数年前のことだ、
芝居を教えていたら、エチュードだったと思うが、
そこに登場していた生徒全員が、食事をするシーンの前手を合わせた。
とても奇妙に映った。
それまでもそういう人はいたのだけれど、
そこにいた全員が手を合わせたことが非常に奇妙で、ダメ出しをした。
そうしたら、
言われた登場人物はもちろんのこと、見ていた生徒の殆どが、
私のダメ出しに対してクエスチョンのリアクションをした。
何がいけないのか分からないらしい。
そこで、聞いた。
「食事の前に手を合わせるの?」これは芝居に関係ない質問。
そうしたら、ほとんどの子達が頷いた。
それから数年間、
ドラマを見るたびに、
ドラマの中で食事のシーンがあるたびに思い出す。
そして、現在、ドラマの中の食事シーンでは、全員手を合わせている。
全員だ!
とても奇妙だ。
いつから日本人は食事の前に手を合わせるようになったのだろう?
前述の通り、数年前、私が生徒の芝居に疑問を持った頃は、
まだドラマの中でそういうシーンを見ることは多数ではなかった。
しかし、その後、どんどん当たり前になっていき、
今は、手を合わせていない人を(ドラマの中のことです)探す方が難しい。
生徒たちは家で手を合わせていると言っていたが、今の日本のほぼ全員がやっているのだろうか?
もちろん我が家ではそんなことはしない。
そもそも何に対して手を合わせているのだろう?
レストランで食事をする時、周囲の人たちがみんな手を合わせているという感じはしない。
しかし、
ドラマの中では確かにほぼ全員がやっているのだ。
ドラマという観点からするとこれもおかしい。
それぞれのキャラクターがあるので、
それをやる人とやらない人が居るべきなのだ。
そこに意味を持ってしまうのだから。
でも今問題にしているのはそこではない。
生徒たちが言ったように、
今日本国民の殆どが食事の前に手を合わせているとしたら、
それはいつから、何故、そうなったのか。
ウチの旦那は、最近テレビを見ていて、食事の前に手を合わせる人たちを見て、
それが非常に奇妙であることを声だかに言っている。
十数年前にはなかった習慣。
それを殆どの人がやる?
本当?
宗教的な意味合いがない以上、
どうしてそういう習慣が突然、急激にこの国に生まれたのか、大きな疑問だ。
写真を撮る時、手持ち無沙汰の人たちが必ずピースをする。
みたいなことなのだろうか?