若い者たちに教えるという仕事を始めてもう二十年以上になった。
最初に教えた人たちは、もう40代になっている計算だ。
今教えている子たちの中心も20歳前後
実際は中学一年生から三十過ぎまで。

教えているのは、「演技」だが、
そのためにいろいろな寄り道をする。

そして、親しくなると、いろいろな相談を受ける。
基本的には、役者として今後どうしていったらいいか?
みたいな質問が多い。

売れるためにはどうしたらいいか?
私は、その養成所で教えている講師に過ぎないから、
選択肢を与える以上の意見は言えない立場である。

さらに親しくなると、相談が込み入ってくる。
辞めようかどうしようかという悩みの中に、家庭の事情が絡まってくる。
私の場合は、
辞めようかどうしようか?悩んでいる人には、100%辞めることを勧める
(これも立場上微妙なのではあるが)

ここ一か月も実は、いろんなトラブルが発生して相談を受ける日々だ。
当然、人間関係の悩みも多い。
あの子がどうした、この子がどうした……的な?
話をすることが嫌いではないので、
延々話を聞いて、私の意見を言うことになる。
聞いていると、話がループしてくる。
悩んでいるということはそういうことなのだと思う。
そして、私は頭の中で(つまらないことで悩んでいるのだなぁ)と感じる。
しかし、次の私が話す段には、真剣に私の意見を言う。
結構、大人のような意見を言えるようになってきたと感じる。

(少しは大人になっているのだ、私も)

そして、長い相談が終わって、また思う。
つまらないことでくよくよと悩んでいるのだなぁ、と。

それが若者なのではないかと思う。
私も、そういえば、こんなつまんないことで、たくさん悩んでいたなぁと思う。
それは若者の特権というか、
若いうちに、やっておいて損はないことのように思う。

くよくよくよくよ考えて、
たくさんたくさん悩んで、
なりたくもない大人になっていくのだと思う。

だから、今、10代、20代のうちに、
たくさん悩んでください。
ウェルテルのように……