楽しみで、次回が楽しみで…というドラマが少なく残念でした。でもテレビドラマ的に楽しめたものはありました。ただ、たった3ヶ月、10回前後の連ドラなのに、途中に無駄な回が挟まれる感じがするのは、時代の流れでしょうか? 昔はドラマは基本2クール(6ヶ月)だったものが、1クール(3ヶ月)になって久しい。それでも無駄を感じるのは、今後もっと短いサイクルのドラマが増えていくということでしょうか? 長編小説好きの私としては、それは寂しいです。

 

今回チェックしたドラマは

【君が心をくれたから/春になったら/先生さようなら/Eye Love You/夫を社会的に抹殺する5つの方法/となりのナースエイド/婚活1000本ノック/パティスリーMON/グレイトギフト/大奥/不適切にもほどがある!/おっさんずラブ・リターンズ/ジャンヌの裁き/消せない「私」復讐の連鎖/お別れホスピタル/さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~/厨房のアリス/アイのない恋人たち/あれからどうした/リビングの松永さん/めぐる未来/おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!/恋する警護24時/離婚しない男ーサレ男と悪嫁の騙し愛ー/マルスーゼロの革命/院内警察/ハコビヤ/闇バイト家族/推しを召し上がって~広報ガールのまろやかな日々~/ナースが婚活/新空港占拠(全31作品)(後ろ7つのドラマは途中棄権。その前6つは、途中から時々流し見。見続けられなかった理由はそれぞれにありますが、敢えて書きません)】

 

 

 

2024冬 MYアカデミー賞      (敬称略)

 

 

主演女優賞  志田彩良 

     (消せない「私」復讐の連鎖)

意思の強さが彼女の目にいつも宿っていて、惹きつける役者だと思います。復讐ドラマだったせいで、怒っている顔が多かった中、ホストクラブの顧客に化けた時は、可愛らしかった。

 

次点:    高梨臨(夫を社会的に抹殺する5つの方法)

       門脇麦(厨房のアリス)

       川栄李奈(となりのナースエイド)

    

Season2は、高梨臨主演と聞いた時に、なんてぴったりなキャスティングでしょうと思いました。でも予想外に、おどろおどろしい芝居は全くなく、後で書きますが、素晴らしい演出等で、地味な、でも存在感のある主演に位置していました。

川栄李奈は、主演というにはちょっと華がなく、残念ですが、芝居はきちんとしていると思います。今回は、とんでもない展開とか、場所をわきまえないギャグとか、脚本がしょっちゅうぶっ飛んでいたのだけれど、彼女はその全てをきちんと嘘のないようにまとめていて大変だったことでしょう。

 

 

主演男優賞 チェ・ジョンヒョプ

          (EyeLoveYou)

 

これぞ主演というか、役者はこうあるべきというか…とても魅力的な青年で、彼の表情のひとつひとつから目を離せなかった。ストーリーだけを追うようなレベルの低いドラマがいくつかある中、彼のように見ていたいと感じさせる魅力的な表情をコロコロと出してくれるならば、ストーリー展開ではなく、きちんと画面に釘付けにできる。役者はこうあるべきなのだと、改めて考えさせられました。

 

次点:    福士蒼汰(アイのない恋人たち)

       田中圭(おっさんずラブ・リターンズ)

       阿部サダヲ(不適切にもほどがある!)

       濱田崇裕(パティスリーMON)

 

デビューの時から、格好いいと注目され続けてきた福士蒼汰。最初の頃は、ありえない目をむく演技を繰り返し、演技が本当に下手で、私的には、芝居の下手な人はどう頑張っても格好よくは見えず、ただただ辛かったのだけれど、これほど余計な芝居をしないで、きちんと主演を張れる役者になるとは…デビューの時から、その魅力に気づいていた人たちのお陰でしょう。格好いい男性だと、今は思います。

阿部サダヲは、好きな役者ではない。のに、かなりレベルの高い、ドラマの主演男優になっている。いい作品に参加しているので、連ドラは見ています。そもそも彼を嫌いになった理由は、その芸名にある。売れるためなのか知りませんが、こういう芸名を付ける人が嫌い! ついでに大人計画も(一回しか見ていませんが)嫌い。そんな彼がきちんと芝居をやっているのだということが、今回分かりました。一番は、妻と二人で歌うシーンで、紙吹雪が唇についてしまったのだけれど、1発撮りだったのか、きちんと最後までやり抜き、それを取るタイミングと取り方が、こんな芸名を付ける人とは真逆の、きちんとしたプロの役者なんだぁと感じさせられました次第です。

 

 

助演女優賞 佐々木希(アイのない恋人たち)

 

他の三人の主演女優と格の違いをまざまざと見せつけてしまった感じです。容貌の美しさはもちろん、演技力でも。他のメインの三女優が完全に霞みました。

 

次点:    関水渚(婚活1000本ノック)

       前田敦子(厨房のアリス)

       西野七瀬(大奥)

       吉田羊(不適切にもほどがある)

 

関水渚は、このくらい意地の悪い役で十分可愛らしい。

前田敦子は、この役最高に合っていますよね。綺麗な役とか影のある役とかではなく、絶対にこういう役が魅力的

西野七瀬も、主演を張るようになってからどうも魅力的な役がなかったけれど、今回は綺麗でした。特に倫子の付き人をやっている時が美しかった。派手な衣装は必要ない人なのかもしれません。

 

 

助演男優賞  井浦新

     (おっさんずラブ・リターンズ)

 

子犬のように目をウルウルさせて、春田を見つめる井浦新の表情はピカイチで爆笑させて貰いました。ドラマを見て声をあげて爆笑できるのは幸せだし、素晴らしいドラマと言っていいのだと思います。リターンズで、そもそものメンバーもみんな遊びまくり、やりまくり、大変うるさいドラマになっていたのですが、その中でもあの顔であのウルウルはピカイチでした。

 

次点:中川大志(EyeLoveYou)

   磯村勇斗(不適切にもほどがある)

   濱田岳(春になったら)

 

チェ・ジョンヒョプと並ぶと、あの美少年だった中川大志が、霞む。背の高さと顔の小ささと…。でも、笑いを取るのが好きに違いないこの人ならではの演技は変わらず魅力的で、好きな女性を少し離れたところで見守る姿はやはりハンサムでした。

濱田岳は、自分の外見の活かし方をよくわかっている役者で、あの外見で(失礼)とても可愛らしい男を演じ、母性本能をくすぐろうとしている。ちょっと計算が見えてしまうのは、私は残念に感じますが、いなくてはならない役者になっている事が凄い。

 

 

気になる役者

 

桜井玲香(夫を社会的に抹殺する5つの方法)顔も喋り方も声の感じも、ちょっと個性があり、単なる綺麗な不倫相手ではない。キャスティングが良いのだと思います。

工藤遥(夫を社会的に抹殺する5つの方法)取り立てて魅力のある役者とは言い難いのだけれど、やはり、キャスティングの力だと思います。

出口夏希(君が心をくれたから) 何て素敵な子が現れたのでしょう。こういう個性的な美しい今風の顔。演技は問題なく、魅力的で、近い将来、間違いなく主演を張る女優のひとりです。

もう一人、名前を見つけられなかったのですが、(となりのナースエイド)患者の女子高校生役 の女優。彼女はまだ演技が初々しい感じですが、高校生くらいの年齢ならば間違いなく次はもっといい役を得るでしょう。二人とも、顔が単に綺麗なのではなく、個性的で、映像的に求められる、記憶に残る美しさなのです。

新井郁(厨房のアリス)  

金澤美穂(厨房のアリス) 今回悪くなかったけど、もう一歩、合った役に出会いたいですね。

白河れい(婚活1000本ノック)  この子は何者ですか? 普通に喋る役も見てみたい。

(ジャンヌの裁き)の越前剛太郎の娘役 名前を見つけられず…。

 

 

制作(キャスティング)賞  

       婚活1000本ノック

 

橋本マナミと中越典子を友人役で使ったことは素晴らしいと思います。主演より綺麗な女性二人が、とてもドライな親友たちで、彼らとのシーンはドラマの中でとても意味があった。婚活相手は、ちょっと作りすぎの役が多く、引くことも多かったが、大貫ゆうすけは良かった。そして前述の関水渚。

主演の福田麻貴は、役者じゃないので、時々ボロが出るのだけれど、喋りの大変上手な方。対して八木勇征は、とても魅力のある人だけれど、時々、セリフが語尾アクセントになる。

 

【夫を社会的に抹殺する5つの方法】のキャスティングも良かったです。前述の桜井玲香と工藤遥を筆頭に。ただ、こちらは制作の問題ではないように感じているのです。あらゆる点で演出の意向のように感じられるのです。

 

 

主題歌賞  清水美依紗「Suger」

        (パティスリーMON)  

 

音楽に疎い私ですが、毎回笑顔で聴いた曲。

 

 

演出家賞   松本佳奈(春になったら)

 

福田靖脚本の、感動ドラマをとても繊細に丁寧に描いていたと思います。

最近女性の演出家の名前を見ることが増え、そのどれもが考えられて作られている感じがすることを、とても幸せに思っています。

ドラマの中で使った音楽が、いつになく、音響効果ではなく、記憶に残りました。親子で遊ぶシーンの後ろに流れた「ふたり」を語る曲がとにかく印象に残った。最終回にも使われ、主演の奈緒と木梨憲武が、「ふたりで」という曲をデュエットしたと知った。もうひとつ、スティングの曲によく似た曲も、何度か記憶に残った。音楽に疎い私の耳にしっかり残る曲は、凄い!のです。

 それと主演木梨憲武の演技も演出の意向があるのではないかと…。役者ではない彼が、余命3ヶ月の父親を明るく演じるためには、あのような手法が正解だと初回を見て感じた。演出家はもう一人男性がいたようす。ただ、演出がいいに違いない!と感じた回の演出が、松本佳奈でした。

 

 

脚本賞  上村奈帆

      (夫を社会的に抹殺する方法)

 

演出も兼ねていたので、演出賞か脚本賞かで悩みました。

まず、原作があるのに(読んでいません)season1とこれほど違うドラマにしてしまったことに拍手です。正直、あのドラマをもう一回見る気持ちはなかったのだけれど、初回を見たら全く違う作りになっていたので、見続けたら、ドラマとして格段素晴らしいものになっていました。

ひとつは、ドラマの構成、キャスティング、そして演出。

時々、無駄な映像が差し込まれます。タクシーに乗っている間の、街の映像。街の子どもと触れ合う人々の映像。こうした映像はともすると違う意味を持ってしまうので、注意が必要ですが、演出家の「伝えたい」という思いもしっかり伝わってきました。

 

次点:宮藤官九郎(不適切にもほどがある)

 

 

作品賞    不適切にもほどがある

 

脚本を書く時、とても数学的な作業をする。何故なら、あらゆる点が、線でつながらないといけないから。それなのに、そういうことを無視したドラマがたくさんある。例えば、このドラマのようにタイムトラベルをするドラマは、感動や驚きを与えることは難しくないが、その設定をテキトーにされると、頭にくる。それじゃあ、なんでもありね。誰でも書けるわね。って。

さて、この宮藤官九郎の脚本は、非常に数学的によく計算し尽くされていた。ついでに、キャスティングも層が厚かったし、ミュージカル部分を含み、きちんとまとめ上げられた素晴らしい作品に仕上がっていた。放映中の脚注(不適切な言動に対してのコメント)が多すぎたが、時代の流れなのか…はたまた、それも使って観客を喜ばせようとしたか。

 以前もあったが、素晴らしいドラマだからと言って、続きが楽しみで、次週を心待ちにするようなことがない。感動で涙することも、(にこにこすることはあっても)爆笑することもない。それが残念。欲張りすぎだろうか?

 

次点:春になったら

   EyeLoveYou

 

【春になったら】福田靖がこんな感動ドラマを書いてくれるなんて、たまらなく嬉しかった。お笑いタレントを目指す男との結婚を反対する父親役が、木梨憲武というキャスティングは素晴らしかったと思う。ただ、何人か、いまいちのキャスティングがあり、なんだろう? なんか物足りない気持ちが残った。

【EyeLoveYou】ラブストーリーですから、とてもドキドキ楽しめました。何よりも主演の男優が子犬のように可愛らしく、一途に愛を伝える素敵な男性だったので、世の女性たちはにやにやしながら見たのではないかと思います。目を見ると相手が何を言ってるのかわかるという、「病気」?が、結局中途半端で、絵本の中の話なのか、もっとシリアスなものなのか…。それ、いらなかったんじゃない?って、単なるラブストーリー好きの私は思ってしまうわけです。   

  

 

 

ここまであまり触れられなかったドラマについて、ひとこと書いてよろしいでしょうか

【君がこころをくれたから】一言で言うと最低のドラマでした。こんな設定にしないと描けない愛情とかラブストーリーって何なのでしょう? 五感のうち、触覚だけは、ないという状態が全くイメージできず、コメントできませんが、そうなる事が分かっていて、日々を過ごす、主役のあめちゃんは、頭の弱い子にしか見えません。あれほど笑顔が売りの永野芽郁の泣き顔を見せまくることが意外性があってウケるとか思ったのでしょうか。

【先生さようなら】脚本渡邊真子、演出池田千尋で、とっても期待していたのに、一言で言うと、気持ちの悪いドラマでした。

 高校生に見えないハンサムな男の子が、(見えない高校生は実際にもいるでしょう)あんな冴えない女子教師に本気で恋をし、大学生の間も他の女性に目もくれず、再会して結婚するのはちょっとリアリティがない。地味な女子教師を、全然合わない北香那が素晴らしく演じている。が、全然合わない。

田邑が教師になってからの生徒との関係性もなんか気持ち悪い。生徒たちも気持ち悪い。

セリフにも際立ったものはなく、どうしてこんなドラマになってしまったのか。

主演の渡辺翔太は、芝居はまだまだ。とても魅力的な時と、よくない時の差が大きい。彼そのままの魅力が乗るような役なら生きる人なのだと、今は思います。

【グレイトギフト】大人の病院ドラマかと思いきや、簡単に人が殺され、どんどん殺され、その後、誰もが疑わざるを得ない状態に入るという、最近よくある猜疑心ばかりのドラマになってしまったのは残念でした。

【大奥】大奥ドラマの中では、かなり楽に見る事ができる作りだったと思います。脇役が臭い芝居をする中にいたせいか、小芝風花は、公家には見えなかったけれど、可愛らしい女性でした。

【ジャンヌの裁き】原作は漫画でしょうか? 陪審員(と呼んでいいでしょうか)のキャラクターが、異常です。小劇場のシチュエーションコメディならやるかもしれないけど、笑いを取らないと意味がないし、とりあえずあり得ないキャラクター陣。ドラマの内容が結構重かったのでアンバランス。それにしてもテレビ東京はもう少しスタッフの情報をきちんとHPに上げて欲しいです。

【アイのない恋人たち】遊川和彦が、なんだか普通のラブストーリーを書いてくれて、それなりに楽しく拝見させて貰いました。男優三人は、あまりにも違くてこんな三人が親友になるかなぁ?と最初思わされたけれど、高校の同級生ならばありです。ただ、その相手役の女性三人が、友人になるのは、どうも無理があるし、とにかく魅力的じゃない。深川麻衣は、この役は合ってると思います。岡崎紗枝は、キャラが動いていますよね。当初のキャラにしては、突然怒りすぎる。岡崎紗枝は、とにかくいつも怒っている印象。多分、役のカードが2、3枚しかないのだと思います。成海璃子は、以前は透明感のある少女だったのだけど、これからどういう役者になっていくのやら? この三人に魅力がなく、その分、佐々木希が抜群に良かったし、美しかった。前田公輝は、どんどん自由になっていく感じ。

【さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート】オーケストラの音が、演じている役者の楽器から出ているように聞こえない。少し前にあった【リバーサルオーケストラ】というドラマとどうしても比較してしまいました。地域の潰れそうなオケの話だから。【リバーサルオーケストラ】は、オケの役者も個性的で魅力的、音もオケから聞こえてきたので、演奏のたびに感動できたのに、今回は、オケの役者に魅力がない。(大好きな新木優子もいたのに)そして、どの楽器もそこから音が聞こえてこない。これは、役者の力だけとは言い難いので、演出、音楽担当、編集、そこら辺の問題なのでしょう。(當真あみのバイオリンだけは聞こえました。ああ、チェロのソロもいい音でした)

 娘がとにかく怒ってばかりいる。こんなに素敵な父親、本当は大好きな父親のことをこれほど長年、怒り続けている娘なんて存在しない。怒っている裏側に大好き!が見えない。もっと心の裏腹さが描かれていないと。【恋する警護24時】の女弁護士も当初いつも怒っていて、失礼千万。怒るという感情表現の理由が見えないから、怒っているだけに見える。白石麻衣、岡崎紗絵、etc…

【パティスリーMON】素敵なラブストーリーでした。大人だか子どもだか分からない、中途半端な可愛らしい女性、音女ちゃんが最後結婚するまで違和感なく繋がっていったのは、畑芽育の力だと思うし、とてもきちんと芝居をする人です。恋人役の濱田崇裕も素敵でした。

 なんだか、靴にこだわる演出?衣装さん?で、とにかく靴のアップが多い。そして素敵な靴を履いている。日本人は靴文化が浅いので、こういう素敵な靴をアップにされるのはなんか新鮮でした。先に行けない気持ちを靴のUPで描いたりしていた。ちょっと多すぎたので、他の手はないのか?と感じたり、靴のスポンサーが強いのかとか余計なことを考えてしまいました。