感想文ではありません。今日読み始めたばかりの本の一部を残しておきたいとタイプしたので、ブログにも残しておこうっと。

「都市を滅ぼせ 」中島正著より

人類は過去わずか五千年の間に急速な進歩を遂げた。人類生誕数百万年の昔と比較すればほんのわずかな終末的過去にすぎない。これは異常である。
 人類が過去五千年の間に成し遂げた急速な変化、社会構造の複雑化そして都市化は、これは大自然の悠久の循環から眺めると、著しく異常に見えると思うがどうであろう。幻世の如く出現した人類史最後の泡沫ーじんるいはめつぼうするために都市を選んだと言っても不思議ではないのである。
 都市は人類を破滅させる爆薬である。その爆薬を製造させるために、大自然が人類に「短期間の一大進歩」という異例の措置をとったとすれば、これは大自然(神)の気まぐれによるいたずらであったか、または進化の(敢えて進化という)法則の厳正なテストであったか。
  人類は神から知恵を(進化によって)与えられた。その知恵が都市を作った。都市が人類を危機に導いた。神は進化の掟が知恵がに及んだ時、果たして終末はどうなるかを人類を用いて実験しているのではないか。ジェット機やコンピューターをこしらえたり、遺伝子を組み替えたり、核兵器や原発を作ったりして得意になっている人類の行く末を、神はあの辺りからニタリを笑って眺めているのではないか。
  神よ、(皮肉なことには)人類には神から与えられた知恵があった。この知恵はいたずらに進歩と拡大と繁栄のためにのみ使うべきものとは、あなたは規定されなかったはずである。
  その知恵を、人々よ、便利と発展のために使用することをやめて、この辺りで退歩と耐乏のために振り向けたらどんなものか。そしてそれによって都市を滅ぼす、ことはさて措いても、せめて都市を縮小することを断行したらどんなものか。
  核兵器は廃絶しよう。ついでに原発も取り壊そう。自動ドアやエスカレーターは取り外そう。ジェット機や自動車もうんと減らそう。海外旅行も自粛しよう。国内旅行も同じ、身土不二とは自ら動かぬことも意味するのだ。空港の建設も中止しよう。動く歩道はやめて自分の足で歩こう。下らない漫画誌やチラシや包装紙にパルプを使うのをやめよう。タバコや洗剤や添加物の製造を中止しよう。薬はやたらと飲むのをやめよう。農薬や化学肥料はもっと減らそう。道路はあまり作らないようにしよう。自然海岸はそのままにしておこう。みんなで努力を払って清浄な食料を作ろう。畑の草は人の手で取り、堆肥を大地へ還元しよう…。
  縮小と退歩と耐乏のためにやらねばならないことは山ほどある。そのためにこそ人々は神の賜(知恵)を最大限に使わねばならないのだ。
  人々よ、神がちょっぴり善ならば神は知恵が両刀の剣であることを承知の上で、人類にその使い途を験しているのかもしれないと思うのである。