私は絵が好きで、ここ数年日本画を描いています。

以前は、油絵やアクリル画を描いていましたが、日本画の天然岩絵の具の美しさに魅了された一人です。

パステルを使った絵も面白く、今でも使用した絵を描きますが、兎に角「面白い」の一言につきます。

日本画といえば、横山大観、奥村土牛、千住博が好きです。

横山大観先生が奥村土牛先生に、「すべての作品には宇宙がなければいけない」と仰ったそうですが、私には意味が分かりません。

ただ、千住博先生の書籍「日本画を描く喜び」に以下のようなことが書かれています。

 

今から約137億年前、真っ暗やみの宇宙は突然の膨張と共に直後に起こった大きな爆発(ビックバン)によって生まれた。全てが飛び散り、宇宙はまたたく間に圧倒的なスケールで広がり、その拡大は今でも続いている。

そして約46億年前に核融合で太陽が生まれ、同じ頃に10数個の小惑星が衝突して地球が生まれた。その衝突で火の玉のように燃えて大きな塊(かたまり)となった地球は、鉄分を含む重い岩石を中央に集めながら太陽を回る軌道に乗った。

地球の周囲には大量のガスが発生し、雨を降らせ広大な海が誕生した。そして、約37億年前に海中で生命が誕生した。その生命は単純なものから始まり、次第に複雑になって、長い年月をかけて生命は地上へと上がった。

やがて、動物が誕生し、長い道のりを経て約320万年前に人類の先祖へと進化した。

そしてヒトは、自然の石や砂を身に塗りつけ、身体を装飾することで宇宙とコミュニケーション、あるいは一体化を図ろうとした。

その後、2万4000千年前には彫刻を作ったり、その岩の粉や砂をもちいて壁に動物の絵を描き、言わば神話を語り継いでいくことになった。

やがて、人々は動物の油脂を使うことで画面に定着させることを考え、膠が生み出された。

更に1000年前の平安時代には和紙が考案され、今の日本画が生まれた。

従って、足元の角の取れた丸っこい石ころを見たら、その石ころは地球が誕生して以来、気の遠くなるような間、雨に打たれ、風に吹かれ、川に流され、海で洗われものかもしれない。もっと言えば宇宙そのものの神秘に通じるものであり、岩絵の具もまた宇宙そのものである。

 

そう考えると、日本画に限らず、キャンパスに絵を描くということは「自分の宇宙を描く」悦びなのだと思います。

描くことで、自己を表現し、かつ自ら癒されます。

日本画は「省略と誇張」であるといわれます。

自らの主張を「誇張」し、必要でないところを「省略」するところに面白さがあります。

音楽を聴きながら絵を描く、うまい下手は兎も角、私の悦びの時間です。