今期は、面白いドラマが少なく、次週を楽しみにするようなドラマは殆どなかった。
豪華メンバーでお金を掛けて宣伝して話題作りして、これほどつまらないドラマ作れるんだぁ、というドラマ(本当に辞めて欲しい。魅力的な好きな俳優さんが出ているからとチャンネルを合わせてずーっとつまらないドラマを面白いに違いないと信じて見続けるファンがいるわけだから)が2本。
大好きなラブストーリーがいくつかあったのに、なんか些細なドラマ性を挿入しようとする努力だけに終始したドラマ(もっとストレートにラブストーリーで良いと思うのです)が3本。どちらも残念でした。
今回チェックしたドラマは
【女神(テミス)の教室~リーガル青春白書/罠の戦争/夫を社会的に抹殺する5つの方法/大奥/星降る夜に/夕暮れに、手をつなぐ/ブラザー・トラップ/それでも結婚したいとヤツらが言った/リバーサルオーケストラ/警視庁アウトサイダー/忍者に結婚は難しい/今夜すきやきだよ/100万回言えばよかった/リエゾンーこどものこころの診療所/三千円の使いかた/6秒間の奇跡~花火師・望月星太郎の憂鬱/東京の雪男/ブラッシュアップライフ/私の夫はーあの娘の恋人/ワタシってサバサバしてるから/ハマる男に蹴りたい女/自由な女神/しょうもない僕らの恋愛論/スタンドUPスタート/大病院占拠/超人間要塞ヒロシ戦記/Get Ready!/探偵ロマンス(全28作品)(後5つは途中棄権)】
2023冬 MYアカデミー賞 (敬称略)
主演女優賞 仲里依紗 (大奥)
上手い女優ですが、今回は迫力がありました。姫(今回は将軍?)がぶっちゃいくで、感情が迸っていて、人間味があって、とても魅力的でした。実はこのドラマ、中弛みしてて、ちょっと適当に見ていた回があったのだけれど、仲里依紗の登場で目を奪われ、そこから真剣に見られました。
次点
上白石萌歌(アウトサイダー)
唯一無二の魅力を持った大好きな女優です。ちょっと普通じゃない箇所が、その場の空気に隠し味を加えてくれている感じが実に素敵。
鈴木ゆうか(それでも結婚したいとヤツらが言った)
可愛らしい女優で、セリフのキレがいい。ネズミにしておくのは勿体ないけれど、ネズミにしておいても可愛い。
門脇麦(リバーサルオーケストラ)
最近、不気味な役が多くて、久しぶりに年相応の女性の役を見られて、可愛らしくて魅力的でした。
主演男優賞 北村匠海 (星降る夜に)
抜きん出た明るさを見せられる役者です。前向きなところも本当に凄くて、聾唖でもこれほど明るく前向きになれるならば、何も問題がない。かのように感じさせてしまう。推しの強さもピカイチ
次点
松山ケンイチ(100万回言えばよかった)
助演のような気がするんですけど、彼持ち前の甘い魅力で、主演を食いまくりますね。
野村周平(夫を社会的に抹殺する5つの方法)
こういうエリートで性格の悪い役が多いのだけれど、今回のドラマでも見せた優しい時の彼は、そのギャップもあってか本当に魅力的。
山田裕貴(女神の教室~リーガル青春白書)
こちらも助演のような感じです。明るい役と、今回のように影のある暗い役の大きく2パターンをよく見るのですが、こちらは髪型で顔を隠し、その合間から見える目がまん丸でつぶらな黒い瞳。
助演女優賞 こちらは、いい人が多くて、決められません。参りました。下記5名
山崎紘菜(三千円の使いかた)
こういう地味な役、素敵ですねー。普通に、ごく普通に、役にはまっていました。
水野美紀(星降る夜に)
この人は、こういう男気のある役が一番魅力的に見えると思います。脚本のせいなのか、ちょっと役が一本に繋がっていない部分が見られ、残念。
恒松祐里(リバーサルオーケストラ)
とても可愛らしい女優で、今回はドラマの中でインパクトのある役でした。目立たない、ささやかな個性が光っています。
佐藤仁美(女神の教室)
なんだか暗いドラマに、この弁護士が登場するとぐーっと明るくなる。稀有な存在です。
宮澤エマ(罠の戦争)
存在感も増して、どんどん成長している役者です。今回のような仕事の出来る役も良い!
前述4名は、役のインパクトが小さくて助演女優賞とまでは、行かなかった。宮澤エマは、今後もドラマに登場するたびに助演女優賞候補になるような気がして、この役ではないのではないかと躊躇してしまった。目が離せない女優です。
助演男優賞 田口浩正 (罠の戦争)
若い頃はその容姿からか、いい人の役が多かったのに、今回はすっかりおじさんになり、油ぎったいやーな男を好演していました。本当に嫌な奴だった。
次点
本田博太郎(罠の戦争)
これほどぴったりの役があるでしょうか?! というほどのハマり役で、正直、いつもと同じ芝居をしているのだけれど、彼にしか出来ない感じがぴったりでした。
竜雷太(大奥)
久しぶりに拝見したらすっかりおじいさんになっていて(役です)熱演でした。
岡部たかし(リバーサルオーケストラ)
やっぱりこの人凄いなぁ。あの顔から出てくるいい人感がたまらないなぁ。(前回の助演男優賞なので…)
気になる役者
河井青葉(今夜すきやきだよ) 顔は知っていましたが、名前を覚えました。美しく居心地の良い先輩
小越勇輝(警視庁アウトサイダー) 顔が可愛らしい(美男)のですが、それよりも、セリフがクリアで感動しました。
安斉星来(100万回言えばよかった) 香里奈の若い頃を演じたエキゾチックな美少女
吉柳咲良(星降る夜に) この子、若いのに芝居にキレがあって上手いよねー
駒木根葵汰(星降る夜に) どこまで芝居なのか、全然分からず…。
久保田琳加(ブラザートラップ) なんて可愛らしい女の子でしょう。アニメとかゲームの主役として男の子たちに愛されそうな子。原作が漫画のドラマが増える中、こういう役者がポツポツ出てきます。で、売れてくると、個性が出てきて、単なる可愛い女の子ではないことが分かってくる。その時、今よりも魅力的になって下さい。
岡本夏美(夫を社会的に抹殺する5つの方法) この人も、顔に影響されるのですが、微妙な芝居がいいと感じました。
タイトルバック賞
【私の夫はーあの娘の恋人】
なんて素敵な「手」のショータイムでしょう。これは著名な方々によるものなのでしょうか?
本当に美しく、主演の4人とのバランスを考えた編集も素晴らしく、見応えのあるタイトルバックでした。
衣装と美粧 について
良くなかったというか、やけに気になったモノです。
【女神の教室】の衣装。あれは何なんでしょう? 北川景子でも着こなせない感じのダサい衣装。あまりにも美しすぎる裁判官にリアリティがないから、わざとでしょうか? と思って見ていたら、主演の生徒5人が並んだ時の衣装バランスも全くクエスチョンで、これはどういうセンスなんでしょうか? 私が現代の服装について行っていないだけでしょうか?
【罠の戦争】の髪型、草彅剛と小澤征悦の髪がやけに膨らませられていて気になったのですが…
【ブラザートラップ】の久保田琳加の髪型にボサボサ感があるのは、自然感を出すためですよね。まぁ、可愛らしいし、きちっと整った髪型より、私は好きですが、時々本当にボサボサに見え…。
美術賞
【それでも結婚したいとヤツらが言った】
ネズミたちの家、いい感じだったな。お金掛かっていない感じで、居心地は良さそうなのに、散らかっている感もあり、可愛らしさもあり。
逆に気になったのが【ブラザートラップ】の美術。出来のいい兄貴の部屋は、ちょっとありえないですよね。原作の漫画にあのまま描かれているのかしら?
【忍者に結婚は難しい】の家の外観。しょっちゅう使われている、あの家ですよね。今回は外観と家の室内美術がどうもしっくりいかなかった。この家、ここ数年で何回も見ていると思うのですが…今回【警視庁アウトサイダー】の回想シーンと、【リバーサルオーケストラ】の穂刈宅も、まさか同じ家でしょうか? !!!
キャスティング賞
【リエゾンーこどものこころの診療所】
脅威の子役たち。発達障害という難しい役どころを、素晴らしく演じてくれてしまう天才子役たち。売れっ子天才子役の河原瑛都や加藤柚凪、よく顔を知っているので、素晴らしい演技だと思うけれど、顔を知らなかった子役たちは、みんなそういう症状を持った子にしか見えなかったです。それにしても、どうして子役たちはどんどん凄いことになっていくのだろうか?
次点
【100万回言えばよかった】 井上真央の若い頃を演じた新井美羽は、一見顔がそれほど似ていないのに、笑った時の表情はかなり酷似していて、それこそ井上真央の若い頃と言われて信じてしまいそうな雰囲気。
【忍者に結婚は難しい】 原作が漫画で、読んでみないとよく分からないけれど、ドラマを見る限りにおいて、この現代社会に忍者が一緒に暮らしているとして、菜々緒と鈴木伸之というスラーっと背が高く格好いい夫婦は、あまりにも桁違いで、この2人しかない!と思わせる素晴らしいキャスティングでした。
演出家賞
木村ひさし(警視庁アウトサイダー)
シリアスとギャグのバランスが難しいドラマだっただけに、演出家の力は重要です。話の流れとして、過去の事件の調査が根底に流れている部分で、ヤクザとか警察の裏側とか、かなり込み入った部分は、あまり面白く見られなかったのだけれど、普通に警察として、主演3人プラス刑事たちの日常、そして事件の捜査は、とても楽しめました。
脚本賞
清水友佳子(リバーサルオーケストラ)
ストーリー展開など、細やかな気になる点はありましたが、(どうしてそこまで玉響を目の敵にするのかとか、それも格上のオケが敵対心を見せるのかとか)シナリオは、セリフです。素敵なセリフがたくさんあり、時々、ビビりました。1つのセリフであっという間に泣ける。そういうドキッとするセリフがあって、感動したり泣けたりしたのは、脚本家の力です。
次点
吉田紀子(リエゾンーこどものこころの診療所)
こういう話なので非常に微妙で難しく、吉田紀子だからこその素晴らしくもバランスの良い脚本でした。子役たちが全て素晴らしく見えたのも脚本家あってのこと。こちらも感動で泣かされました。
後藤法子(罠の戦争)
最初は一番面白かったのですが、後半、出来過ぎというか、展開が早すぎるというか、まあ1クールでこれだけの内容を詰め込んでいるので無理はないのかもしれませんが、日曜劇場のような派手な展開になり掛かったところが残念でした。もっと重厚なドラマなのに。
その他、橋部敦子(6秒間の奇跡~花火師・望月星太郎の憂鬱)は、もうこうした30分の短編ドラマしか書かないのでしょうか? 絶対に外さない、信頼できる脚本家なのに…。
作品賞 リバーサルオーケストラ
最初の演奏に感動しました。演奏、見事です。毎回のように新曲を演奏しなければならず、少々ミスが増えたようにも感じましたが、役者さんたちの大変さがよく分かるし、見事です。
田中圭の役作りがちょっと極端すぎて、当初ついていけなかったのだけれど、途中から少しずつ人間味が出てきて…。クールで冷たい人が、笑いかけてくれるって価値が倍増しますよね。最近はみんな優しい人が好きみたいだけど、初対面から表面的にも優しい人よりも、時間をかけてその人の優しさが見えてくる人の方が私は飽きなくて好きです。
テーマは、芸術は政治に負けない。でいいと思う。
芸術とスポーツは政治に負けない、政治に関わらない。そういうモノだったのに、オリンピックを始め、実は色々と金力や権力の影響が強くなってきている。そんな中、この小さな玉響が、大きな力に飲み込まれないように努力を積み重ねていく話。その裏側に、どうにも出来ない生まれついての才能というものが見え隠れして、芸術を志した者には特に響くセリフが多かったと思います。ドラマの中の演奏が終わると自然に拍手したくなる気持ち良さも味わえました。本当にテレビに向かって拍手しました。舞台とか観に行って終演後のカーテンコールで、決まりごとのように拍手するのとは違う、自分の心が揺さぶられて自然に拍手してしまう気持ちの良さ。幸せでした。
次点
リエゾンーこどものこころの診療所
罠の戦争
警視庁アウトサイダー
ブラッシュアップライフ
その他の作品のプチ感想
【女神の教室】初回つまらなくてどーしようと思ったけれど、段々、月九らしい面白さになりました。最近の月九は、このレベルで安定していて見やすい。これはある意味とても大切なことだと思います。
【三千円の使いかた】最近、この枠もなかなかいいドラマを作ってくれることがあり、それなりに楽しめました。「きなり」って名前素敵だなぁと思っていたら、別のドラマの犯人役が「きなり」って名前でがっかりしました。
【星降る夜に】楽しみにしていたラブストーリー3本です。何か問題を盛り込まないとラブストーリーに出来ない感じで、その加えられた問題に無理が発生する。雪宮鈴を恨んでいる男が、突然現れた上に、家に「人殺し」の張り紙をする。とか、ちょっとあり得ない流れになってしまっている。そもそもキャンプで1人女と1人男が出会うことにも無理があるけど、その彼の勤め先の社長と彼女の病院の同僚が同級生とか、狭い世界でドラマを作りすぎです。これはディーン・フジオカの出番を増やすためでしょうか? 折角、魅力的なキャストが多く、心の美しい人たちのドラマだったのに。
【夕暮れに、手をつなぐ】広瀬すずに自由に芝居をさせない方がいいと思うのです。彼女はとっても役者で、お芝居しちゃうのですが、若いので、演出家がもう少し制御してあげるともっと魅力的になる。とにかく彼女の芝居がうるさかった。いつまで経っても方言が消えていかないし…。 対して永瀬廉は、芝居できないんだけど、余計なことをしないので、彼本来の魅力で自然にそこに存在できている。2人のスレ違いとか、勘違いとか、無理やりドラマチックにさせようとしているところに無理があり、ドラマチックにはならずに冷めて行きました。
【100万回言えばよかった】そして幽霊にする。魅力的な主演3人のドラマを楽しみにしていたのに、がっかりでした。幽霊ものとかタイムマシーンものは、最低限の整合性がなければいけないんです。自由に書いたらなんでもありの軽いドラマになってしまう。そもそも鳥野直木がどうして自分が死んだ前の記憶が全くないのか? 宗夏英の亡くなった夫と魚住が似ている必要性と、そのドラマが必要だったのか。魚住が彼女のために芝居してあげるシーンは感動のかけらもなく…。そして極め付けは最終回でとうとう鳥野直木が生き返ってしまう(存在してしまう)そこには何の整合性もなく、それを許してしまったら、どんなことでもOKになってしまいます。つまり最初っから一部の人にしか見えないことも嘘になってしまう。
【しょうもない僕らの恋愛論】本当にしょうもない話で、お金をかけてドラマを作る意味はなんなんだろう?
【警視庁アウトサイダー】
刑事ドラマなので期待せずに見たら、ギャグとシリアスのバランスが素晴らしく、主演の3人がそれを楽しんで演じていて魅力的でした。西島秀俊楽しそうだったなぁ。上白石萌歌も久しぶりに魅力的な役を拝見しました。青山倫子好きなのでもっといい役でたくさん出て貰いたい!長田成哉も好き。野波麻帆も弾けていていつもより良かった。役者がそれぞれ魅力的に見えるドラマはいいドラマです!
【罠の戦争】
初回では、最も楽しみだったドラマ。途中からちょっと展開が早くなったせいか、軽くなったのが残念。そう、最初の犬飼孝介を失脚させるあたりまでが最も面白かった。でも離婚した妻が政治家になって、秘書として優れていた鷲津が彼女の秘書を買って出るという終わり方は、美しいハッピーエンドでした。
【リエゾンーこどものこころの診療所】
正直、最初の頃を覚えていないんです。松本穂香の芝居がちょっとうるさい。そして、いつも芝居がうるさい山﨑育三郎と栗山千明が、落ち着いた芝居をしてバランスが取れているのだけれど、志田未来がまたうるさい。そこに戸塚純貴。どうしてこうも芝居のうるさい役者ばかりを揃えてしまったのだろう?という割には、バランスも悪くなく素敵なドラマでした。毎回毎回子役が素晴らしく、素晴らしすぎて演技に見えず、顔を覚えていない子役の子は、本当に発達障害の普通の子を連れてきたのかというように疑問を持たずに見続けました。だから覚えていない。子どもの演技も素晴らしかったけれど、セリフの力もあり、感涙すること度々でした。加藤柚凪はすっかり幼児ではなくなり、まさかやはり全てが演技だったのかと、またまた【朝顔】を思い出す。あれも芝居だったというの? とにかく天才子役が多い、素晴らしい!!
【ブラッシュアップライフ】バカリズムの脚本で初めて面白いと感じました。これはある意味タイムマシーンものなので、整合性が必要なのですが、実によくまとめ上げられていました。それなのに、どの分野でも候補に上がらなかったのは何故なのか…?それを考えています。まず、役者は力のある役者がセリフの言い回しとテンポを実に楽しんでいた。安藤サクラ、木南晴夏、夏帆の3人が、自由自在にセリフを操り、そのテンポとリズムを楽しんでいるシーンは、女友達の会話術をこよなく愛する私としては、大満足。そこに黒木華が加わったり、水川あさみが加わったり。初回で死後のシーンに移行し、ワンクールのドラマとしての展開バランスもパーフェクトだと思います。そう、すべてがよく計算し尽くされていました。近藤麻美の子役たちも素晴らしく、そこに安藤サクラの声がかぶさる。同じようなシーンを何回も見せられても楽しめる。それなのに、MY賞の候補にもならなかったのは、多分、感動しなかったからです。感涙ももちろんない。それはコメディーならありなのですが、一回として爆笑さえしなかった。つまりコメディならば爆笑させましょうよ。ということです。ニヤニヤ楽しめたし、驚きもありましたが、ドラマに最も必要な感動が…(私はそう思うんですけど) 最終回、三浦透子演じる河口が、機長の中村を飛行機から実質降ろしたくだりのシーンは素晴らしく、そこからハッピーエンドに向かって一直線!素晴らしいエンディングでした。最後の最後に、バカリズム本人が言いたいのかな?と思えるつまらない会話をアドリブのようにさせていたしね。完成度の高いドラマでした。