今回チェックしたドラマは

【366日/アンメット/95/天使の耳/燕は戻ってこない/Destiny/くるり~誰が私と恋をした?~/ブルーモーメント/イップス/9ボーダー/季節のない街/Believe/ダブルチート/花咲舞が黙ってない/東京タワー/おいハンサム!!2/アンチヒーロー/あなたの恋人強奪します/ミス・ターゲット/Re:リベンジー欲望の果てにー (以上20作品と最後まで見続けることが出来なかった下記10作品)/好きなオトコと別れたい/お迎え渋谷くん/25時、赤坂で/滅相も無い/JKと六法全書/街並み照らすヤツら/約束ー16年目の真実~/アクマゲーム/6秒間の軌跡season2/君とゆきて咲く~新選組青春録~】

 

[感想はすべて敬称略]

 

 

2024秋 MYアカデミー賞

 

 

主演女優賞 松本まりか(ミス・ターゲット)

 

久々に合った役で、小悪魔的な魅力全開でした。基本的にアニメ喋りは許せないので、後半、ラブストーリーになっていったら、圧倒的にアニメ喋りになり辛かったけれど、前半の結婚詐欺師としての2面性は、美しく魅力的だった。何よりも、テンション高い芝居の時の、stop&go(こんな言葉は芝居的にはないと思うが)が素晴らしい。静止、そしてスロー、表情も静止から変化。これほど計算して芝居できる人が、アニメ喋りをやめられないはずはなく、こちらも計算なのだと思いたい。ホント、やめて欲しい。

 

次点:今田美桜(花咲舞が黙ってない)

   杉咲花(アンメット)

   武田玲奈(あなたの恋人強奪します)

 

今田美桜、主演の時は、こっちのキャラですね。可愛らしくて素敵です。顔が可愛すぎるのだけど、何よりも芝居がしっかりしていて、ミスがない。つい数年前に杏がやったリメイクで、やりにくいのではないかと心配だったけれど、今田美桜ならではの役作りで過去作品を忘れさせてしまった。

杉咲花、どうしても性格が悪そうに見えて好きではないのだけど、役者として見ると、とっても好き。今回もあらゆる表情や演技が彼女らしい計算に見えて好きではないのだけれど、とても良い。好きではないけど(←しつこい)彼女の出演作は絶対に見ます。

武田玲奈、気づけば、30分ドラマで最後まで楽しみに見続けられたのはこれだけ。30分ドラマにはやはりB級作品が多い。でも、武田玲奈は、地味に個性的

 

 

主演男優賞 若葉竜也 (アンメット)

 

彼の出演作品を見るのはまだ2本目です。今回の役は他の役者には変えられないと思えるほど合っていて(本人の力量だとは思いますが)魅力的で目が離せなかった。大半は、感情を表に出さないけれど、深い愛情に溢れた人物。だからこそ、感情を表に出した時の説得力が圧倒的だった。彼のような深い愛に包まれたいと感じた女性は多いのではないか。圧巻でした。

 

次点:長谷川博己(アンチヒーロー)

   舞熊克哉(好きなオトコと別れたい)

   

 

長谷川博己、ってこんな芝居をやる役者になったんですね。実は、彼を見るのは数年ぶりでして…。NHKのプロジェクトXから流行化している、語尾アクセントのナレーションを、基本のセリフに使ったのは、正しい文章アクセントではないので嫌だけれど、アイデアとしてはあり。表情の作り方も喋りも、計算でここまでできる役者だとは知りませんでした。というのは、初めて見た作品の時にあまりいい印象がなく、それ以降も選んで見なかったのです。

舞熊克哉、彼も最初に見た時の印象が強すぎて、これほどまでに軽い役を魅力的に演じられる人だとはしりませんでした。やはりいろんな役を見てみないとその人本来の魅力は分からないもので、食べず嫌いをしないように心がけます。

 

 

助演女優賞 中村優子(燕は戻ってこない)

 

春画を描くアーティストだけれど、私生活では男に(セックスに?)興味がないという異色のキャラクターを、ドライに明るく、本当にスカッと気持ちよく演じてくれて、なんだかジメジメしたドラマの空気を動かしてくれた女優です。

 

次点:なし

   

今回、魅力的な助演女優が探せど探せど見当たらず、いい役はいくつもあったのだけれど、ちょっと品のない、ただ顔が可愛らしい人はいたのだけれど、すごいと感じられる人は他にいなかった。しいていうなら、(ミス・ターゲット)の筒井真理子は、最近いろんな役どころを演じているけれど、このくらいの役が素敵。(アンメット)の野呂佳代の明るさは救われるし、同じく(アンメット)の山谷花純は、奥に秘めた強い感情を持っていつもそこに存在している感じが良かった。(Destiny)の高畑淳子は、素晴らしく落ち着いてそこに存在していた

 

 

 

助演男優賞 

   瀬戸康史(くるり~誰が私と恋をした?~)

 

実は瀬戸康史も久々に見る感じです。こんなに格好いい男性だったっけ?っていう大人の男性を演じていました。そもそも顔が可愛らしいので、格好良く見えなかったのだけれど、今回の感情を抑えた役作りはとても大人感を出していて、他の男性との差を見せつけた。

 

次点:小市慢太郎(アンメット)

   岡山天音(アンメット)

   中川大志(95)

   駒木根葵汰(25時、赤坂で)   

   荒川良々(ダブルチート)

 

助演というよりは、みなさん、いつも通り、またはいつも以上に魅力的でありました。

 

 

気になる役者

松田元太(東京タワー) 一見悪そうな風貌から、純粋で情のある男性とのギャップが良かった。

伊藤万理華(燕は戻ってこない)芝居は体当たりでいいのだけれど、表情ブスなのが残念。実際は可愛らしい顔が、芝居によってブスに見えてしまうところが、直るといいなと期待しています。

沢田優乃(アンメット) 子役です。芝居が上手、とは感じられなかったのだけれど、何かを持っている子です。また見てみたい。

穂志もえか(あなたの恋人強奪します) 

 

  

 

制作(キャスティング)賞 【季節のない街】

 

「脚本:宮藤官九郎」の名前でこれだけの役者をこういう風にキャスティングできるのでしょうか? なかなか濃いキャラの役者たちが、それでも、いつも濃くそこに存在しているわけではない。そして時々主役になる。時々見せ場がある。豪華キャストのドラマはいくらでもあるけれど、これは、ちょっと変わったバランスのキャスティングでした。

 例えば、今回、ブルーモーメント(山下智久)とかBelieve(木村拓哉)は、その主演のバリューで、かなりの豪華キャストを使っている。それにしても木村拓哉と天海祐希は、最後まで合わない夫婦で、どうしてこのキャストになったのか頭を捻りながら見ていた。ブルーモーメントには、ラスト近く、田中圭と伊藤英明が、なんでこんな役(伊藤英明は、その存在感で政治家をやってくれたことはドラマを締めたと思います)で登場。それどころか、最終回には小池栄子と仲野太賀が声の出演と書かれていた。どこでどの声だったのか、今となっては分からない。つまりドラマには効果を生んでいない。あるとしたら、関係者が楽しむため?

 「季節のない街」も関係者はそれなりに楽しんで作っていると思う。次のクールにまた宮藤官九郎のドラマがある。3クール連続。またまたかなり遊びそうなドラマ。キャスティングにダブりが見られるので、彼の作品好きのメンバーだろう。関係者が楽しむのはいいが、見ている人がそれ以上に楽しめることが前提。

 ラブストーリー、「366日」もキャスティングミスだと思う。広瀬アリスも眞栄田郷敦もいい役者だと思うが、全く魅力的ではなかった。広瀬アリスは、ただただ我慢している感じ。辛い。もっと合うキャスティングだったら、それなりにドラマは変わっていたのかもしれないと少し思う。が、脚本が悪かったのも事実。

 

 

主題歌賞  「hanataba」 milet

          (アンチヒーロー)  

 

きっかけは(Destiny)だった。毎回ラスト近くから流す主題歌は、椎名林檎の「人間として」これがミュージカルみたいな曲。いい曲かどうかは分からないけれど、インパクトはあり、ほぼ毎回ドラマに合わない。ついでに歌詞がセリフの邪魔をする。そこからチェックしたら、結構歌詞アリの曲をドラマの中から流していることに気づく。主題歌ってこんなに歌詞があったんだ。って感じ(音楽に疎くてごめんなさい)例えば時間経過のシーンが続く時に歌詞アリの曲はなんの問題もないけれど、ラスト近く、結構重要なセリフの合間、または上に歌詞がのってくる。(Destiny)では、実際にセリフの邪魔をしていた。ついでにあのミュージカル調の曲がやけに耳につく。ドラマどころではない。依頼が悪かったのか、OKした曲の問題なのか、編集なのか、演出なのか、どこかに問題がある。そして気付いたのが、(アンチヒーロー)のラストにかかるこの曲。歌詞あり、曲調もかなりインパクトがある。でもドラマの邪魔はしていない。終わってから耳に残っていると、なんとも悲しげな心の疼きだけが余韻として残る。

 

 

演出家賞 Yuki Saito(アンメット)

 

何も喋らない時間を大切に描いている感じがして好きでした。

脳に問題のある川内ミヤビの表情をカメラで映し出す時に、そのたっぷりとした時間の使い方で、ぼんやりした脳の奥まで描こうとしているかのような、つまり平面的ではなく、奥行きを感じたのは演出の力なのではないかという思うのです。演出家は何人かいるようですが…。

 

次点:なし

 

 

 

脚本賞 【アンチヒーロー】

   李正美、山本奈奈、宮本勇人、福田哲平

 

4人の名前がありました。通常こういう場合選ばないのですが、それぞれの回の話が、というよりは、全体的によくまとまりのあるストーリー展開になっていたので。

 初回の殺人犯を無罪にすることが、ある冤罪事件を解決するためだったとは。その掴みの時は、自信満々だった明墨弁護士が、微妙に弱さや優しさやボロを出していく流れも、毎回違う人が書いていたとは思えない統一された筋書き。

 セリフに惹かれたというよりも、ストーリー展開に惹かれました。

 

次点:篠崎絵里子(アンメット)

   荒井修子(天使の耳)

 

 

作品賞   天使の耳 (NHK)

 

よく出来たドラマでした。最後どんでん返し!になるのは、原作のなせる技ですが、ドラマ全体の重み、事故にあった人たちの心の揺れ、警察官たちの葛藤、細かくあらゆることが網羅されていて、ドラマも楽しみだったし、その重みで見終わってからしばらく考えてしまう感覚も好きです。

 

次点:アンメット 

   アンチヒーロー

   おいハンサム!!2

   ダブルチート

  

ここまで触れなかったドラマのみひとこと

 

【おいハンサム!!2】 前回以上に、この作品らしい作りになり、この後映画化もあるようで楽しみです。役者がとても自由になっていました。少しだけ古き良きものを大切にする感じが、私的には好きで、とてもドライな現代的な娘3人がメインなのに、情緒的で、笑えるホームドラマの面もあり、ほのぼのと楽しめる素敵なドラマです。いくらでも作れるならいつまでも続編希望です。

 

【ダブルチート】主演:向井理 と知り、見たくないドラマとして第一話を見たのですが、面白かったです。だからラストまで楽しみに見られました。向井理のどこがいいのか全く分からなかったのですが、ひとつだけ、彼はびっくりするほど足が長かった。今回の役どころは良かったと思うし、何よりもストーリーが彼を素敵に見せていました。

 

【ブルーモーメント】これだけお金をかけているのに、面白くならないドラマについて。

まず許せなかったのは、出口夏希に中国語を話させたこと。不満があると中国語で捲し立てるという独り言。全く役に立っていない。意味がない。彼女が中国語を喋ることが出来る。それなら使っちゃおうという浅はかな思いつきにしか感じられず、結局ジリ貧で消えていく。

 こういうテンションドラマは、何を持ってその緊張感を作り上げドラマに引き込むのか? もちろんあらゆることが絡んでくるのだろうが、ある平面舞台で役者たちが緊急性のあるセリフをがなり立てても、その緊迫感は作られない。逆に笑ってしまいそうになる。今回それほど役者に問題があったとは思えない。それなら、脚本? 演出? そのどちらにも問題はあるのだろうが、難しすぎてよく分からない。

 ひとつはっきりしていることは、大きな災害があっても、それで怪我したり死にそうになったり、実際SDMのメンバーが亡くなっても、悲しみが沸いてこない。まるで、災害を俯瞰で見ているかのよう。これは絶対にやってはいけないことで、例えば、ウクライナもガザも能登半島も俯瞰で見てしまったら、単なる戦争で、そこにいるひとりひとりの同じ人間の命の重さが見えてこない。このドラマでもあれだけセリフでは、「気象予測は人々の安全を守るため」とか言っているにも関わらず、命の重さは伝わってこなかった。だから、CGで作った悪天候だけが目に入ってきて、そこにいる人々は見えないし、緊張感も切迫感も何も伝わってこなかった。

 

【9ボーダー】私の大好きなたぐいのラブストーリー。で勿論楽しみにしていたのに、ちっとも面白くなかった。ただ、一回だけ(最終回の一回前?)素敵なシーンがあって、あのシーンのために全てがあったのだなと、まあ納得。(シリーズドラマとしては単に面白くなかったです) とりあえず、登場する人々が、なんだか良い人。いい人ばかりが集まってぐちゃぐちゃやっても恋愛問題もそれ以外の問題も、ドラマにはなっていかない。ただ、基本にコウタロウの記憶喪失という問題がある。記憶は戻らないのに、自分の素性を知って実家に戻ったコウタロウの周りには、またまた良い人ばかり。良い人ばかりに囲まれた良い人は、「元の世界に戻る」と愛する七苗に伝えるシーン。良い人ばかりが集まってもドラマは出来ないけれど、良い人ばかりが集まっているが故に、このどうしようもない状況を受け入れる、その辛さ苦しさは倍増していました。最終回もつまらなかったけどね。

 

今回も記憶喪失ばやりでした。私の考えでは、タイムマシーンと幽霊と記憶喪失は、ドラマの道具としては涙と感動を与えるのが最も簡単な飛び道具なので、使うならば、その設定や詳細を苦しんで綿密に作り上げていく。それでなければ安易に使わないで!と言いたい。

 

【滅相も無い】【季節のない街】【街並み照らすヤツら】を比較して、演劇的ドラマの作り方について語ろうかとちょっと思っていたのだけど、もうすでに十分長いので、手も痛いし今回はやめておきます。最後なので良いことだけ書いておくと、この三つの中で【季節のない街】だけは、ある一話が、とにかく奇想天外で度肝を抜かれ面白く、感動したので、最後まで見続けることが出来ました。