あのサリン事件から16年が経っていた。
そう、あの事件は1995年に起きた。
1995年3月20日地下鉄サリン事件
そして、2日後に警視庁による強制捜査。
私は群馬のスタジオに入っていて、昼休みにニュースを見た。
「東京が大変なことになってますよ」って知らされた。
慌てて家に電話した。
当時、病気だった母がとても心配していた。
そう、あの日、あの時間に地下鉄に乗っていてもおかしくないような生活をしていた。
ただ、私はラッキーなだけだった。
もっと早く電話して安心させてあげられればよかった。
テレビに映し出される映像は、信じられないものばかりだった。
映画でしか見たことがない絵。
その日から、テレビでは
ニュースでも情報番組でも
すべてがオウム真理教のニュース一色に染まった。
病気で家に居た母は、
それまで少なくともテレビを見る楽しみがあったのに、
しばらくすると一切テレビをつけなくなった。
あのニュースばかりで気分が悪くなると言っていた。
当時、病んでいた母から唯一の楽しみを奪った事件として、
こんなところにも被害者はいるのだと
私はあの事件をしっかりと記憶している。
何の罪もなく
殺された人たちの苦しみはどこへ行くのだろうか?
犯人が死刑になったからと言って、
遺族の気持ちが癒えるわけではない。
ただ、16年経って、裁判が終わって、
せめて次のステップに移るきっかけになってくれたらいいと望みます。