中谷美紀さんのドラマ出演ということで
楽しみでしたが、とっても暗いドラマでした。
中谷美紀さんは、
珍しく美人なのに演技派のイメージで通っている女優さんです。
あの独特の
口を動かさないで喋る芝居、
そこに落ち着きや存在感を感じますが、
もっと明るい役も積極的にやって貰いたいなぁ。
だって若いうちにしかできない役がたくさんありますから。
日本では禁じられている代理出産を計画的に行うだけではなく、
その裏に、実は代理出産でなかったり、
実は、不倫の果ての子どもでなかったり、
実は、殺人が行われたり、
まあ凄い内容。
それをすべて仕組んでいる様子の中谷さん演じる春日井優佳。
私は彼女の位置からドラマを見ていたので、
主演の岡田将生さん演じる司馬健吾という医師が、邪魔で仕方なかった。
で、やはり問題は結末です。
このような道徳的に許されていいのか分からない内容のドラマをどのように終わらせるのか?
以前も書きましたが、
日本のドラマでは、
相変わらず道徳的に終わらせる傾向がある。
殺人を犯し、
金のある人が、その金の力ですべてを思い通りに進める。
そのままドラマがその人たちのハッピーエンドで終わることがほとんどない。
今回は結末を少々濁した感じでした。
金持ち夫婦日向家が、その後どれほど悲惨な状況になったかは一切触れず、
「以前より幸せです」と答えさせた。
そんなはずはないと思うけど。
でもドラマ的に一番救ったのは、春日井優佳であり、
彼女が、妹への愛情のために人殺しまで犯してしまったこと、
良心の呵責をずっと抱えて苦しんでいたことを伝えていた。
結末までは、
非常に冷酷な女性として演じ続けていた中谷美紀さんの力のお蔭だと思います。
周りの役者も
小日向文世さん、渡辺いっけいさん、勝村政信さん、平田満さん、鈴木杏さんが、
それぞれ非常にしっくりいく役で脇を占めていました。
いえいえ、
鈴木杏さんはぴったりの役ではなく、
これまでにない役でした。
さて、
先日、ウディ・アレンの『マッチポイント』という映画を見ました。
別に共通点はほとんどないけれど、
どうしても思い出さずにはいられませんでした。
あの映画では、
金のために人殺しをした男が、
最後、
マッチポイントのボールがどちらに落ちるかという
きわめて美しい、そしてドキッとする方法で
逃げ伸びる。
さも、幸せになったように見える。
やはり日本ではそれはまだあり得ないですよね。
金のために人を殺した人が
その後、幸せに生きていくわけがない。
という終わり方をします。
ただ、少なくとも、
このドラマでは、春日井優佳の罪は問われずに済み、
彼女が消えるという形で結末をまとめている。
これで、
生まれた赤ん坊が、日向家にそのまま引き取られていたら、
それはそれは画期的な結末と言えたかもしれないけれど……。