水戸のグロトリアン・シュタインヴェク(4) | 緑の錨

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歴史家の山本尚志のブログです。日本で活躍したピアニストのレオ・シロタ、レオニード・クロイツァー、日本の歴史的ピアニスト、太平洋戦争時代の日本のユダヤ人政策を扱っています。

 水戸のグロトリアン・シュタインヴェクは海軍主計少尉飛田一政氏によって、大場小学校に寄付されたものです。その妻里子氏は、飛田穂洲の妹でありました。里子氏の逝去に際して、その意志により、なにか記念になるものを母校大場小学校に寄贈したいと考えたのでした。飛田一政氏は音楽が好きであった妻のことを思って、グロトリアン・シュタインヴェクを大場小学校に寄贈したのです。

 このグロトリアン・シュタインヴェクは海軍が所有していたもので、日露戦争の戦利品といわれます。ステッセル将軍のピアノとも言い伝えられてきましたが、ロシア戦艦アリョールに積んであったものを海軍が捕獲したものともいいます。いずれにしても、アップライトでは折り紙付きの名器としての評価を得てきたグロトリアンは、ドイツからロシアを経て日本に渡ってきたのです。