2021年10月から12月に放映されたテレビドラマ

 

今回チェックしたドラマは、【古見さんはコミュ症です:ラジエーションハウスⅡ:アバランチ:阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし:じゃない方の彼女:婚姻届に判を押しただけですが:オリバーな犬:恋です!ヤンキー君と白杖ガール:群青領域:スーパーリッチ:科捜研の女:ドクターX外科医大門未知子:最愛:和田家の男たち:正義の天秤:二月の勝者:言霊荘:顔だけ先生:日本沈没:真犯人フラグ:白い濁流:山女日記3:この恋はフィクションです (計23作品)】

 

ドラマの傾向としては、まず「優くん」流行りでした。

【最愛】の弟、【和田家の男たち】の息子、【スーパーリッチ】の若い夫 名前が漢字も含めて同じだったということのみならず、番組の中で、とにかく誰かに呼ばれる役でした。こういうことって時々ありますねぇ。チャンネルは全部違います。

SNSのパワーが色々と描かれていました。【アバランチ】はそのままSNS。【群青領域】では、有名人がSNSから逃れられない。【スーパーリッチ】では、SNSの悪用。【和田家の男たち】では、SNSで働く人。多かれ少なかれ、ネット社会がドラマの中に登場する今日です。

 あと同性愛者が多く登場しました。アメリカのドラマだと10年くらいは前からでしょうか、ドラマの中に必ず存在していたけれど、日本も変わっていきますね。

 

 

 

2021秋  MYアカデミー賞

 

 

作品賞  最愛(TBS)

(次点 和田家の男たち 白い濁流)

 

主演女優賞 吉高由里子 【最愛】

 若い頃の愛らしくコケティッシュな部分と、大人になってからの限りなく美しい女性をたっぷりと見せてくれました。

(次点 杉咲花【恋です!ヤンキー君と白杖ガール】)

 

主演男優賞 段田安則 【和田家の男たち】

 楽しそうだったなぁ。厳格な部分と弾けた爺さんの部分を楽しく使い分けていた。最近会社の上司とか暗かったり悪かったりする人の役が多いのではないかと思われるが、この歳になってこそ、こういう役をやりたいというか、愉しめることを、まざまざと見せてくれました。もちろん、その奥底に重厚感を持っているので、途中からは何をやってもOKと、キャラクターが安定していました。

(次点 小栗旬【日本沈没】)

 

助演女優賞 堀内敬子 【和田家の男たち】

 あれほど初対面で失礼で嫌味な女が、最後まで全く媚びずに、可愛らしい女に見えることが、想像を絶する素晴らしい演技です。根底に明るさがあるのがいいですね。

(次点 宮澤エマ【和田家の男たち】)

 

助演男優賞  柿澤勇人 【群青領域】

 限りなく透明で美しく天才肌のミュージシャンでした。あれほど冷たく、魅力的で近寄り難い美しさを醸し出してくれたことに拍手。今回、【真犯人フラグ】にも出演していましたが、こういう普通でない役をまた見たいです。

(次点 永山瑛太【オリバーな犬】井浦新【最愛】松山ケンイチ【日本沈没】)

 

気になる役者 藤野涼子(白い濁流) 高橋文哉(最愛) 田中俊介(群青領域)

       坂東龍太 武山瑠香 飯沼愛(この恋はフィクションです)  

 

 

スタッフ賞 (脚本 美術 衣装 メイク 撮影 音楽 タイトル タイトルバック 制作 撮影 編集 演出などの中で印象に残ったもののみ)

 

脚本賞 大石静 

 結構悩んだんですけど、あれだけ(主演男優、助演女優)役者が上手く魅力的に見えたのは間違いなく脚本の力ありです。

(次点 池田奈津子【白い濁流】 奥寺佐渡子【最愛】)

 

(ついでに、脚本、酷かったで賞 【スーパーリッチ】 次点【顔だけ先生】 同じく次点【ラジエーションハウス】の初回と毎回のNA部分)

 

撮影賞 山女日記3

 山を紹介する番組よりも、ドラマになっている方が、その登山経路など記憶に残りやすかったです。是非、続けて欲しいドラマです。

 

(編集、酷かったで賞 【婚姻届に判を押しただけですが】 初回だったと思います。誰かが話すのを聞いている清野菜名の顔が、明らかに違う時のものを挿入していた。私が気づいたのは2回。何か事情があったのかもしれませんが、役者が可哀想です)

 

演出 オダギリジョー 【オリバーな犬】

 良かったと言うよりも演出が見えた。それ以外は、誰が演出しているのか分からなかったり、連ドラなので、数人で演出しているのだけれど、その違いも感じられないので対象外。

 

 

 

 

一部のドラマの感想(敬称略)

 

【最愛】

 当初、そのタイトルからラブストーリーかと思いきや、半端ない「愛」に溢れたドラマでした。男と女の恋愛的な愛情のみならず、親子愛、兄弟愛、愛している人を守るために人を殺す。守るために遺体を隠す。愛している人を見守る。愛している人のために権力を得る。愛している人のために…。それは間違った愛の形だったりもするのだけれど、とにかく「愛」が溢れていた。その中心にいる吉高由里子が、限りなく美しい。若い頃、恋人だった大ちゃんの知っている梨央は、無邪気な笑顔を持った可憐な女性で、その回想シーンの吉高由里子を見ていると、どんな男でも好きになってしまいそう。その過去があるので、今の社長という地位にいる彼女とのギャップに見応えがありました。話が少々込み入り過ぎて、愛が少々行き過ぎて、無理と感じられる部分も多少あったのですが、吉高由里子の美しさで全てOKって感じさせられてしまった。彼女を愛する男たちも本当に素敵でした。

 初回頃に梨央がパトカーに乗り込むシーンがあって、血だらけの手で前髪を触るとおでこに血がつく美しくも影のある女性を美し出し、そのシーンが、最終回の一回前だったかな?にやっと出てくる。こういう使い方は連ドラでは非常に珍しく、もしかして、最終回まで撮り終えてから放映が始まったのかしら?と思わせた。どちらにしても普通じゃない挿入の仕方にインパクトありです。

 

 

【和田家の男たち】

 最初対して面白くなかったのだけれど、中盤から少し面白くなり、ラスト2回は素晴らしかった。女子ばかりのこういったドラマは結構作られるのだけれど、男子ばかりというのは珍しく、それを女性大石静が書くというのも興味深い。

 そもそもマスメディアの別媒体で働く3世代の家族。新聞、テレビ、ネット、そこに週刊誌も入ってきて、同じジャンルの職種だけれど、微妙に違う、その相違を楽しみつつ、26年前に亡くなったやはり記者だった母親の謎を解き、テレビの力で復讐を図る。かなり重いテーマを持ちつつ、基本路線が、美味しい食卓と弾けた祖父を始めとする男たちの恋愛、日常生活なので、テレビドラマとしてのんびり楽しめる。

 最終回の1年半後。は要らなかった。最近の連続ドラマは、こうやって終わらせるのが人気なのか、こういう終わらせ方しかできないのか分からないが、ラスト2回が素晴らしかっただけに残念。結婚式で終わるドラマも多い中、祖父の妻にウェディングドレスを着せることを目的としていたし、そのシーンはサラッと終わったので、そのまま日常で終わらせても十分だったと思う。

 最初は、それほど惹かれなかったドラマなのに、終わってみたら登場した役者に素晴らしい人が多かったのは、脚本とキャスティングの力。ドラマを作成する3ヶ月の間に、役者たちが登場人物を自分のモノとしてさらに生き生きとさせていった様子が見て取れた。

 

【白い濁流】

 面白い話は、どう作っても面白いと感じさせるドラマでした。原作:小藪浩二郎 脚本:池田奈津子。どちらも素晴らしい。内容が重厚で、毎回毎回とても楽しみにしていて裏切られなかった。ただ、メイン3人のキャスティングに納得できず、どうみてもバランスが悪く、合っていないように見え、なんか気持ち悪かった。主演の伊藤淳史が、年相応に見えない、芝居が上手くない。何をやっても良い人に見えるキャラクターでこの役にキャスティングされたのかもしれないけれど、私には良い人には見えないです。つまり別のキャストで見たい。とりあえず桐山漣と逆というのはありだったかもしれない。でも私は萩原みのりが出ていたのでハッピーだった。

 

【恋です!ヤンキー君と白杖ガール】

 恋のドキドキ感をこれほどストレートに出しているドラマは珍しく、ついついニンマリしてしまうドラマで、ラブストーリー好きの私にはたまりませんでした。ただ、途中、くだらない出来事を入れる時間潰しの回があり、残念でした。

 恋愛をドラマチックに描く時、必ずそこには障壁となるものが必要。だから、いつもドラマの中で紆余曲折、すったもんだするのだけれど、今回は目が不自由という障害がまず存在していたので、ストレートに「恋」を描けていた。そして私はストレートなラブストーリーが大好きなのです。

 杉咲花、可愛らしかった。杉野遥亮、可愛かった。あんなヤンキーがいるのかどうかは疑問だけれど、ドラマの中にはしっくりと存在していた。友達もみんないい人で、トラブルはあるけれど、結果的にみんな良い人で、つまりストレートなラブストーリーなのです。

 いつもにんまりしながらドラマを楽しみました。

 

 

 

 さてここからは、あまり良い話は出てきませんので、あしからず…

【群青領域】作:長田育恵、詩森ろば と書かれているだけなのだけれど、原作ものなのか? 美しく青い映像からタイトルバックで始まるこのドラマの本質は(言いたいことはたくさん伝わってくるのだけれど)どこにあるのだろう? 原作があるのならば、そちらを読みたいと思っているところです。

 シム・ウンギョンが、電話の受話器(スマホですが)を右耳から左耳に移すことを何回かやったのですが、ちょっとおかしいんです。そもそも、芝居で、電話で話している間に受話器を逆の耳に持ち替えるという演技は、多分、その昔、受話器にコードが繋がっていたことによると思われます。そして、受話器を逆の耳に押し付けることで、そこからちょっと話が変わったり、話が深刻になったりという効果を出している技術なのだけれど、シム・ウンギョンがやった時はどれもそういった効果はなく、つまり話の内容にそれをやる意味がなく、結果としてただうるさい芝居になってしまっている。小道具使いのミスです。

 そもそも有名なミュージシャンの女の子が、田舎に逃げたのに、あちこちでバレてみんなにカメラを向けられるということは、ないです。有名人で逃れられないのは、スポーツ選手でしょうかね。背が高いとか、色んな意味で身体が大きいから、帽子をかぶってもバレてしまう。超有名な女優さんでも、顔隠せばそこら辺歩いていても結構気づかないものです。ドラマの作りとして必要で、つまりキム・ジュニ目線で、カメラを向けられる恐怖のようなものを描きたいから仕方がない部分もあるでしょうが、もう少し工夫があってもいいと思う。

【スーパーリッチ】ゴールデンの連続ドラマでこれほど酷い脚本のドラマを見たことがないのではないかと感じた。フジテレビがそれなりに力とお金を掛けて作ったであろうドラマなので、余計に脚本の酷さが目立った。ドラマの頭で衝撃的なシーンを見せて、それから数時間(時には数ヶ月)戻るこの手は、最近多いのだけれど、内容が面白くないから、または内容で惹きつけられないから使っているのですよね。ラストのタイトルバックへの入り方、音楽のノリは、格好いいアメリカンコメディかなにかをやっている感じにしたかったのでしょうが、そんなこともあんなこともドラマは脚本あってのことなのでどうにもなりません。

 ご都合主義で会社のことを書いているから、何もリアリティが感じられない。とにかくこんなに働いていない会社は世の中にないと思うし、それなのに、セリフでは育休を取れないほど忙しいようなことを喋らせる。「女性が産休を取ることが出来るような会社」とか、社会性を色々入れたいのだろうけれど、突然思いつきのように出てくるから、全てが軽く見える。

 毎日社員が集まって個人のトラブルについて話し合ったり、お金の心配ばかりして、いつ働いているんだ? 電子書籍を作っているはずの会社なのに、たいして働かないで、どうしてそこまで別の会社や個人に恨みを持たれるのか、どうしてそこまでネットなどで誹謗中傷されたり、やっつけられたりするのか意味不明のまま、よくもまあ、こんなに長くドラマを引っ張ったと、あきれました。ふうー

 セリフにも無駄が多い。(いい脚本には無駄な台詞はひとつたりともないのです)

 そんな中、役者さんたちは頑張っていました。主演の江口のりこは、幼少期超金持ちで、ある日親が亡くなって超金持ちではなくなり?でもそれなりの金持ちで人望もあり、会社を経営するけど人が良くて他人に騙され、それでも仕事ができて人望もあるから、それなりに会社は経営できて、男性にも女性にも老若男女にモテモテで、若くて貧乏な男の子と結婚して、その性格や育ちに全く一本の筋は見えないよく分からない個性にもかかわらず、何となく憎めない社長をよく演じていたと思います。彼女のみならず、どの役もきちんと軸が書かれていないので、役者さんたちが痛かったです。 タイトルのスーパーリッチもどこから来てどこへ行くのか?全く分からなかった。誰もリッチではなく、お金や株の心配ばかりしている。お金に困っているにもかかわらず働かない会社の話でした。

【ラジエーションハウスⅡ】の初回、メンバーを集めてくるための回、つまらなくて参りましたね。そして、毎回ドラマの頭のナレーションが形骸化してしまっているのに、続けなければならないのでしょうか。 芝居のできない本田翼が、痛くて辛過ぎます。医者は、病院内で患者がフラついた時に、そういう風に「大丈夫ですか?!」とは決して言わない。距離感が違うんです。そしてその人との距離感というのを掴んで人は話す。みんなが集まっている時、1人だけ距離感の間違ったリアクションをしていることも多々あり、有名人だと何も言わない、言ってあげない演出家ってどうなんだろう?と、とにかく可哀想になるほど酷い。それにしてもこれだけ多くの作品に出演しても芝居が上手くならない売れている可愛らしいモデルさんっていうのは、稀です。

NAといえば【日本沈没】のホラン千明は失敗でした。主演の杏と声がそっくりなんです! 最初、彼女が喋っているのだと思ったし、違うと分かってからも何度か疑いました。そうなると役、椎名実梨が話していることになってしまう。意味が変わってしまうのです。ナレーションは上手でしたが。香川照之演じる田所博士は、別の人に演じて欲しかった。作りが見えすぎるので、ドラマに入っていけない。今すぐに誰とは言えないけれど、浅野和之が一番最初に思い浮かんだ…。未来推進会議のメンバーが若すぎるのではないかと感じたのは、私が年を取ったということでしょうかね。どんどん見た目が若くなっているので、存在感が薄く感じられてしまうんでしょうか。松山ケンイチが、どうみても良い人にしか見えなくて、惹かれます。

 何も書いていない作品もありますが、【婚姻届に判を押しただけですが】【オリバーな犬】【恋です!ヤンキー君と白杖ガール】【群青領域】【二月の勝者】【日本沈没】【真犯人フラグ】【山女日記3】はそれぞれそれなりに楽しみました。