そういえば、
昔、レポート番組で岩塩を作っている場所に取材に出かけた。
その土地で作られた特別な塩を売っている。
レポート番組というのは、
多かれ少なかれ、
スポンサー的な要素も含まれているから、
取材協力してくださった方の商品や場所、人柄など
いい点をなるだけ引き出すような取材方法を取る。
新聞記者ではないので。
その時、現地で、言われた
「どうぞ、味見してみてください」
カメラは回っていた。
私は、指に塩を少しつけると舐めてみた。
思わず言葉が出た。
「塩っ辛い!!」
その岩塩の方は、渋い顔をされた。
どうやら私は望まれていない言葉を発してしまったようだった。
普通の塩よりもまろやかな味がする。らしい。
しかし、
私は、それまでの人生で(その後もないが)
塩というモノを真剣に味見した経験がなかったのだ。
舌の味覚を使って味見をする。
それはこっちが塩?それとも砂糖?
なんて感じで味見するのとはわけが違う。
真剣に全神経を集中させてやる作業だ。
これまでに味見したこともない塩を
そこで生まれて初めて味見して、その言葉が唐突にも出てしまったのだ。
だって、塩は塩っ辛いのだ。
塩の味ということだ。
しかし、
プロたるモノ…………
どうしたらよかったのだろう?
取材の前に
家の塩を味見してみれば良かったのかもしれないが、
後の祭りである。
ま、いまさら仕方がない……か。