以前、作家が好きで読んでいた本の中に、

「一年会わなくても平気な人は、友だちではない」と書かれていた。

それは、友だちならば、一年に一回とか、それ以上、会って一緒に時間を過ごしなさいよ。

ということを言いたかったのだと思う。

そして、私はその通りだと思い、その言葉がインプットされた。

 

今、私は信州に移住して、

それまで付き合っていた友人は、殆ど、東京神奈川千葉埼玉に住んでいて、

更にみんな歳をとって、行動範囲が狭くなり、

一年に一回会うチャンスを作ることが困難になった。

そこで、一年に一回、手紙を書くことにした。

 

人と会うとか、喋るとか、一緒に楽しい時間を過ごすためには、

どちらかが行動を起こさなければならない。

実際、メールとか携帯電話とか便利なツールがあるにも関わらず、

人々は以前よりも(それがなかった頃よりも)用事もないのに連絡することが減ったように感じている。

歳をとっただけかもしれないが。

 

そこで、一年に一回、

その人の誕生日を理由に手紙を書くことにした。

誕生日なので、一応、ささやかなプレゼントも同封する。

ささやかなプレゼントにするのは、お礼の品が届かないように。

つまり相手が、モノを貰って借りが出来たように感じないで済むようにである。

 

今は年間30人位の人の誕生日に手紙を送っている。

そうすると、メールが来たり、電話が来たりして、

つまり会うことは出来ないけれど、少しだけ声が聞けたり、近況が聞けたりする。

 

そもそも働いている頃は、みんな仕事仲間と毎日のように会い、

仕事の後、そのままご飯や飲みに行ったりし、

それで友だちがいると勘違いしている人が多い。

それは、友だちではなく、仕事上の付き合いであり、

仕事がなくなると切れていく人間関係である。

 

その頃から、友だちだと思う人とは(好きな人とは)

仕事以外の付き合いを始めていないと、その後には繋がらない。

 

今はメールやSNSがあるので、ずーっと繋がっていることが簡単にできる。

いつだって連絡が取れる。

だから、かえって不精になるのだろうか?

 

私が若い頃は、住所と家の電話番号で繋がっていたので、

ある日、引っ越しをすると、連絡が取れなくなるものだった。

子どもの頃の大好きだった人に会いたいと思っても連絡の取りようがない。

中学一年の時の親友 立原浩子さん

高校の時の親友 西成美貴さん

養成所時代の親友 林綾子さん

会いたい人がいる。

時々、Facebookで探してみたりするが、

私の年代は、SNSをやっていない人が多いし、

そもそも結婚して名前が変わっていて探すことが困難だったりする。

 

SNSで繋がっているからと安心しないで、

会いたい人には、用事なんかなくても連絡を入れてみてください。

要件なんていくらでも作れます。

心残りのないように、便利な機能はフルに使って、

大切な人と過ごす時間を大切にしてください。