今クールも刑事ドラマがとても少なく、ラブストーリーと、ドラマが多くて楽しめました。漫画が原作の作品がとても増えて、それだからと言うわけでもないのかもしれないが、そもそもの役柄が突飛だったり【単身花火】有り得ない設定だったり、展開だったり、暴力が酷すぎたり【マイホームヒーロー】私のリアリティではついていけない作品がいくつかあり、そもそものアイデアは悪くないのだけれど、3ヶ月見続けるドラマにはなっていない作品【今日からヒットマン】【パリピ孔明】が目立ちました。

 

今回チェックしたドラマは

【時をかけるな、恋人たち/マイ・セカンド・アオハル/コタツがない家/インターホンが鳴るとき/ゆりあ先生の赤い糸/いちばんすきな花/ブラックファミリア~新堂家の復讐~/ きのう何食べた? season2/うちの弁護士は手がかかる/ハイエナ/ガラパゴス/単身花日/遥かなる山の呼び声/ゼイチョー/泥濘の食卓/あたりのキッチン!/セクシー田中さん/下剋上球児/たとえあなたを忘れても/すべて忘れてしまうから/今日からヒットマン/フェルマーの料理/マイホームヒーロー/パリピ孔明/ミタさんなりすます/秘密を持った少年たち/トクメイ!警視庁特別会計係/ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~ 

(全28作品)(後ろ8つは途中棄権)】

 

 

2023秋 MYアカデミー賞  (敬称略)

 

 

主演女優賞 広瀬アリス(マイ・セカンド・アオハル)

 

 初回が白玉佐弥子の人生を早回しで描いたような作りだったことも影響したのだろうが、圧倒的、主役で、主演女優。その後も、その存在感は圧倒的で、これぞ主演!と言いたい。コロコロ変わる表情が愛らしく、美しい人なのにどこか吹っ切れた感じが、今後更なる期待を持たせる。

 

次点:小池栄子(コタツがない家)

   吉岡里帆(時をかけるな、恋人たち)

 

 吉岡里帆は、派手ではないのに、主演を感じさせる女優で、声と喋り方の個性のせいか、いつも同じに見える部分もあるのだけれど、いつも主演女優。

 小池栄子は逆に主演女優らしさを感じない女優だけれど、安定した演技で、今回のように他の役(男たち)が万里江から枝分かれして繋がっているような役の相関図が出来上がっていると、非常にバランスの良い主演である。

 

 

主演男優賞 モロツヨシ(うちの弁護士は手がかかる)

 

 大好きな役者で、ああ、こんな風にピッタリの役があったのねぇと、痛感させられました。細部にまで行き届いた気遣い、わがままな女性をコントロールできるマネージメント力、そこにあの外見と、今回の素敵な髪型がフィットしてとても魅力的で、とにかくピッタリな役。に見せたことが勝因です。

 

次点:織田裕二(ガラパゴス)

   相葉雅紀(今日からヒットマン)

   吉岡秀隆(コタツがない家)

   堀井新太(インターホンが鳴るとき)

 

 

助演女優賞 原菜乃華(泥濘の食卓)

 

 やばいですね、こういう役があまりにも合っていて。押しの強さが魅力。

 

次点:安達祐実(うちの弁護士は手がかかる)   

   渡邊理佐(ブラックファミリア)

 

 渡邊理佐、達者な子、何者ですか?

 

 

助演男優賞 小日向文世(下剋上球児)

 

 人間味溢れるわがまま爺を、小日向文世にしかできない形で好演。前に出る押しの強さと、わがままぶりが、こういう成り上がりの金持ちいるよなあって、とてもリアルにその存在を感じさせる。なかなか出せない味ですね。

 

次点:吉沢悠(泥濘の食卓)

   磯村勇斗(きのう何食べた?)

   塩野瑛久(ブラックファミリア)

 

 若い頃美しかった吉沢悠が、こんな情け無いスーパーの店長をやるなんて…。オヤジの汚らしさと、根本的な優しさを兼ね備えた難しい役でした。

 

 磯村勇斗が、楽しんでやっている役です。このドラマは、シーズン2なので、どの役者も(多少やり過ぎ感は否めないが)以前にも増して持ち役を楽しんでいる感じでした。

 

 塩野瑛久は、このくらいの悪の方が良いのでは? 今まで見た中で一番ハマっている感じがしたし、何よりもトンデモないドラ息子の若手政治家なんだけど、時々見せる寂しさが魅力的でした。

 

 

気になる役者

作間龍斗(コタツがない家) 芝居できないのか演技している感じが全くないのだけれど、存在感はあり、高校生にも見えない。

窪塚愛流(あたりのキッチン!) 芝居できないんだけど、今回の役ははまっていて、優しさと穏やかな魅力のある子。

中沢元紀(下剋上球児) 陰があって、寂しげな目が美しく、トンデモない祖父に対する態度に優しさがあって、目の奥に世界があった。久々の圧倒的な2枚目。

奥野壮(下剋上球児) 何よりも前に出るエネルギーと笑顔が美しい。

小林虎之介(下剋上球児) 前に出るエネルギーとちょい悪ガキっぽさが可愛い。

瀧七海(ブラックファミリア)こんな変な子ではなく、良い子を演じていって貰いたい。

(いちばん好きな花)の美容師役の女優 セリフのキレが良かった。名前を見つけられず…。

 

やはり若手の役者に欲しいのは、押しの強さです。それは前に出るエネルギーであり、目力もあるし、何よりも気持ちの強さ。

  

 

制作(キャスティング)賞 【下剋上球児】

 

 新人の(または経験の浅い)多くの役者があれだけ魅力的に見え、そしてそれぞれインパクトを与えたことは素晴らしい。

 

 

主題歌賞  【コタツがない家】  

 

 演歌歌手、石川さゆりが、金子茂樹作詞の主題歌を歌う。これも含めて全体で、きちんとドラマの方向性が見えている。

 

 

演出家賞 若松節朗(ガラパゴス)

 

 登場する役者が魅力的に見えるのは、往々にして脚本の力であるが、今回はそのキャスティングも含めて、演出家の力でもある気がした。例えば、篠原ゆき子が、非常に印象に残る役作りであったり、肥後克広が、登場したことで、緊張していたドラマの空気が少し緩んで、見ていて安心したりした。

 

次点:下剋上球児の演出グループ

 

 

脚本賞 金子茂樹(コタツがない家)

 

 やはり凄いです。イチオシの脚本家。しょっちゅう、そのセリフのやり取りの凄さに「おっ!」と驚かされたり、感心させられたりする。泣いたり笑ったりの感動ドラマではないのだけれど、計算もされているし、非常によくまとまった、面白いドラマ。

  

次点:三浦駿斗(ゼイチョー)

   戸田山雅司(ガラパゴス)

   数人(うちの弁護士は手がかかる)

 

 

 

作品賞  決めません。

 

【遥なる山の呼び声】と【ガラパゴス】は、4話のみで、素晴らしい作品で、作品賞と言える完璧に近いドラマだったのですが、23年秋ドラマ(一応、10.11.12月)の枠では、捉えにくく、その他に面白い作品は数あれど、圧倒的と言えず、あえて決めません。

 

次点:下剋上球児

   ガラパゴス

   遥なる山の呼び声

   きのう何食べた? season2

   うちの弁護士は手がかかる

   ゼイチョー

   あたりのキッチン!

   セクシー田中さん

 

【下剋上球児]野球は、ドラマ仕立てには使いやすいスポーツ。甲子園に行くことを目標にし、タイトルがこれで、当然ラストの県大会は、ほぼ試合の結果が分かってしまっている、その難しい環境下、試合の展開も含めて、ドラマチックに描かれていたことに拍手。今期、最もよく泣かされたドラマでした。ドラマはやはり泣いたり笑ったり感動したい。テレビの前で心が動くことの幸せ感をたくさん味合わせて貰いました。

 越山高校の球児役のキャスティングが素晴らしく、日沖誠役の菅生新樹も、久我原役の橘優輝もこれまで見た作品の中で最も生き生きとしていた。

【ガラパゴス】良かったです。織田裕二が素晴らしく。伊藤英明が相変わらず魅力的に演技まくっていて、この二人のやりとりは、息を止めてしまうほど楽しく拝見させて貰いました。いいなぁ、芝居って。こういう役者が生きるドラマもっと見たいなぁ。

【遥なる山の呼び声】夏ドラマのまとめに書いたのですが、たくさんドラマを見ているのに、久しぶりに「ドラマ」を見たと感じさせられました。それぞれの役に奥行きがあり、人生があり、喋る言葉の裏側に必ず何かがあり、大人の人間ってこうですよね。ただセリフをしゃべっているのではなく、その裏側や奥にたくさんの世界があり、それを観客それぞれが感じ取って考えて、そういう時間を与えてくれるのがドラマですよね。

【きのう何食べた? season2】season2ということで、それぞれの役者が、自分の役を更に面白く突き詰めてきた感じ。特に磯村勇斗と内野聖陽は、前回以上にノリノリでした。ちょっと気弱な役の分、西島秀俊のリアクションが素晴らしく目を離せません。サザエさんのようにずーっと続いてくれたら良いのにって思います。

【うちの弁護士は手がかかる】【ゼイチョー】は、どちらも毎回解決ドラマ。それぞれのドラマも楽しめました。どちらも回が進むに従って、役者がノリノリになり、遊びの部分がクレッシェンドしていって、ちょっとやりすぎ?と感じる部分はあったけれど、菊池風磨は、間違いなくこういう子なのだと思う。最近多かった2枚目役よりずっといい。弁護士たちはちょっとふざけ過ぎだが、主演モロツヨシだし、菊池風磨だし、彼らに引っ張られて脚本も演出も少しずつ変わっていったのだと思われる。

【あたりのキッチン!】まず、キャラクターが普通じゃない。大学生3人が普通じゃない。でも原作は漫画だし、当初気になった桜田ひよりの役作りも、こんな子いるかしら?と思わせる喋りぶりではあったが、ドラマが良かったせいか、だんだん気にならなくなっていった。渡部篤郎が、久しぶりに優しい普通のキャラクターを演じてくれて心休まるものがあったし、そもそもドラマが心温まる素敵な話だった。

【セクシー田中さん】このドラマの一番の問題は、誰が主演だったかしら?と思わせたこと。いつのまにか生見愛瑠が主演だと勘違いさせられ、時々、いやいや、このドラマの主演は、毎熊克也とラブストーリーを演じている木南晴夏でしょう。と、何度も頭の中で考えさせられたこと。別に主演がはっきりしなくても良いのかもしれないけれど…。当初、なんだかよくわからないドラマだったのだけれど、途中から普通のラブストーリー プラス 女性の生き方みたいになって、男と女の立場とか、生き方とか微妙に絡まってきて、そんなドラマの中、時々、素敵な言葉が発せられて、時々じわ~と心にきました。

 

一応一言だけ書かせていただくと、【ONE DAY ~聖夜のから騒ぎ~】予告からつまらなそうだったけれど、恐ろしくつまらなくて一話さえ見終えるのが辛かった。大沢たかおチームのあのふざけ方は、どこかのドラマで全く同じレベルのものを見たことがあるのだけれど、思い出せない。スタッフが同じ? 【いちばんすきな花】綺麗な顔した4人が、大多数の普通の人たちに対しての愚痴をずーっと言い続けるドラマでかなり辛かった。2人組になることが苦手という趣旨で何故か仲良くなった4人だけれど、2人組になることで嫌な思いをしたことがある人は、そっちの方が大多数なのではないかという気がする。とにかく脚本が嫌い。4人で社会に対して言っている言葉でしょっちゅう気分が悪くなった。役者は美しくて良いです。【ブラックファミリア】【ゆりあ先生の赤い糸】最初は楽しみだったのに、かなりグロテスクになり、途中からは面白くはなかったです。【トクメイ!】橋本環奈が頑張っていたけれど、紅白の司会を見るとわかるように、彼女の喋りは全て波打っている(歌っている)ので、まず正しい日本語を喋って貰いたい。【フェルマーの料理】若いキャスト全員が、なんだか格好ばかりつけて、一言で言うと簡単な芝居を真面目な顔してやっていた…ばかりが印象に残った作品。

 

いつも思うのですが、最後にいいことを書いて終わりたいので最後に2つのラブストーリーについて

【たとえあなたを忘れても】タイトルが変ですよね。どうしても(たとえあなたが忘れても)に感じる作りでした。ご都合主義のところは多々あったのですが、(例えば、廃屋にあるピアノが全ての音を綺麗に出すはずがない。とか、あまり稼げない二人なのに、最後に戸建ての家に住んでいるとか。)でも、淡々と心の動きを描き、マイカーで美味しいコーヒーを販売することで暮らしているという自由を持ち、そこには良い天気があり、周囲の人々がみんないい人で優しくて、そういった穏やかな空気をずーっと流し続けたドラマで、ラブストーリーとしてこういうドラマでもいいと思うのです。

【マイ・セカンド・アオハル】最近やけに、年上の(それも10歳とか)女性と年下の男性のラブストーリーが増え、その殆どが、女性は自分が年取っていることに負い目を感じているにもかかわらず、結果、若い男が、「結婚」という形を求めるというハッピーエンドのラブストーリーが多い。とにかく多い。時々、ちょっとあり得ない感が残る(ユリア先生の赤い糸)こともあるのですが、世の趨勢なのでいいのでしょうか? 愛の形はどうあっても良いという考えはありだと思いますが、あまりにも多い感じがしているのは事実です。 30歳を過ぎて大学に行って、2度目の青春だからこそ、若い頃よりもさらに楽しめるということはあると思います。私も30歳過ぎて大学に行った口ですが、あんな学生寮に住むような楽しさはなかなか持てませんが、第二の青春は、第一の青春よりももっと自由に楽しめるかもしれません。お勧めです。明るくて、希望に満ちた学生生活と、友人関係と、恋愛関係が描かれたスカッとしたドラマでした。