ワールドグランプリで、銀メダルと取った真鍋ジャパン
火の鳥ジャパンが、世界大会に臨んだ。
第一次リーグ初戦で、ワールドランキング37位(だったかな?)の
アゼルバイジャンにフルセットで敗戦。

大丈夫なの?と
不安な出足の中、
二次リーグ初戦で、またまた敗戦。
後がない日本は、絶対に勝たなければ三次リーグに進出できないという
地元イタリア戦に3-0で負けて、世界大会を事実上終了した。

真鍋ジャパンが掲げるハイブリット6が
まだ完成に至っていないとか、
果たして高い世界に対して効果があるのかとか、
その技術的な面については、今日は置いておいて、
木村沙織という選手をキャプテンに据える状況について考えてみた。

今までのキャプテンは、もっとしっかりした人ばかりだった。
最近の吉原、竹下、荒木を見ても、
厳しい表情でテンション高く、
覇気のある選手がキャプテンになってチームを引っ張っていく。
それが当たり前のチームリーダーだった。

それを今回は、木村沙織という、
なんともぽわーんとした雰囲気の(ちょっと天然入ってる系の人を)キャプテンに据えた。

その狙いは……
勿論、実力的にトップであり、年齢的にもみんなを引っ張れるはずということもあるだろうけれど、
ロンドンオリンピックで代表から引退するつもりだった
エース木村沙織をひっぱり出す策でもあったかもしれない。

とにかく、
試合を見ていて思うのだ。
個人の能力、体格で劣る日本人チームが
海外のチームに勝つためには、
チームワークが必要。
と、折に触れ言っている割に、
もっとチームワークのいいチームを目にする。

今回では、アゼルバイジャン、ベルギー、ドイツ
それらの国の方が、チームの雰囲気が良いように実際見えた。

バレーボールがチームプレーであることは試合の流れを見ているとよく分かる。
女子バレーボールは、37位のアゼルバイジャンに日本が負けるほど
その力は拮抗している。
チームの雰囲気、流れでが良くなると
後半そのまま勝利へ持って行ってしまうことは多々あると感じる。

そして今回の大会を見ていて問題だなと感じたのは、
チームの流れが悪くなった時に、
はっぱを掛ける選手がいないのだ。

以前だったら、監督がタイムアウトを取ったところで、
キャプテン荒木が声を荒げる様子などが見られた。
が、今はいない。
キャプテン木村沙織は、いつものように
柔らかな表情で「いっぽん、いっぽん」と手を叩きながら言ってるだけだ。

でも、そもそも木村選手はそういうタイプであるから、
それを責めるのは間違いだと思う。

つまり木村沙織のようなタイプの人をキャプテンに据えるということは、
今までとは別のチームカラーを作るということだ。

ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得したメンバーも、
半数は、そういう人たちで埋め尽くされていることを実感した。
つまり「最近の人たち」と言ったらいいのか、
負けていてもたいして落ち込むようにも見えず、
覇気も見えない。

例えば、宮下、迫田は、覇気のある選手に見えるし、
その気の強さが垣間見えるが、
木村、新鍋を筆頭に、
山口、長岡、あたりからは、そういう気の強さを感じない。
そういうメンバーばかりなら、結構ピンチにも強いのではないかと期待していた。

以前から日本人は緊張に弱く、
オリンピックなどで本来の力を発揮できない体操選手などを見ていたが、
最近の選手は、メンタルで強くなったのか、変わってきた。
強いか弱いかは分からないが、
普段と変わらない雰囲気で世界大会に望めるというのは、
それはそれで凄いと思うのだ。

そういう点から、別にこちらに覇気が見えなくたっていい。
そういう天然っぽい人たちの集まりのチームで、
普段通りに試合するってのもありかな?と思って
木村沙織じゃぱんを楽しみに見ていた。

が、違った。
気持ちが落ちると、ただ暗い表情で黙っているだけなのだ。
それでは駄目だ!
天然は、天然でなくちゃ! 

試合終了後、
負けた悔しさをほとんど見せずにインタビューに答えるのならば、
それを貫かなければ!

つまり、勝ってる時も、負けてる時も
「いっぽん、いっぽん」と大声で言い、笑顔でいなければ!!
相手が、凄いスパイクを決める。
木村を中心に笑顔でみんな集まって、「いっぽんいっぽん」
相手が、あっさり高いブロックを決める
大きな笑顔を浮かべて、みんなで「いっぽんいっぽん」
第一セットを先取されたその瞬間、
みんなで集まって、さらに大きな笑顔で、「次次」
そこには欠片も悲壮感があってはならない。

そしたら相手チームは結構びびるのではないだろうか?

今回真鍋監督が素敵なことを言っていた。
「バレーボールのように間のあるスポーツは、
間の時に、何を考えているかで勝負が分かれるのだ。
間の時に、自分が良いスパイクを決めるイメージを持てるかどうかだ」

この言葉は、私の腑に落ちた。
なかなか出来ないことだけれど、
木村沙織のような人なら出来るのではないかと期待できる。
それでなければ、覇気のあるリーダーシップの取れる
強い雰囲気を持った、荒木選手より上のキャプテンにはなれないじゃないか。

真鍋監督のやろうとしているバレーボール。
世界一位になるためには何をしなければならないか。
それらは非常に理解できる。
ただ、それが果たして世界に通用するかどうかは、
彼らの身体能力や、練習時間によっての成果に関わってくる。

ロンドンオリンピックで銅メダルを獲得し、
更に次の四年間の新しいプランを掲げた
そのスタッフ力は信じているし、期待している。

でも実力を出し切れるか?
チームプレイなので、
実力以上を出し切れるか?
そこのところで足踏みしている様子が、
どうにもイライラする大会ではあった。