2021年7月から9月(頃)に放映されたテレビドラマ

 

今回チェックしたドラマは【ナイト・ドクター:シェフは名探偵:彼女はキレイだった:プロミス・シンデレラ:ハコヅメ~たたかう!交番女子~:ただ離婚してないだけ:八月は夜のバッティングセンターで:緊急取調室第4シリーズ:推しの王子様:イタイケに恋して:家族募集します:漂着者:ひきこもり先生:コールドゲーム:超速パラヒーローガンディーン:ボイスⅡ110緊急司令室:ライオンのおやつ:TOKYO MER走る緊急救命室 僕の殺意が恋をした(計19作品)】

 

楽しみなドラマがなかったけれど、どうしようもなくつまらないわけでもないドラマをそれなりに楽しみました。今回からは、頑張って感想短めにします。とても良かった作品のみ情熱的に感想を書けたらいいなと思っています。

 

2021夏  MYアカデミー賞

 

作品賞  【シェフは名探偵】 テレビ東京

 

     (次点:【ハコヅメ~たたかう!交番女子~】日本テレビ  【ライオンのおやつ】NHK)

 

主演女優賞  戸田恵梨香【ハコヅメ~たたかう!交番女子~】

 

 達者な人ですが、今回は全く芝居しているようには見えず、普通ではできない微妙な演技があり(だから演技ではなく本人そのものに見える)何よりも優しい女性ぶりが素敵でした。

 

     (次点:二階堂ふみ【プロミス・シンデレラ】 永野芽郁【ハコヅメ~たたかう!交番女子~】)

 

主演男優賞  鈴木亮平【TOKYO MER 走る緊急救命室】

 

 とても素敵で、落ち着きがあり頼り甲斐のある医師ぶり。こんな医者がいたら、安心して全身任せられますって感じでしたね。

 

     (次点:眞栄田郷敦【プロミス・シンデレラ】 中川大志【僕の殺意が恋をした】)

 

助演女優賞  萩原みのり【ただ離婚してないだけ】

 

 ただただ素晴らしかったです。教養がなく、育ちも貧しい女性が、不倫にもかかわらず本気で人を愛し、愛しているが故に、バカゆえに、彼の言いなりで、最悪の状態に入っていくのだけれど、彼女の愛情の深さだけは変わりなく伝わってきました。今後、彼女が出演する作品は絶対に見ます!

 

     (次点:鈴木保奈美【ひきこもり先生】 平原綾香【家族募集します】)

 

助演男優賞  該当なし

 

 (次点:橋本じゅん【家族募集します】甲本雅裕【ただ離婚してないだけ】三浦翔平【ハコヅメ~たたかう!交番女子~】)

 

 

気になる役者

   大原優乃【ただ離婚してないだけ】(これは芝居なの?そのままなの?)

  【シェフは名探偵】に何人かいたのですが、名前をチェックしきれず…

 

脚本賞  田中真一【シェフは名探偵】

 

    (次点:根本ノンジ【ハコヅメ~たたかう!交番女子~】)

 

演出賞  安里麻里【ただ離婚してないだけ】

 

制作(キャスティング)賞  【シェフは名探偵】

 

美術賞  該当なし 

  (【彼女はキレイだった】と【推しの王子様】の会社のセットがなんとなく似ていましたね。こういうのが今の若者たちの流行り? こういうところでお仕事したいのかなぁ?

 

音楽賞  今回もチェックしきれず(音楽が記憶に残らず、本当にダメな私)

 

 

全体の感想(敬称略)

 

【シェフは名探偵】

 名探偵なんて言うから、事件を推理して解決していくのかと思ったら、誰かが死ぬような事件は全くなかった。嬉しい予想外。

 フレンチを食べに来る客の関係性や問題を見つけ出し、推理し、お節介にも解決していくシェフ三舟、そこで働く人々、みんないい人で、暖かくて、少し間抜け。

 その推理に至るきっかけから、解決までの工夫とアイデア、そしておしゃれ感。脚本もおしゃれで素敵だったし、解決していく流れの中で、音楽をうまく使ってフランスっぽい雰囲気を出してみたり、些少のことにこだわってみたり、最終的には作っている人々の意向が、このドラマならではの雰囲気となって、この店の空気をこちら側に伝えてくれた。素晴らしい作りのドラマだった。

 微妙な音楽の流し方、止め方、好きだったな。

 ちょっと無駄に感じられるギャグが多いのだけれど、それはこの従業員たちの愛嬌ということで、そのくだらないやりとりから、真にフランスっぽいおしゃれ感のあるシーンへの切り替えがうまく行っていたので、何も問題は生じない。

 キャスティングが素晴らしかった。毎回登場するゲストが、有名な役者でないことが多く、(少なくとも私が名前を言えない人が多かったのだけれど)その人たちが、役に合っていて、自然にその人のドラマに引き込まれる。最近どのドラマをみても同じ役者ばかり出ている感じだったのだけれど、あまり記憶にない役者さんたちが、これほど素晴らしくドラマに溶け込んでいると、こちらの方が間違いなく引き込まれる。先入観がないからだ。そして、無名でも役者として美しく、芝居の達者な方がいくらでもいるのだから、キャスティングには、この番組のように努力をして欲しいと心から思った。

 最終回、ソムリエ金子が毎回読む俳句のようなものを描いた短冊が、店の片隅に飾ってあったのも、(それが映っていた短さからして)思いつきだけではない、とても繊細なドラマ作りだと感じた。

 

 制作、美術、脚本、音楽、音響、誰が良いのか判別つきませんが、これは結局は演出家の力なのだと解釈させていただきます。原作も読みたいと思います。脚本も演出も時々変わるので、誰とは書けません。

 

【ハコヅメ~たたかう!交番女子~】

 原作もいいのでしょうが、脚本も素晴らしく、楽しめるし、感動できるドラマになっていました。そして、登場する役者たちがとても魅力的に映りました。

 脚本、根本ノンジは、笑いのセンスも素晴らしい。当初それほどなかったギャグが、回を追うごとに増えていったのは、役者たちのキャラをつかんで描きやすくなったのでしょう。

 主演の戸田恵梨香と永野芽郁のやりとりは凄まじく、愛らしい女性警察官だったし、それが回を追うごとに素晴らしく絡み合って、とても微笑ましくいつまでも見ていたいいいバランスだった。最近芝居が型通りになりつつあった三浦翔平が久々に魅力的な役者に戻ってくれた。達者な山田裕貴、モロツヨシは、それぞれ魅力的なシーンを作り上げてくれたし、時々しか登場しないレギュラー陣もいつになく魅力的だった人が多い。芝居ができなくてただ、怒鳴っているだけの千原せいじが、ハマり役だった。

 役者は、役にハマった時、そして脚本が素晴らしい時、ドラマの中で生き生きとして、うっかり芝居がうまく見えます。それはもちろんその人に魅力があるからでしょう。

 めちゃくちゃギャクを連発して、警察官のレベルを下げておきながら、実は根っこの部分に重い事件を引きずっているので、ドラマがただ単に軽い方には流れていかない。そして、登場人物が魅力的に生きているので、ずーっと見ていたいという気分にさせられるし、感動して泣かされる。是非、パート2を作って欲しいドラマです。

 

【ライオンのおやつ】

 ライオンの家というホスピスにやってくる。その地に来て登場する人々が、なんとなく芝居がクサイ、またはうるさい。化粧が濃い。マドンナ役は鈴木京香でない方が良かったし、あの髪型はまったく意味不明。と、とにかく主演の土村芳以外は、邪魔な芝居をたくさんしてくれるのだけれど、だんだん気にならなくなる。ホスピスという重いテーマで、先がないというか、先が分かっている、ある種、何も起きないドラマだから、わざと化粧や芝居を濃くしたのだろうか?

 当初、毎回誰かが亡くなっていき、その人が希望したおやつが出てくるという流れには正直参った。けれど、だんだん主役の話が中心になっていき、よくなって行った。ただ、話のメインになる、おやつが不味そうなのだ! どこかのパン屋で買ってきたコロネ、普通に売っている芋羊羹、大量生産で作られたお菓子に見えて、そこに手作りの優しさが見えない。朝ご飯やお弁当はきちんと美味しそうに作られているのに、どうしてメインのおやつがこの扱いになってしまったのだろうか?(ミルクレープのみ手作り感あり)

 ライオンの家のセットはとても素敵だった。どこかの島の白い家…と思っていたら、少し遅れて放送開始した【漂着者】というドラマで同じセットを使用していて、それが新興宗教の館のような使い方だったので、すっかりイメージが落ちてしまった。

 こう書いてきたら、なんだからつまらないドラマみたいだ。ドラマとしてのインパクトはあり、楽しみなドラマだったのに。原作小川糸の本を読んでみたいと思っている。果たして彼女の本の世界観がきちんと伝わったのだろうか?が疑問。

 

【ただ離婚してないだけ】

 すごいドラマでした。漫画が原作とは思えません。

 前半は映画のような作りで、重厚感も世界観も美しい描写もあり、そこに萩原みのりの名演技があって目が離せなかったが、途中から、犬のように男を飼い出したあたりから、ちょっと厭になった。気づくと演出家が変わっていた。

 当初と最終回も演出して、脚本も担当していた安里麻里。どこから、どの回が、脚本や演出が変わったのかはっきりは分からないのだけれど、少なくとも、前半彼女が演出していた時のカメラワークは、映画的な部分があり、演出の好きな作品を作っている感じだった。美術も主に使われる台所は非常に無機質なのだけれど、家の外観はごく普通の家。演出を感じる作品だったので映画的だったのかもしれない。ところが、途中から単にドロドロと残酷なことが繰り返させるドラマに感じられてしまった。

 テーマは、何度も何度も繰り返される主演の男の言葉「俺は何度も思い出す…」なのだと思う。どうしてあんなことが起こってしまったのか?あの初めの殺人の日。それが発端で、恐ろしいことがグルグルと雪だるま式に増えていく。その恐ろしさを描きたかったのではないのか? それなのに、暴力的な恐ろしさの方が勝ってしまったことが残念。(龍平、いい作品に的役だったよー!個人的なコメント失礼)

 先入観とは恐ろしいもので、当初、殺人がバレそうになる時、相対したチンピラは、深水元基演じる佐野だった。主演側から見ている私は恐ろしくて仕方がないのだけれど、その後、そのボス格として杉本哲太が、ヤクザの大親分みたいな感じで登場する。彼の芝居はそれはそれは素晴らしいのだけれど、杉本哲太がやっているので、なんとなくそれほど酷いことにはならないのではないだろうかという安心感を持ってしまう。そう言う意味でもキャスティングやロケセット選びは重要だ。

 

【それ以外のドラマ】

 どれも楽しんで見ましたが、来週が楽しみな作品は殆どなかった。嘘ばっかりで、そんな医者はいないだろうし、そんな状況は無理だろうと思わせるのだけれど、そのテンションで引き摺り込まれた【TOKYO MER】素晴らしい緊張感でずーっと引っ張ってくれた。同じようにテンションで持っていく【ボイスⅡ110緊急司令室】は、サイコって言うんですか?あまりにも残虐で、流石に途中からみるのをやめました。こういうドラマが作られるのは、こういうのを好きな人がたくさんいるってことなんでしょうね、やっぱり

 ちょっとラブストーリーで、だから何?というドラマの数々が、どうも中途半端でした。【彼女はキレイだった】【プロミス・シンデレラ】【推しの王子様】【ボクの殺意が恋をした】関わる人間の少なさ、世界の狭さ、その中でドラマを展開すること、ちょっとドラマづくりが雑に感じます。こうなるとどうしても出演する役者の魅力だけで引っ張るしかない。そう言う意味では、これでどうやって1クール持たせるの?って最初から無理だと思われた【ボクの殺意が恋をした】は、主演二人が妙に似合っていて美しくて魅力的だった分、良かったかもしれないけれど、中川大志と新木優子が大好きな私としては、もっといいドラマで共演して欲しかった。【プロミス・シンデレラ】は、初回を見ていじめ感覚の奴隷感覚のドラマに吐き気がするほど嫌な感じを持ったけれど、主演の眞栄田郷敦が段々いい子ぶりを見せて行って、結局は彼の魅力で持たせてしまった感じ。

【ナイト・ドクター】は、そういう意味で出演者に魅力がなく(他のドラマで魅力的だった子達もことごとく魅力なく)あまりみたいと思わなかった。何よりも脚本が説教くさい! そんな若いドクターに年配の患者が病気以外のことで説教されてもなーと。【家族募集します】も説教くさいドラマで、こんな家族いいよねぇから始まって、結局それは解散して、何を言いたいのか、言いたいことから逃げたのか、取り立てて感動もなくがっかり。スポンサーのairdogの撮り方があざとすぎて、入れたいならばどうしてもっと工夫しないのだろう?と、頭をひねってそういう努力をしないと雑な作品作りに見えます。木村文乃合っていないのか、全くよくないです。配役をもっと工夫した方がいいと思います。仲野太賀で一番期待していたドラマだっただけに本当にがっかり。

【緊急取調室】は、井上由美子脚本でしっかりしているので、安心して見られますが、このドラマの天海祐希はどうしてこんなに力が入ってるの?(ずーっと徹底してこの役作りです。文句ではありません)【ひきこもり先生】の佐藤二朗もちょっと力入りすぎで、対して鈴木保奈美は、いつもと違って美しくなく、優しそうで、でも心の中は蠢いていることが伝わってきて素敵だった。

 最後にひとつだけ【イタイケに恋して】(1話だけ見ての感想です)とてもわかり易くレベルの低いドラマになってしまっていたので、少し感想を書きます。

 主演の渡辺大知、菊池風磨は、最近他のドラマで見てとても達者で素敵な役者だと思っていたけれど、こうして、主演となってしまうと、助けてくれる強力な脇役もいないので、ドラマにならない。セリフをただ正しく喋っているだけでは、ドラマにならないのです。わかり易いところでは、石井杏奈が、同じように芝居をやっていて、「シェフは名探偵」では、あんなに素敵に見えるのに、このドラマではただ遊んでいるだけにしか見えない。

 芝居は総合芸術です。そして主演が落ちると、全体のレベルが落ちる。製作費が落ちるのかスタッフのレベルも低い様子。必然役者の芝居は引き立てられることがない。

 まず、脚本が浅はか。美術は、舞台セットが凝っているように見えて、何の統一性も説得力もなく、センスも感じられない。AIの機械に至っては何十年前のドラマ?とさえ感じさせてしまう。照明も雑なのか、ハレーションが主役の顔に当たってしまったりしていた。

 センスがないということは、雑ということでもあり、もっと繊細なドラマ作りをして欲しいと思うけれど、これも製作費がないと出来ない。

 では、どうしたらいいのか? 

 役者は作品を選ぶべき。成功作も失敗作も顔が出てしまっているのは役者だから、結局は役者の身に降りかかってくる。ちょっと売れてきてもなるだけ主演をしない方がいい。脇役をやっていた方が、いい作品に出演できるし、必然、いい役者と共演できたり、いいスタッフと一緒にお仕事できることになる。