もしも、人生にどん底があるのならば、
それは、なるだけ若い時にあった方が良い。
それまでの人生が、順風満帆で、50代とか60代に突然最悪のことが起こると、辛すぎる。
どん底から這い上がるためには、力と時間が必要だ。
なんらかの力、例えば周囲の人々のヘルプとか、自分の中から湧き出るエネルギーとか、そういうものがなかったとしても、結局は、時間が解決してくれる。
それは間違いがない。
時が経てば、少しずつ、その辛さは和らいでいく。
私にとって、どん底は27歳の時。
そこから立ち直るのに10ヶ月掛かった。
そして、それから10年後に、初めて「あっ、私立ち直れたかも」と感じたし、
それから20年後に、やはり同じように「私は、今、立ち直った」と感じた。
つまり、いつ立ち直れたのかは分からない。
ただ、分かっていることは、あそこが最悪だったということ。
つまり、あれより悪いことは起こらないという確信だ。
これには救われた。
10年後、はたから見てもかなりきついことが私の人生に降りかかったけれど、
私は、ハナから、「大丈夫、あれより酷いことはもうないのだから」と思って乗り越えることが出来た。
27歳のどん底の時は、もう人生の終わりを感じ、急に老婆になったような気分だった。
将来がないということは、こうも自分を老けさせるのか。
朝が辛い。
未来がなくなっているから。
朝、目を覚ました時が、最悪なのだ。
そういう時期は、最悪の自分のことしか目に見えない。他の人のことなど考えられない。
けれど、そのうち光は指します。
若ければ、光が指し始めてから人生をやり直すことはいくらでも出来ます。
そして、数十年後に、立ち直った時に、
あの経験が役に立ったと思えたら、その生き方は素晴らしかったのだと思うのです。
私の場合…
あのどん底があって良かった。
とは、やっぱり思えないな、まだ。