『四十回のまばたき』を読み終えた。
この話は、以前、お芝居になった時に見てタイトルだけ覚えていた。
それは随分前のことで、
芝居があまりおもしろくなかったことだけ覚えている。
まだ、重松清さんの本を好んで読み始める前のことだ。

これまでに三冊読んだだろう(あとで調べてみます)
ただ、この本を読んでしばらくぶりに書こうと思った理由は、
いつもの重松清作品と違っていたからだ。

中学生の心を書かせると素晴らしい描写で、
現代の中学生はこんなことを考えているのかと感じながらも、
自分の中学時代の心と重なる部分も感じられる。
そんな本が多く、素晴らしい重松作品群だが、
この作品は、全くテーマが違っていた。
話の内容があまりにも違うので、
いつもとは違う空気感で淡々と読み進めていたのだが、
どこかからか、時々胸を指す言葉や文章に出会い、
読書がストップした。
正確には、
虚空を見つめて別の世界に飛ぶのだ。
自分の人生に重なり、思い出したり考えたりする瞬間だったり、
単に言葉が胸を指して、その痛みに耐える時間だったり、
感傷的になり、本の世界に戻るまでの準備時間だったりする。

言葉が胸を指すというのはすごい力だと思う。
つまりすごい作家なのだ。

この本を読み終えても、観た芝居のことは思い出さない。
舞台の上に二部屋あるようなセットだったことと、
主演男優だけ覚えている(ような気がする)が、
間違えているかもしれないので、今は記せない。

あとがきを読んでから調べてみたら、
この作品は、処女作から3作目
つまり作家として初期のころに書かれた本のようだ。
表現が美しく、描写が見事で、
その時、イメージの世界を漂わされる。
これは作家として必要なことのように思うが、
その力を感じさせてくれない作家も実に多い。

ここで私がどれほど重松清さんの本を読んだか調べて列記してみようと思う。

最初に読んだのは2010年
「少しだけ欠けた月」
「見張り塔からずっと」 この本が素晴らしくて重松清さんのファンになったのだった。
「ブランケット・キャッツ」
「きみの友だち」
「エイジ」
「ナイフ」
「セカンド・ライン」
「隣人」
「その日の前に」
「おじいちゃんの大切な一日」
「青い鳥」
「季節風春」
「季節風夏」
「季節風秋」
「季節風冬」

「カカシの夏休み」
「口笛吹いて」
「とんび」
「トワイライト」

わあ、まだこれしか読んでいないんだぁ~と幸せな気持ちになる。
重松清さんは、かなり筆の早い方なのでしょう。
新作がどんどん出てきてくれる気がする。
好きな作家に出逢うと手当たり次第に読む。
いつか読む本がなくなる。
それが怖くて読めないままの本もある(岡嶋二人の本を読まずに残してある)

タイトルに下線を引いたものは、とてもよかった本です。
実は、上記の中に一冊だけ読み終えられずに図書館に返却してしまった本がある。
それは…「とんび」という本。
テレビドラマが大ヒットした後に聞いて、
そんなドラマがあって、それが大好きな重松清作品だったと聞いて、
図書館で借りようとしたら大変な人気でずいぶん待ってからやっと借りて、
そして読み終えずに返却した唯一の本。
読み始めたところは、あまり面白くなかったのです。
ま、そのうち読みます。

お勧めの作家がいましたら、教えてください。
今回は、ラブストーリーで探して、初めて
有川浩、橋本紡の本を手にしました。
重松清作品を全部読み終わる前に(書き続けてくれているから大丈夫な気もするけど)
同じくらい好きな作家を見つけておきたいのです。