今期は、個性的なドラマがいくつかあり、考えさせられることが多く、有意義でした
今回チェックしたドラマは
【すべての恋が終わるとしても/ぼくたちん家/ザ・ロイヤルファミリー/終活シェアハウス/シンナトロープ/絶対零度/終幕のロンド/シバのおきて/じゃあ、あんたが作ってみろよ/新東京水上警察/娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?/スクープのたまご/そこから先は地獄/君がトクベツ/ちょっとだけエスパー/おいしい離婚届ます/もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう/ESCAPE それは誘拐のはずだった/推しの殺人/小さい頃は、神様がいて/できても、できなくても/緊急取締室/ひと夏の共犯者/フェイクマミー/コーチ/パパと親父のウチご飯/介護スナック ベルサイユ/良いこと悪いこと/君としたキスはいつまでも(全29作品)(内12作品は途中棄権)】
[感想はすべて敬称略]
2025秋ドラマ MYアカデミー賞
主演女優賞 桜田ひより
(ESCAPE それは誘拐のはずだった)
一見、良家のお嬢様には見えないのだけれど、それなりの振る舞いもあり、そもそも持っているストレートな言い回し、頭の良さ、可愛らしさ、バランスよく繊細な役作りでした。
次点:川栄季奈(フェイクマミー)
宮崎あおい(ちょっとだけエスパー)
川栄季奈は、やはり芝居は良いと思う。今回の役は、ヤンキーのようで、仕事のできる社長で、家事のできる母親という難しい役だったけれど、合っているように見えるのは、実力でしょうか? ただ、残念ながら、主演としての華がない。今回波留とのダブル主演はとても良いと思いました。対して、宮崎あおいは、個性的ではないけれど、華がある。川栄季奈は、もっと大作ドラマで、大物たちと共演した方がいいと思うけどなぁ。
主演男優賞 妻夫木聡
(ザ・ロイヤルファミリー)
妻夫木聡の演技を見たのは久しぶり、「オレンジデイズ」以来という印象が残るくらい久しぶりです。いつもCMで見ていたけれど、ドラマでは年相応で、疲れた感じもあり、年輪が刻まれていました。秘書という一歩下がった役を主演にした難しい配役ですが、素晴らしかったです。脇役陣もそれぞれが立っていました。
次点:竹内涼真(じゃあ、あんたが作ってみろよ)
水上恒司(シナントロープ)
竹内涼真は、あの容姿で、あの若さで、何をしたら笑いを取れるのか、よくわかっている人で、凄いと思います。若くて格好いい男性が笑いを取るのは難しい。そして、自分自身を知ることが難しい。今後も楽しみです。正直、素晴らしい主演男優でした…
水上恒司 相変わらず、自分で考えて、ひとつひとつのセリフ、動き、演技を、彼ならではの形で演じている。普通ではないけれどきちんと。最初、彼も坂東龍汰も誰だか分からず、誰だ?この上手い役者は?と思って見続けていたら、水上恒司と坂東龍汰でした。誰だか分からないというのは、とても良いことです。役者なんだから、役によって顔が違うのは当たり前。でもやはり上手くて売れている子は目を引くという事実でもありました。
助演女優賞 中条あやみ
(じゃあ、あんたが作ってみろよ)
この子、いつの間にこんなに綺麗になって芝居も出来るようになったの? 驚きでした。
最初に見た時、若くて元気で美しい女の子がただただエネルギーだけで芝居をしていて、上手くないけどとても好感が持てた。それから私はあまり彼女の作品を見る機会がなく、久々に見た彼女は、大人になっていて、美しく、存在感があり、いい感じで突き抜けていて、明るく、魅力的だった。
次点:黒木瞳(ザ・ロイヤルファミリー)
山崎紘菜(そこから先は地獄)
黒木瞳 最近、意地の悪い役が板についてきました。意地悪な感じ、嫌味な感じがずっと裏側にあって、わかりやすく発露せず、いいですよね。
山崎紘菜 あまりにも楽しげにこの役をやってしまって、そこがちょっと減点になってしまいました
助演男優賞 沢村一樹
(ザ・ロイヤルファミリー)
途中まで、ほぼ感情を表に出さず、存在感と精悍な容姿に影があり惹かれました。顔が美しいので、ふざけた役はあまり好きではないです。何話だったか、山王耕造と天ぷらを食べるシーンで、初めて笑顔を見せたのだけれど、それも要らないと感じました。世代交代の寂しさを見せ、ロマンを見せてくれました。役者は50代からですね。あり得ないくらい美しい50代後半です
次点:たくさんいますので、一言だけ
中川大志(ザ・ロイヤルファミリー)この金持ちのぶっ飛んだ若者は任せとけって感じです。
笠松将(フェイクマミー)嫌味具合が素晴らしく、最後改心して欲しくなかったほど
萩原護(シナントロープ)髪型を変えたらあまりに個性的。若いのに余計な芝居をしなくて、今回は本当にインパクトのある役でした。
アフロ(シナントロープ)お馬鹿さんの役以外も見てみたいです。頭の悪い人にしか見えませんでした。
山口馬木也(ESCAPEそれは誘拐のはずだった)ちょっとテレビにはあらゆる面で大きすぎる役者なのですが、独特
市川隼人(もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう) 影がある役なのに、うっかりすると笑ってしまうような作りがいつも入っていて、最近とても好きです
白洲迅(すべての恋が終わるとしても)ほんといい人役になってきたんですね。
気になる役者
鳴海唯(シナントロープ) 青い髪のお陰で、個性的に目立っていました
田中美久(良いこと悪いこと) 芝居なのか、単なる 自なのか分からないので、また見て見たいです
藤谷理子(君としたキスはいつまでも) いいと思います。平凡で普通に可愛くて芝居がしっかりしている
池村碧彩(フェイクマミー) 子役 役にぴったりでした
キャスティング賞 【シナントロープ】
私の知識が追いつかないので、分からないのですが、「シナントロープ」と「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」には、有名ではないけれど良い役で出ている役者が数人いて、その芝居や外見から、もしかして舞台の役者さんを引っ張ってきたのかしら?と思わせる部分があった。その私は知らない役者さんたちが、圧倒的に(この二つを比較して)「シナントロープ」の方が役に合っていて魅力的でした。
主題歌賞
【アゲハ蝶】ポルノグラフィティ
(良いこと悪いこと)
毎回ドラマが始まりしばらくするとこの主題歌が流れてタイトルバックが流れる。その曲の出だしの素敵なこと。通常、一回見たら飛ばし見をするタイトルバックがこの曲のせいで飛ばせないことが何度もあった。テンポリズム引っ張られます
演出家賞 山岸聖太(シナントロープ)
かなり込み入った難しいと言ってもいい脚本を、このように映像化したのは素晴らしいです。ずーっと張られている伏線に次ぐ伏線。何がどう繋がっているのかよく分からない流れの中でドラマは確実に進んでいく。大学生の青春ドラマかと思いきや、かなりドス黒い犯罪が裏側にあるくせに、メインのシナントロープの若者たちは、危険な目には遭うけれど、決して死んだりはしない。かなりやばいことが起きているのに、水上恒司と坂東龍汰の緊張感はちょっと違う。緊張感がないのではなく、種類が違う。時々、まんまるな目をしてこちらを見ている。萩原護しかり。
裏側グループは、グロくて恐ろしくて異常な空気を醸し出している。でもリュウジとキュウタロウの間には友情と呼べるような愛情があり、キノミとキノミが身につけているのはふざけたオレンジの目出し帽である。説明がつかないこのバラバラが一つにまとまっていくドラマ作りは、かなり個性的で引き込まれる
脚本賞 井上由美子 (緊急取締室)
取調室のやり取りのみならず、毎回の事件の真相も上手く積み立てられている。キントリのメンバーは、ちょっとマンネリ化しがちなところも、脚本の力で少しずつ変化や積み重ねができている。刑事ドラマ特有の謎解きも途中で答えが分かっても、引っ張る力が素晴らしいので、飽きることがない
次点:
乃木亜紀子 (ちょっとだけエスパー)
1話面白かったです。2話、えー、この繰り返しなの?と思ったら3話から話が変わり、未来から来たとか、新事実が次々と出てきて飽きさせない。結局は、壮大なラブストーリー?という流れでよくできたドラマだったのに、何故だか、感動とか心が動くことがなかった。
喜安浩平 (ザ·ロイヤルファミリー)
原作読みたいと思います。数年に渡る大作のドラマ化は本当に大変だろうと思います。
安藤奎 (じゃあ、あんたが作ってみろよ)
人間社会の色々を盛り込みながら、かなり笑えるドラマに仕上がっているところが好きです。
作品賞 ザ・ロイヤルファミリー (TBS)
1話から、毎回ラストのレースシーン、感動でうるうるしました。あまりにも多くを盛り込みすぎているのに、それぞれのレースのシーンは感動できました
最終回、25年の有馬記念で、逃げ馬がスタート失敗して、最後差して優勝するという流れはどうかな~と思ったけれど、ホープの子どもが有馬で1位2位を取ったこととか、騎手が両方の馬を下ろされた佐木隆二郎だとか、非常によくできていると思います。出来過ぎなくらい。その後、ロイヤルファミリーが引退を取り消して、あっという間に26年の有馬を制すというのも好きではないけれど、壮大なドラマの終わり方として、25年の有馬で終わらないのもありかな、と思います。
次点:シナントロープ
じゃあ、あんたが作ってみろよ
ESCAPEそれは誘拐のはずだった
今回は考えさせられることの多いドラマばかりでした。
あまり書けなかったドラマについて、
おいしい離婚届けます(日本テレビ)
面白かったです。大好きな前田公輝のみならず、水沢林太郎も今回その優しいフワッとした感じが素敵でした。パラリーガルをやった村重杏奈がうるさくて嫌だったんだけれど、ラスト近くで彼女の存在で救われることもなくはなかった。
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう?(フジテレビ)
何度か書きましたが、どうして面白くないのか、毎回考えながら見ていました。唯一面白かったのは、トニーが警察に連れて行かれた回。役者とは言えない舞台に立つメンバーが警察の前でアドリブで芝居をやり、上手く誤魔化した感動の回。それ以外は、頑張って見た感じです。シェークスピアの作品が所々に散りばめられていたので、全部を把握していればもっと面白いと思います。これは、マクベス夫人だなとか、男の子どもってどの作品だったけ?とか考えながら、つまりドラマに入り込めずに色々見て終わりました。三谷幸喜作品ということで豪華なキャスティングでしたが、全ての役者がなんだか頑張っているけれど、特段、魅力的なわけではなく、菊地凛子くらいかな、その面白さが際立っていたのは。そして、面白くない理由は、どうやら三谷幸喜自身のことを書いたらしいので、思い入れが強すぎた、とか、演出の問題か?と。三谷幸喜の舞台は三谷幸喜が演出した方が良いので。蜷川さんが話によく出てきたり、実際、小栗旬が演じたり、ちょっと勿体無い感じがしました。小栗旬がやった両腕を挙げて背もたれにもたれる座り方は、演出中の蜷川氏のイメージとしてありますが、人と会話しているところでやるかなぁ?という疑問はありました。あと、最初の舞台セットの蚊取り線香の意味は結局うまく使われていなかったのが残念。盛りだくさんだったのに、やはりどうしてこんなに面白くなかったのかな
すべての恋が終わるとしても(ABC)
純粋なるラブストーリーなのでとてもとても楽しんで見ました。ただ、後半ちょっと無理くり話を作って伸ばしている感じがあり、主演のふたりにもう少し集中して欲しいと感じた。2人が別れるきっかけとなる若い男性の大腸がんの症状がどうも納得できません。が、医療関係者が入って、こういうこともないわけはないというチェックはあったのでしょうね。絶対にあり得ない、ではない限り、ドラマ的にはOKなので仕方ないですけど。
自立出来ていない女性が一度別れることで、新たな道に進み、大人になって再会するというのは、「じゃあ、あんたが作ってみろよ」同様、設定としてはありだと思うけれど、描くのはなかなか難しい。良いと思います。
良いこと悪いこと(日本テレビ)
大好きな新木優子と間宮祥太朗主演がラブストーリーでなく、最初は敵対していて残念でした。過去にいじめをやっていた人たちが、反省していく話なんだけど、難しすぎます。いじめられていた人が復讐していくというのは、ドラマ化しやすいんだけど、悪気なくいじめをやっていた元気な子どもたちが、1人ずつ殺されていくことで反省する。ラストの間宮祥太朗の芝居は難しかっただろうなぁ。正しい芝居でしたが、良くもなかった。新木優子の役も難しかったと思います。そういう微妙な難しいことをやっている割に、感動を与えられないことが残念。
5話、小学校に行った時の、過去の子どもたちを歩かせて絡める演出は素敵でした。
でも、取調室で、警察の宇都見が、立ち上がって次の人の取り調べ室に移動したあの演出はないですよね、演劇的には
「緊急取調室」の最終回に、教室の回想シーンでもあったのだけれど、今回演劇的手法を使うシーンを度々見ました。テレビドラマで何故、演劇的手法を使うのか? 面白いから?斬新? そもそも映像は、時間と場所を自由に飛ぶことが出来るのに対して、舞台はそれが出来ない分、どう表すか?ということで色々な演劇的手法があるのだけれど…嫌いではないけれど、使うならば正しくルールは守らないと、混乱するし、思いつきに見えてしまう
ちょっとだけエスパー(テレビ朝日)
最終的には、よく計算された素晴らしいドラマだし、1話から同じことが繰り返されるのかと思いきや…と話の展開も飽きさせないように素晴らしい。さすが乃木亜紀子脚本。さらにラブストーリーあり、親子愛あり、愛情満載のドラマなのに、一度も感涙するような感動に至らなかったのはどうしてなんだろう? 面白いと思ったシーンは数あれど、四季が、記憶のバックアップの瓶を拭き飛ばすみたいな素敵なシーンを見て感動できなかったのは何故なのだろう?
考えられることは、やはり著名な脚本家の思い入れたっぷりの脚本にダメ出しが入らなかった。或いは、演出の問題。
ESCAPE それは誘拐のはずだった(日本テレビ)
初回に引き込まれ、その後の逃亡生活も色とりどりで楽しめました。佐野勇斗は今までで一番良かった。どん詰まりで不思議な協力者が登場したり、警察にも良い人がいたり、上手く挿入して、10話持って行ったと思います。
ただ、気になるミスがいくつか、これは演出の失態。5話のラストシーンを6話の頭で流した時、明らかに別に撮ったシーンだった。同じシーンを何回も撮るのは、話も違っていれば当たり前なんだけど、あそこまで明らかに違うカットを使った理由が不明。桜田ひよりのセリフ「パパ、私を殺そうとしたよね」のアクセントが違っていたのです。正しいアクセントは、6話の頭の方なんだけれど、5話のラストシーンのセリフの言い回しは素敵だったので記憶に残っていて、それをそのまま使うべきだったと思う。もうひとつは、逃亡生活が長く続いていたにもかかわらず、桜田ひよりの爪が、綺麗に手入れされてマニュキアで光っていたこと。これはメイクの仕事ですが、結果的には演出。あれはないですよね。引きました。
じゃあ、あんたが作ってみろよ(TBS)
テレビドラマとして、とても面白かったです。竹内涼真が自分のことと、ドラマの意図をよく汲んでいて素晴らしく、目が離せなかった。当初の頭の硬い古い男が、変わっていく様は、理想論ではありますが、実際にはどーだろう?です。でも、ドラマとしては、そのきっかけひっかかり、全てがスキルのように教えてくれていて、脚本が面白い。セリフとかよりその構成力。自分を持たずに、ただいい彼女になることだけだった女性が大人になっていく。そういったテーマを伝えつつ、明るく笑えて楽に見られるテレビドラマでした。