズ・クラブ(ベーカー・ストリート)のものということになるのですが、流行はずれと言うより、どちらも思いきり1930年代風で、今更ながら驚きます。

 ひとつなどはピークド・ラペル、しかも思いきりラペルが幅広のシングル・スーツ。とてもとても特徴的な1930年代に流行したスタイルで、ほかの時代ではあまり見ることのできないものです。

 もうひとつは三揃えですが、チョッキに襟があり、その位置が高く、やはり大層古風なスーツです。

 現代の流行とはもちろんまるで違いますが、あんまりはっきり違うので、たぶん、古いからもう着られないということはないでしょう。そもそも最近30年代風のスーツが流行したことなどないので。

 単に流行に鈍感なひとというより、むしろ、とても変わったものを着たがるひとに分類されることになると思います。それは、自分としては望み通りのことです。

 ある意味、意識はしないままに漠然とは、そのころから自分の着たいものがわかっていたということなのでしょうね。いまも、現代の流行を思いきりはずした服に興味があります。背広に帽子というスタイルをとるのも、そのせいです。

 シャーロキアンズ・クラブが一種の伝説として名を残した特殊なブランドであることは、最近知りました。たしかに、30年代風スーツの既製服というのは、今日では想像しがたいところがあります。デパートにいくと、ふつうに30年代風スーツが買えた、ということなのですから。