素敵な映画を見ました。

(いつも書きますが、アマゾンプライムとかで見ているので、新作を見ることは殆どなく、全て数年前の作品です。ご了承ください)

 

河瀬直美監督 辻村深月原作「朝が来る」

原作を読んでみようと思います。

 

見終わって、「朝が来る」というタイトルは少し弱い気がしました。

「ベビーバトン」なんてストレートなタイトルには、作家はしたくなかったのでしょうが、映画として売るためには、タイトルにもう少しインパクトがあってもいいと感じました。

 

特別養子縁組の、それも生まれる前に縁組をするというシステムで、子どもを受け渡した産みの母親と育ての両親の話で、テーマは非常に微妙で重いものなのだけれど、登場人物が全ていい人で、日々の暮らしの空気感が感じられる優しい映画だった。

 

ただ純粋に恋をして子どもを身篭ったのに、中学生だからという理由で母親になれない少女。

結婚してから子どもが出来ないとわかった夫婦。

それを縁組する施設。

 

最初は、6歳になったその息子が幼稚園で他の子を突き落としたという濡れ衣による面倒臭い事件から始まる。突き落とされたと訴えた子どもの母親が面倒臭いのだ。ああ、面倒臭い!とそのママつながりの付き合いの大変さを伝えられる。

 その次に、やってくるメインの面倒臭い事件は、その子どもを産んだ母親と名乗る女からの電話で、「子どもを返すか、返さないならみんなにバラすからお金をくれ」という脅迫事件。

しかし、この養子を貰った夫婦はとても出来た人間でそんなことには揺らがない。

そんな面倒臭い事件がいくつか起こるし、子どもを産んだ若い母親のその後の暮らしぶりもあまりついていなくて、なんかいやーな空気が何度も流れるのだけれど、結局は、誤解だったりして、全ての登場人物がとても心優しいのだ。ただうまくいっていないだけ、ただ、ついていないだけ。

 

そして、時々挿入される 都会や森の映像がこの上もなく美しい。

時間軸を移動する編集も見事!

かなりあっちこっち時間軸が変わるのだけれど、見ているこちらが、考えさせられることはあっても迷うことはない。

どんどん引き込まれていって、だんだん見ている私の体が前のめりになっていった。

 

浅田美代子の前に出るべき感と、目立たない感、のバランスが素晴らしく、実は彼女のミスで里親の住所が盗まれてしまうのだけれど、責める気になれない。そう、誰も責められないのだ。

 

中学生で愛し合い、子どもを産んで手放した少女は、その後ちょっと不運な人生を歩み、外見的には不良のように見える程になっていくが、相手の男子は、全く変わらず普通の学生として歩んでゆく。その不公平さはきちんと描かれているけれど、それでも恨むのとは違うのだ。

 

いろんな成り行きで苦しむ人たちがそこに存在して、それを繋ぐ人がいるのだけれど、その全ての人が美しい心を持っている。そして映像も美しい。全てが美しくてもこんなに不幸な人がたくさん存在してしまっているという事実も突きつけられた気がする。

 

河瀬直美監督素晴らしいです。

今後の作品も本当に楽しみにしています。