遅くなりました。2022秋ドラマのまとめです。年末かなりギリギリまで面白いドラマの放映があり、昨年中に見終わることが出来ませんでした。

 

今クールは、面白いドラマが多く楽しめる3カ月でした。

珍しく警察ドラマがなかった。病院ドラマは3つあったのだけれど、それぞれタイプの違うドラマで、【PICU】は、よくある病院ドラマの形で、患者さんの生き死にを通してその家族と関わる病院関係者のドラマ。【祈りのカルテ】は、研修医たちの成長を描いたドラマなのだけれど、ちょっと謎解きみたいなドラマ仕立て。【ザ・トラベルナース】は病院改革ドラマ。

それぞれ良かった。

 

今回チェックしたドラマは

【PICU小児集中治療室/エルピス/束の間の一花/夫婦円満レシピ/ファーストペンギン/silent/sister/ザ・トラベルナース/クロサギ/最初はパー/ジャパニーズスタイル/祈りのカルテ/一橋桐子の犯罪日記/ボーイフレンド降臨!/霊媒探偵城塚翡翠/アトムの童/作りたい女と食べたい女/永遠の昨日/差出人は、誰ですか?/階段下のゴッホ/最高のオバハン中島ハルコ/親愛なる僕へ殺意をこめて/君の花になる/つまらない住宅地のすべての家(全24作品)(後4つは途中棄権)】

 

 

2022秋 MYアカデミー賞

 

 

 

主演女優賞 長澤まさみ (エルピス)

 

あまりその魅力が分からないのですが、何故かひとつ抜きん出た存在を誇る女優。

今回上手な役者さんだと再確認させられました。ニュースキャスターとレポーターをドラマの中でやっているのだけれど、どちらもパーフェクトの作り。それらは喋る技術が必然なので、その基礎力感服いたしました。ただ、感情がほとばしる表現がいつも同じように見えたりするのですが…。当初の食べることを拒否している彼女は普通でなく良かった。

 

次点:川口春奈(silent)

   奈緒(ファーストペンギン)

 

川口春奈の可愛らしさとキョロキョロと動く大きな瞳とその明るさが、ぐさぐさと人を傷つける。素晴らしい主演でした。

その外見からか、いまひとつ主演女優という存在感を感じない奈緒ですが、演技力と情熱は間違いありません。

 

 

主演男優賞 ごめんなさい、決められません! 下記3名

 

岡田将生(ザ・トラベルナース)

山崎賢人(アトムの童)

平野紫耀(クロサギ)

 

今回ドラマの演技力では岡田将生かなぁ。少し性格の悪い、少し尖った、でも憎めない役が出来る希少な役者です。普通にハンサムなのにね。

山崎賢人は、彼にスター性があり、何もしなくても(彼は計算してやっているのだと思います)格好良かったり、子どもっぽい魅力があったり、色々な表情を見せる役者です。一緒に登場している役者たちの影を薄くする。

平野紫耀は、少し影のある今回の役にはまっていたと思う。

 

 

助演女優賞 キムラ緑子(ザ・トラベルナース)

 

素晴らしかったです。脳の病気だったと思うけれど、言語障害に関してどのレベルで演じ分けるのかと、回復してからの喋りをどうするのか、と気になったけれど、多分、演出家ときちんと整理して決めたのだと思われる。(実際、退院する時の喋りが気になったのです)前半喋ることが出来なくて食べる練習をするあたりは素晴らしく、可愛らしかった。 今回【ジャパニーズスタイル】にも出演されていたのだけれど、他の役者が少々テンション高くオーバーアクションで演じている中、彼女だけはテンションは高いけれど自然だった。

 

次点:池津祥子(エルピス)

   黒島結菜(クロサギ)

   夏帆(silent)桜田ひより(silent)

   寺島しのぶ(ザ・トラベルナース)

 

池津祥子の役は最高でした。小道具の使い方とテンポ、こういう役が出来る人なのだと初めて知りました。もっともっと見ていたいキャラクターでした。素晴らしかった。

黒島結菜は、線の細い女優で、まさかNHKの朝ドラに主演するとは思っていなかった。今回は、その線の細さと声の細さがこの役にあっていて、とてもチャーミングで、か細くて壊れそうなのに、性格が真っ直ぐで素敵なヒロインでした。

桜田ひより、前から好きな女優です。雑に体当たり的な部分が魅力。

夏帆、透明感のある女優ですが、最近は演技派。

寺島しのぶは、このくらいちょっと抜けた役、難しいけどいいのではないかと思わせました。

 

 

助演男優賞 岡部たかし(エルピス)

 

単なる汚らしいオヤジって感じで(綺麗な人好きの)私は嫌いだったのですが、前クールの【あなたのブツが、ここに】で、同じように汚らしいオヤジなんだけど、実はいい人って役で、急に見方が変わりました。で、今回も汚らしいオヤジなんだけど、ハートの熱い奴で、そのウラハラが人間味を感じさせます。

 

次点:高杉真宙(PICU)

   オダギリジョー(アトムの童)

   梶原善(ファーストペンギン)

 

高杉真宙は、以前も選んだような~その時も次点だったかな? 顔が綺麗なことに目が行きがちですが演技は確かです。

オダギリジョーはなんかしっかりおじさんの仲間入りしたので、好きな役者なので入れちゃいました。

今回明記したいのは、梶原善。サンシャインボーイズの時、三谷幸喜が最も買っていた役者だと聞いていて、その後テレビでは他の役者の方が活躍していて、私自身もこの人の良さが分からなかった。今回は3つの作品で見ていました。まず【エルピス】で、半端ないふざけたお笑い芸人(でいいのかな?)ふざける時は半端ないのだけれど、そうではない時は余計なことを一切しないのです! 【鎌倉殿の13人】では、頭の弱そうな殺し人。ただただ、主君に命じられた殺人をやってのける寡黙な人。そして【ファーストペンギン】で気になったのは、普通の他の役者と違うリアクションするんです。例えば、漁師10人が少し驚かされる話を聞いている時、普通なら驚いて喋っている人の顔を見るのに、彼だけ下を向いていたりする。普通ではないけれど、間違っていない。そのシーンを見た時、凄い役者なんだと初めて気づき、これからは少し真剣に見させていただきたいと思っているところです。

 

 

気になる役者

井上想良(永遠の昨日)  目の奥に世界がある

寺澤沙良(差出人は、誰ですか?)石田ゆり子似の可愛らしい子

櫻井海音(差出人は、誰ですか?)要潤似のハンサムで影のある素敵な子 

賀喜遥香(最初はパー)  顔は普通に可愛く達者な子

柳ゆり菜(夫婦円満レシピ) 他の作品見たいです

 

 

タイトル賞 【永遠の昨日】  

 

 

制作(キャスティング)賞  【エルピス】

 

松本死刑囚役の片岡正二郎がとにかくぴったり。真犯人が瑛太だったことの存在感。他の役者もいつになく魅力的に見える人が多かったのは、作品の力とキャスティング力

 

 

主題歌賞  【差出人は、誰ですか?】  

記憶に残る音楽、ってことで。相変わらず音楽分からずすみません。

 

 

演出家賞 大根仁(エルピス)

 

次点:金井紘(ザ・トラベルナース)

   高野舞(silent)  (聾唖の二人が話すシーンの演出)

 

どれも作品賞候補なので、詳しくはそこで書きます。

 

 

 

脚本賞 中園ミホ(ザ・トラベルナース)

   

次点:倉光泰子(PICU小児集中治療室)

   渡辺あや(エルピス)

   藤平久子(差出人は、誰ですか?)

 

今回は、いい作品が多く、だから脚本も良いに決まっているわけだけれど、やはり脚本はセリフです。藤平久子は、あれだけの登場人物をとても上手くまとめ上げたと思うけれど(最後の葬儀のシーンはいただけなかった。なんとか短くまとめようという努力は見えたけれど、長く感じさせる)記憶に残るセリフは少ない。渡辺あやもあれだけの内容をうまくまとめ上げたのは凄いのひとこと。

でも、セリフ力で中園ミホ。ってことです。

 

 

作品賞  エルピス

 

初回、シーンの展開とテンポから、こんなドラマ見たことない!と感じました。展開の仕方がユニークなのです。

重いテーマがあり、台本がしっかりしていていて、役者が時間をかけて芝居をしている。そういう古い面と、現代の早いテンポが非常に上手く融合されていた。

2話で、地下の駐車場に停めた車のフロントガラスに、それほどの雨水は流れるわけはないのだけれど(NGです)そのシーンでの水の流れの効果は抜群でした。

なんだろう? 時々、普通ではない空気が流れる。長澤まさみ演じる浅川のガランとした部屋だったり、どうやってこの不思議な空気は作られているのだろう?そして何故必要だったのだろう?と感じさせる空気感。

シーンごとの時間の流れ方が違っていて、緊迫感のある時と、心が休まる時(例えば、浅川が岸本と家でカレーを食べるシーン)の時間が正しく流れていて、どちらも素敵で、バランスが良い。

これまで見たことのないドラマで惹かれました。そして初回から最終話まで手を抜く回がなく、お腹いっぱいになりました。松本死刑囚のキャスティングも、瑛太演じる役が真犯人と分かって以降、瑛太が登場しないのも良かった。こんなドラマ作れるんじゃん。作ってよ、もっともっともっと。と、心から期待しています。これはプロデューサーチェックかな? 佐野亜裕美 稲垣譲です。楽しみにしています。

 

次点:ザ・トラベルナース 

   差出人は、誰ですか? 

   クロサギ

 

今回は面白いドラマ、感動のドラマ、楽しみなドラマ、いくつかあって忙しく楽しめました。

【アトムの童】前半は面白かった。このテレビ枠のパターンになってしまったからなのか、ちょっと無理にドラマを飛躍させすぎている感じが好きではないが、山崎賢人から目が離せない。

【ファーストペンギン】漁師ドラマを作ったのは、農水省の差し金でしょうか? よく分からない世界を一人のシングルマザーを通して分かりやすく伝えたこと、真っ直ぐさが権力と戦うドラマで何度も感動、感涙しました。

【silent】大好きなラブストーリーですから、最初からもったいないもったいないと大切に見ました。前半は良かったなぁ。幸せな時間でした。しかし、途中からバランスが悪くなった。ある回は、夏帆と風間俊介の話ばかりになっていたり、とにかく回想シーンが増えた。現実のシーンの中に挟み込まれるからこその回想シーンなのに、回想ばかりの、つまり昔話ばかりになってしまった。全体を通して、もう少し構成を考え直した方が良い。現実に起きているラブストーリーの中に、それぞれの話をうまく組み込んでこそ、ドラマです。

【PICU小児集中治療室】月9は、最近このパターンですね。1話完結で、涙あり感動あり。それなりに面白い。毎回楽に楽しめる。取り立てて記憶に残るドラマではないのだけど、テレビはこんな感じが今の時代には合っているのか?

【ジャパニーズ・スタイル】今一番好きな金子茂樹脚本、主演が仲野太賀とめちゃくちゃ期待していたら、舞台のように生で撮るというスタイルをとっていて、ストーリーはそっちのけでした。役者やスタッフは緊張感の中楽しんでいたのでしょうが、私はまったく楽しめませんでした。残念。

【sister】原作が漫画のものに時々ありますが、これほど嘘八百並べて、ただただドラマを展開させることに終始しているドラマを好んで見る人がいるなんて…。

【霊媒探偵城塚翡翠】これも人気漫画が原作らしい。清原果耶の役作りは漫画に沿って作られたのかもしれませんが、作りにしか見えず、最後までしっくりいってはいなかった。

【作りたい女と食べたい女】こんな女友達いたらいいなって、素敵な暮らしでした。同じアパートで、時々一緒にご飯を食べる女友達、さいこーですよね。

【親愛なる僕へ殺意をこめて】山田涼介を見るためのドラマ。彼のファンは楽しめるのかなぁ。拷問とか吐き気がするシーンから始まり(あれを掴みというのでしょうか、サイテーです)気分が悪いことこの上なく…。

【きみの花になる】これも出演者のファンが見れば楽しめるのでしょうか?主演女優が相わらずセリフに感情を乗せていて辛すぎる。

【つまらない住宅地のすべての家】つまらない住宅地のタイトル通り、つまらない人々の話で、無理でした。

【最初はパー】漫才は素晴らしかった。私が知らない役者は、役者ではなくお笑いの方々なのでしょうか? どちらにしても漫才のシーンはどれも見る価値がありました。

【クロサギ】詐欺師の話は嫌いではありませんが、コンフィデンスマンJPのようにあまりにも表面的な派手な作りのドラマを見てしまってから、ちょっと積極的に見る気になれない。主演も好きではないし。でもこのドラマは良かった。嘘や無理は多々あるのだけれど、主演の二人も、仕事を振っている甘味屋も地味で普通の社会と混ざり合っていて、表の世界と裏の世界の悲哀がよく表現されていたと思います。詐欺で憎む相手をやっつけたからと言って、ただただハッピーなわけないですものね。哀愁が漂わないと。

【ザ・トラベルナース】脚本はもちろん、主演二人のバランスがとても良かった。二人とも仕事ができるナースなのに、違いも大きい。中井貴一演じる九鬼が実は…って、裏の顔がなくても十分楽しめるドラマでした。「病気を診るのが医者、人を見るのがナース」という彼の言葉通り、看護師が成長していくドラマ。

【差出人は、誰ですか?】よるおびドラマでは、初めて良かった。秋元康企画とか原案のドラマが最近目白押しですが、私としては、このドラマが唯一楽しめたと言っていいのかも。キャスティングも知らない若い役者ばかりなのに、それぞれ魅力的でした。タイトルと1話から、おどろおどろしい話かと思いきや、実は青春群像+ラブストーリーでしたので、私は大好きです。メインの8人くらいの同級生をバランスよく配置して、それぞれの人間ドラマがあって、今どきの高校生ってこんな感じなのかな?って思わせる学園ドラマというよりも青春ドラマでした。

 

勝手な感想を最後まで読んでいただきありがとうございました。