大人の映画を観ました。

ダスティン・ホフマン エマ・トンプソン主演2010年のアメリカ映画です。


舞台はロンドン。


最初、まだ知り合う前のそれぞれの辛い状況が描かれます。

それぞれ自分の居場所を見つけられず、

いたたまれない状況。


その最悪のテンションの時に出会う二人が意気投合する。

状況が似ていたから?


そして、第二の人生を一緒にやり直そうと思うダスティン・ホフマン

その表情は、最初の頃とは全く違う

優しい余裕に満ち溢れている。


そんな大人の雰囲気を随所に描いている素敵な作品でした。


映画やドラマが若者向けに作られすぎている感じがします。

若者のドラマは、ストレートで単純で大人から観ると面白くはない。

楽すぎたりもする。


そもそも芝居をしている人ならだれでもお分かりでしょうが、

芝居なんて30過ぎてからがドラマ。

つまり人の心の機微を表現するためには30過ぎを扱わないとドラマにならないという意味です。

そして役者も経験を積んで30過ぎからよくなっていくのに、

特に女性は、30半ばを過ぎると、もう役なしになっていく。


でも、こういった大人のドラマがきちんと造られれば、

その素晴らしさは、大人は勿論若者も分かるはずなのです。


単純でストーレートなモノは、

楽に楽しむにはいいけれど、

芸術と言う観点で考えると、

人間が元々持っている感性にはあまり訴えてこない。

つまり感性を働かすチャンスを奪っている。

人はみんな素晴らしい感性を持って生まれてきているのに、

それでなくても自然などに触れ合う機会が減って

幼少期に感性を磨くチャンスが奪われつつあるのに、

芸術と言う面で、それをきちんと果たしていかなくてどうするのでしょうか?


この作品が芸術かどうかはともかく、

簡単なものを増産する必要はないのです。

きちんとした物を作れば、

きちんとそれを感じることが出来る。

それは、何の経験もない子どもでも出来ることです。

そうやって感性は磨かれていく。

出来れば、子どものうちから、難しいもの...

例えば、

クラシックミュージック、クラシックバレエ その他の舞踊

頭で考えるとわけの分からない類の芸術。

それらと触れ合う機会をたくさん作ってあげて欲しい。


大人は、分からなくてもなんとか頭で理解しようと頑張って、

分からないからつまらない。

となることが多いが、

子どもは、分からないなら感性で何かを感じ取ってくれる力が大人よりも優れているはず。

そうやって子どもの時に磨くべきものなのだと思います。


勿論、大人になってからでも手遅れではないけど...

今の時代、

どうしても簡単な物に流れがちなのが少々気になるのです。