私は、何処かの企業の社員になったことがない。

そして、今後もなることはない。

若い頃は色々アルバイトをしたので、事務職のアルバイトもしたことはある。

でも、時給で働くアルバイト。

 

この度、村の役場でお仕事をさせて貰った。

私の特技を活かせる、有線放送の仕事。

時給で、週3日、1日3時間というバイト、と思っているのは私だけで、

役場のお仕事なので、つまり公務員業務なので、

バイトではなく、会計年度職員という、なんだろう?契約社員みたいな感じでしょうか?

 

そもそも担当の人が急に辞めて困っていたところ、コロナ禍とっても暇にしていた私に振って沸いたようなお仕事だった。

小中学校時代の放送委員気分を思い出し、楽しんで、次の人にバトンタッチするまでの短期契約。

それでも公務員なので4月から1年間の契約。

その契約が今月末で切れて、晴れて退職となった。

 

私としては、何度も言うようだけれど、短期のバイトみたいなもの。

でも、お仕事ですからしっかりやります。

無遅刻無欠勤は当たり前、仕事内容も(一応こちらは喋りのプロなので)完璧に近くやり遂げたつもりです。

 

最終日、仕事を終えて帰る時、なんとなんと花束をいただいてしまった。

そして総務課一同に見送られてしまった。

花束を胸に、職員一同、起立で見送ってくださるなんて、まるで定年退職みたいじゃないの。

そしてなんとなく感無量に。

(私にぴったりの美しい花束。そしてそれをチェックしたついでに負けじと美しい顔をこちらに向ける於市の方)

 

仕事している時は、ストレスも文句もそれなりにあったのだけど、

私は単なるバイトだから…と、どこ吹く風。

なんにしてもいつまでと決まっていることは頑張りやすいのです。

こうやって辞めるとなるとなーんにも問題はなかったかのように、

喪失感だけが強く心に残る。

 

そして思ったんです。

定年退職される方の気持ち。

産まれて初めて直線的に考えてみたのです。

ドラマなどで時々見かける定年で退職される方を見送るシーン。

花束と感謝の辞が贈られ、去っていく寂しげな60男。

 

たった、一年強働いただけでも、心がジーンとしてしまうのに、

学校を卒業後、ずーっとその企業で働いてきた方にとってのその日は、

どれほど胸に熱く、そして重く存在することか…。

 

私は、ほんのちょっとだけそんな気分を味合わせていただいた幸せ者ですが、

第二の人生に踏み切る決心もなく、

ただ、その年齢になったからという理由だけで会社を去る人の気持ち。

それを暖かく見送る人々がいるだけに辛いその気持ち。

 

そんなことを想像できただけでも、嬉しいドキドキの日でした。

 

明日から、また畑を耕す日々に戻ります。